若い子たちが多いので、フラッと来て買って帰るぐらいの値段設定にしてます

――また、このパーツに関して、全然価格が違いますが、違いはどこにあるのですか?

これは、ギターのペグという部分になるんですけど、実はものすごく良くできているんです。半透明で乳白色みたいな色をしていますよね。実は、元々は59年のギターに付いていたもののレプリカなんです。プラスチックなんだけど本当に手作りっぽい感じなんですよね。で、皆これをコピーしようとするんですけど、大量生産だとこの半透明さがなかなかでないんですよね。それで、右側の方がしっかり練り込んであるので、やや大量生産型ですね。でも、左側のものは本物のヴィンテージにほぼ近づけているものなので半透明っていう、その値段の違いです。

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――レプリカとして、どう表現されているかっていうところが・・・

そうですね。だから機能的には正直、逆に最近のものの方が精度が高いんですけどね(笑)。でもあんまりそういうの語らないようにしてて(笑)

――あはは(笑)。

「それだから貴重なんですよ」って事はあんまり語らないようにしています。知ってる人は多分見たら分かるので。

――次は隣のCDについてお伺いしたいのですが。

CDについてですが、正直ジャンル別けをするのが僕はすごい大っ嫌いなんです。ある程度自分の中でジャンルを幅広くしています。だから、ニルヴァーナがあるのに、ベックがあったりとか、ジミヘンもあったり。基本的にこのエリアに居る子たちっていうのは若い子たちが多いので、フラッと来て買って帰るぐらいの値段設定にしてます。「N.O.S」ってお店の名前は“New Old Stock”の頭文字なんです。オーディオとかバイクとか、ギターのパーツとかそういったものの専門用語で。自分で1枚1枚みて状態の良いものを全部きれいに梱包し直して、注釈を書いてという事をしてます。新品を買うより全然安くて、尚かつ中古屋さんのように縦に並べて、帯の本当に細いとこで見なきゃいけないあの不都合さを解消しよう思って、この並べ方にしました。常時大体100枚くらい、全て僕がセレクトしてます。音楽の軸としては一般的な言葉でいうと、ギター・ポップ、オルタナティブ、ニューウェーブというのは引っかかってくるんですけど、その枠で収まらないものも入れています。基本的にはバンドの音で、エレクトロの中でもエレクトロ・ロックの音でエレクトロのみは置かないとかね。基本的にメロディーのちゃんと分かるようなアルバム。バンドによって、アルバムによって、内容は違うと思うんですけど、メロディーがよく分かるようなアルバムを必ず選ぶようにはしてます。だからおのずとちょっとジャンルは幅広くなってます。

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――それもその若い子向けに手にとってもらいやすいセレクトって意味でもあるのですかね?

そうですね。あとは今言ったように全部中古なので、実際に試聴してこの店で大っきい音でかけるということが自由にできるので。また、別の話になるんですが、僕が2007年に今青山にある「ラブレス」で<ロックオン>っていうプロジェクトをやったんです。これはフランスのクリエイター集団と僕が3人で行ったやつで、フランスから見た世界各国のロックの歴史を紐解こうっていう事なんですけど。フェンダーUSAにサポートしてもらって、そのときも同じようにCDとレコードを僕がセレクトしました。アップルにも協賛してもらって、有名なミュージシャンのお気に入りのトラックリストをイヤホンでも聞けるようなテーブルを作ったりしたんですけど・・・それの目的っていうのは、同じ日本で有名なミュージシャンが、フランスだとものすごい前からビョークとか、ベックを追い求めていて、日本で火がついたのはもっと後だったりとタイミングが意外とズレてたりするんですよ。同じアーティストなのに。そういうことを僕はそのプロジェクトやったときに学べたので、そういった“ズレ”みたいな観点でも選んでます。だから、あえて代表作だけでない(バンドの)ものも結構集めていたりとか。

――ライブ盤があったりとか色々・・・

そうですね。テレビジョンみたいにニューヨークのバンドからベイビーシャンブルズ、ニューオーダー、ソニックユースとか欧米を問わずに色んなアーティストを混ぜています。スウェーデンのギターポップがあったりとか。あと、シューゲイザーと呼ぶにはちょっと甘めですけど、ライドとか、ジーザス&メリーチェインも初期音源だけを集めたりしてます。

――マニアックすぎてレコード屋さんや中古レコード屋さんに行けない子たちにとっては、こうやって服を買うような感覚で、楽しんでCDを選べるのは良いですよね。

そうですね。買っていただく方の8割は原宿のショップスタッフの方で、お店でかけたいという人が多いです。お店の名前を聞いて、自分の知ってる店だったら「こういうのがいいんじゃない?」って言ってあげたりしてね。

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