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他の楽器メーカーとは一味違うユニークな電子楽器を発表する事で知られる、ストックホルムのメーカー『Teenage Engineering』(ティーンエイジ・エンジニアリング)。同社から発売されている、ポケット・オペレーター・シリーズ(以下、POシリーズ)は、手のひらサイズのボードの上に、本格的なシンセサイザー、シーケンサー、ドラム・マシン、スピーカーなどが内蔵され、お手頃な価格で、どこでも気軽に音楽を作ったり演奏を楽しめる小型シンセサイザーです。

POシリーズは現在までに9種類がラインナップされていて、それぞれのサウンドに個性があり、複数のPOシリーズを接続し同期させて演奏する事も可能です。基盤がむき出しの電卓のようなボディーに配置された液晶ディスプレイには、ゲーム・ウォッチのような絵や時刻が表示され、遊び心をくすぐる、おすすめの製品なのです。

今回ご紹介しますのは、その中でも2016年に発売され、ゲームのようなサウンドのドラム、リード、コードを鳴らす事ができ、演奏する事を重視したアーケード・サウンド・シンセサイザー/シーケンサー、『PO-20 arcade』(アーケード)の使用レポートをお届けしたいと思います!

アーケード・ゲームみたいなサウンドとグラフィックスが楽しめる、小型シンセサイザー『PO-20 arcade』の魅力! technology181025_teenageengineering_02-1200x1795

こちらが『PO-20 arcade』です。アーケード・ゲームのようなサウンドのドラムやリードが特徴で、内蔵された16種類のコードからコード進行を作ったり、128個までパターンを繋ぎ合わせて曲を作る事も可能です。

さらにコード進行と同じドローンを鳴らして、サイドチェインをかける事もでき、ドラムを細かく連打させるステップ・マルチプライヤー機能や、豊富なエフェクトも内蔵されています。

液晶ディスプレイにはレトロ・ゲームのようなグラフィックスが表示され、見ているだけでも楽しく、チップ・チューンを作るのに適したポケット・サイズの超小型シンセサイザーです。

一定時間操作しないと電源がオフになり、時刻が表示される

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まず最初に本製品の裏側に単四乾電池を2つセットして時刻を設定します。『PO-20 arcade』は音を出すための楽器なのですが、一定時間操作しないと自動的に電源がオフになり、時刻が表示されます。

その時に「INSERT COIN」と書かれたマークがディスプレイに表示され、動きが止まりますが、もう一度「play」ボタンを押すとコインを入れる絵が表示され、画面が動き、音が出ます。

「pattern」ボタンを押したまま「1~16」ボタンを押せば、パターンを再生できる

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本製品は購入した時から、あらかじめパターンが収録されています。パターンを再生する時は「pattern」ボタンを押したまま「1~16」ボタンのどれかを押して、「play」ボタンを押せば、そこに仕込まれている16個のシーケンス・パターンを再生する事ができます。

ですが、『PO-20 arcade』はオリジナルのパターンを作り上げる方が面白いですので、プリセットのパターンは消去します。その場合は、消したいパターンを選択して「chord」ボタンと「pattern」ボタンを押せば簡単に消す事ができます。

消去して空になった場所に新しいパターンを作る時は、「sound」ボタンを押しながら「1~16」ボタンのどれかを押し、サウンドをまず選びます。ボタンを押すと音が出ると同時に、インベーダーやUFOなどの絵が表示され、なかなか痛快です。

16ステップのグリッドに、ステップやパンチインでパターンを入力できる

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続いて「write」ボタンを押すと液晶画面の左下に四角い録音マークが表示され録音モードになります。

この状態にすると、「1~16」ボタンが16ステップのグリッドになり、先ほど選択したサウンドを、グリッド上の鳴らしたいタイミングにステップ入力してパターンを作る事ができます。入力するとボタンが赤く点灯し、どのタイミングで音が鳴るのか視覚的に確認できます。入力した後「play」ボタンを押せば、打ち込んだパターンが再生されます。もちろん「write」ボタンと「play」ボタンを一緒に押して録音再生しながらステップ入力する事も可能です。

本製品はステップ入力だけでなく、パンチイン入力する事もできます。

「play」ボタンでパターン再生中に「write」ボタンを指で押しながら「1~16」ボタンのどれかをリズミカルに押してやればパンチイン入力でき、多少のずれは自動的にクオンタイズされます。ノリながらパターンを作りたい時はこの方法がおすすめです。

今選択しているパターンを別の場所にコピーする事も簡単です。「write」ボタンと「pattern」ボタンを押しながら、「1~16」ボタンの中でコピーしたい先のボタンを押せばOKです。

ドラムを細かく連打させたい時は、ステップ・マルチプライヤー機能が便利

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ドラムを所々連打させたい時に便利なステップ・マルチプライヤーという機能も搭載されています。

その方法は、すでに打ち込まれたパターンの中で連打させたい音色を「sound」ボタンで選び、「write」ボタンで録音モードにします。すると「1~16」ボタンのグリッド上に、その音色が打ち込まれている箇所が赤く点灯します。その中から一つボタンを押したままにして「bpm m」ボタンを押します。すると、その場所だけドラムが細かく連打されて「ダダダダ!」という音になります。

この時「bpm m」ボタンを何回か押すとさらに細かく連打されます。所々ドラムを激しく連打させると曲に勢いが出てカッコいいです。アクセントをつけたい時におすすめの機能です。

