Interview:橋爪信之
――このお店を開いたきっかけは何だったのですか?
90年代の前半に僕がロンドンで仕事をしていたときに、映画(※1)でも有名になった〈ファクトリー(※2)〉のボックス・セットのデザインとかやってたグラフィックデザインの会社にいたんです。そのときに実際の〈ファクトリー〉のトニー・ウィルソン(※3)さんとのミーティングに参加したという経験がありまして。その後、何年後かにそれがすごく歴史的にも貴重な体験だっていう事に気づいたんですよ。それで、その後訪れたマンチェスターで知り合ったマーティン・オニールというフォトグラファーがいるんですけど・・・彼は70年代後半から80年代にジョイ・ディヴィジョンやザ•スミスなどの著名ミュージシャンの歴史的な写真を撮ってきたフォトグラファーだったんですね。彼とたまたまマンチェスターで会って、意気投合した事でいくつかのフォト・エキシビジョンや、ファッションブランドとのコラボレーションを一緒にやったんです。具体的にいうと「ラブレス」さんだとか「ラッドミュージシャン」というブランドで2シーズン、コラボアイテムのディレクションをさせて頂きました。
1. 映画『24 HOUR PARTY PEOPLE』のこと。
2. マンチェスタームーブメントを語る上で欠かせないレーベル。輩出バンドにョイ・ディヴィジョン、ハッピー・マンデーズなど。
3. 〈ファクトリー〉設立者。
映画『24 HOUR PARTY PEOPLE』
そんな色々なネタを暖めていたのと、自分は10代の頃からギターを弾いていて、音楽をやっていた人間なんです。そこで楽器であったりとか、レコード、CDといったものを異常に愛していたものですから、ミュージシャンのアーカイブ的な写真や音楽のマテリアル、それから楽器というものを一気に融合してやりたいなという事でこのショップをオープンしました。実はこの原宿っていうエリアは、ショップの数はこれだけあって、ショップスタッフの方も音楽が好きな方が多いのに、そういったお店がないんですよね。
――ちなみにこれはなんの・・・?
これは僕の私物なんですけど、50年程前のギターの木材を使って、アメリカでほぼハンドメイドに近い形で作っている当時のレスポールを復刻したようなレプリカのギターなんです。それを作った人間の私物から特別に分けて頂いたんです。今はそれを元にして、彼が実は150本分のギターの木材をストックしていて、その全資料を頂いて、その中から好きな木目のものを選んで、色を僕の方で提案して、オーダーメイドで作れるっていうシステムをここで開発しました。
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――ここでですか!?
そうなんです。これは、見本としてその方が作ったハンドメイドのギターになります。
――では、実際にここで選べて、それを本国で・・・?
オーダーして、2ヶ月くらい経って日本に送られるシステムです。
――実際ミュージシャンの方も使われてるんですか?
アメリカ本国では何人ものミュージシャンの方が使っています。日本は、まだ7台くらいしか入ってきてないので、残念ながらプロの方はいらっしゃらないですね。
――日本はマニアな方がお持ちということですかね?
マニアの方ですね。このプロジェクトは、「N.O.S」の「Vintage Replica Guitar Project」という名前で始めました。