本製品のスペック的な話をします。『Moog Prodigy』は、2つのオシレーターと、ローパス・フィルター、2つのエンベロープで構成されていて、パラメーターはとてもシンプルです。ノイズ波形が付いていないので、スネア・ドラムっぽい音色や、『ザーザー』した質感の音色は作れません。得意とする音色は、シンセ・リードやシンセ・ベース、SFっぽい効果音などです。
それとアナログ・シンセなのでチューニングが時々狂います。録音する時はギターのチューナーでピッチを合わせてから弾いたり、演奏中に音程がずれた時は、耳を頼りにツマミでピッチを修正しなくてはなりませんが、その生楽器のような不安定さにも魅力を感じています。
『Moog Prodigy』のストロング・ポイントとも言える必殺技は何と言っても、オシレーター・シンク・スイッチをオンにした状態で、ピッチベンド・ホイールを操作すると、『ギュイーン!』と強力に音がうねります。この音がすごく格好良いんですよ。
次は実際に『Moog Prodigy』を演奏しました。ただ弾くだけではあまり面白くないので、ルーパーと言うエフェクターを使い、本製品の得意とする色々なサウンドをオーバー・ダビングし、電子音楽を一曲演奏しましたのでご覧ください。
▼『Moog Prodigy』とルーパーを組み合わせて演奏した動画はこちら。
MOOG PRODIGY and Loop Machine. Play electronic music.
『Moog Prodigy』の良さは、温かみのある木製サイド・パネルのルックス、32鍵盤のキーボードは横幅が短くコンパクトなデザイン。そして鍵盤のタッチは『ガコガコ』とした無骨な感触で、複雑な音作りは出来ないけど、その分シンプルな操作で抜けの良いサウンドが出せるなど、あげればきりがありません。
こちらは『Moog Prodigy』のオーナーズ・マニュアルです。茶色い厚紙で出来た表紙のマニュアルは結構丈夫に作られています。
マニュアルには様々な音色のパラメーター・セッティング図が載っているので、真似してツマミをセッティングすれば、音色作りの勉強になります。『Moog Prodigy』は音色をメモリーする機能が付いていないので、もしライブで使うなら曲間に素早くパラメーターを切り替えて音色を作らなければいけません。
ですが、本製品のパラメーターはシンプルに作られているので、どこをいじれば、どう音色が変化するのかが簡単に覚えやすく、アナログ・シンセ初心者にも使いやすいシンセなのです。その鋭く抜けの良いサウンドは、バンドやライブでキーボーディストが使用するのはもちろんの事、DAWを使って音楽制作をしているクリエーターも外部音源として活用できます。アナログ・シンセの存在感があり、揺らぎのあるサウンドを取り入れれば強力なアクセントになるでしょう。『Moog Prodigy』は、これからも大切に使い続けたいと思わせる最高のアナログ・シンセサイザーなのです。