後述しますが、先に「bpm m」ボタンを押してから「1~16」ボタンを押すとマスター・ボリュームが変わってしまうので注意が必要です。

最大で128個までパターンを繋ぎ合わせる事が可能

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本製品は16個のパターンを繋ぎ合わせて曲を作る事ができます。まず「pattern」ボタンを押しながら「1~16」ボタンのパターンを繋げたい順番に押します。繰り返しのパターンを作りたい時は「1~16」ボタンの繰り返したいボタンを、再生したい回数押せばOKです。最大で128個までパターンを数珠繋ぎする事が可能で、最後まで再生すると最初に戻りループされるように作られています。

筆者はノートに曲の展開を書き、それを見ながらパターンをプログラムしました。ボタンをカチカチ押しながらパターンを繋ぎ合わせる作業は、まさに打ち込みをしている感覚があります。途中でボタンを押し間違えると、最初からやり直さなければならないので慎重に打ち込みます。

曲の最後をフェードアウトで終わらせる事も簡単で、曲の終わりが近くなって来た時に「FX」ボタンと「play」ボタンを押してやれば、曲がゆっくりとフェードアウトして、きれいなエンディングを作る事ができます。

次は『PO-20 arcade』で、演奏した動画を撮影しましたのでお楽しみください!

『PO-20 arcade』Demo Play By FALCON-106

2つのノブを使ってサウンドの音程や、波形をコントロールできる

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続いて「ノブA・B」のご説明をします。こちらの2つのノブは音色のパラメーターを変化させたり、スウィングやテンポなどを調節するために使います。

本製品に内蔵されているほとんどのサウンドは、「ノブA」はピッチ、「ノブB」で波形をコントロールできます。ドラム系の音色は、「ノブA」がピッチで、「ノブB」が「ディケイ」だったりと例外もありますが、ノブが2つだけなので迷う事はないと思います。「1~16」ボタンに仕込まれたサウンドを押して、鳴らしながら「ノブA・B」を回せば、それぞれのサウンドの音程や音色をある程度エディットできます。

通常は音色を決めてからパターンを入力しますが、パターンを再生中に、リード系の音色で「ノブA」をリアルタイムに動かし、音程を変化させながら演奏するのもおすすめです。この時、設定したコード進行に合った音程で変化してくれるので、ノブを適当に動かしても曲っぽく聴こえるところが面白いポイントです。

前述しましたパンチイン入力で、メロディーを入力する事もできます。リード系の音色で「ノブA」を回して音階を決めて、再生しながら「write」ボタンを指で押さえパンチイン入力します。音階を変えてパンチイン入力を繰り返し、少しずつ音符を入力してメロディーを作る事が出来るのです。同様に「ノブB」の動きもパンチイン入力すれば、音色が変化するフレーズを作る事も可能です。

「bpm m」ボタンで、曲のテンポやマスター・ボリュームを設定

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「bpm m」と書かれたボタンは主にBPMとマスター・ボリュームを設定する時に使います。

他の「POシリーズ」とも共通していますが、一回押すごとにディスプレイ左上に「HIP HOP」、「DISCO」、「TECHNO」と表示され、それぞれのBPMが「80BPM」、「120BPM」、「140BPM」と固定で切り替わります。

「bpm m」ボタンを押しながら、「ノブB」を回せば「60BPM」~「240BPM」までの間で好きなテンポに微調整する事も可能です。「bpm m」ボタンを押しながら「ノブA」を回した時はリズムのスウィングを調整できます。

マスター・ボリュームを設定する時は、「bpm m」ボタンを押しながら「1~16」ボタンを押します。「1」は無音、「2」が小さい音、「16」がフル・ボリュームです。本製品はアウトプット端子からスピーカーに接続して鳴らす事も、内蔵スピーカーから音を出す事も可能です。内蔵スピーカーから音を出す時は、手に持つよりも机の上に置いた方が、音が机を反射してより明確に聴こえます。

「chord」ボタンと「1~16」ボタンを組み合わせて、コード進行を設定できる

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次は『PO-20 arcade』ならではの面白い機能をご紹介します。本製品は「chord」ボタンを押すと「1~16」ボタンがコードを設定するボタンになり、コード進行を作る事ができるのです。内蔵されたコードは次の通りです。

「1.Dm」「2.Em」「3.Esus」「4.E」「5.F」「6.G」「7.C/G」「8.E/G#」「9.Am」「10.C/A」「11.Dm/A」「12.D/A」「13.A」「14.B/A」「15.C」「16.D」

例えば、「Dm」、「G」、「C」、「F」というコード進行を繰り返したい場合は、「chord」ボタンを押しながら「1」、「6」、「15」、「5」と入力します。

するとコードを入力したボタンが赤く点灯し、パターンを一つ再生して次のパターンに行くと自動的にコードが切り替わります。最後まで再生すると最初のコードに戻り、ループする仕組みになっています。この機能は最大で128個までコード進行を入力する事ができます。曲の中で同じコードを何回か続けて演奏する事も簡単です。

例えば、「C」、「C」、「C」、「C」、「F」、「F」、「E」、「A」というコード進行を演奏したい場合は「chord」ボタンを押しながら、「15」、「15」、「15」、「15」、「5」、「5」、「4」、「13」と入力すればOKです。

余談になりますが、コードを選択した時、液晶ディスプレイにドットで描かれた「C」や「F」といった表示が一瞬横切り、なんとも遊び心が感じられます。

ここぞという時の必殺技、ドローンと、サイドチェイン機能を搭載

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それともう一つ、本製品の必殺技をご紹介します。「chord」ボタンを押しながら「ノブA」を回すと現在選択しているコード進行で、「パー」というシンセパッドのようなドローンを鳴らす事ができます。

さらにこの状態で「chord」ボタンを押しながら「ノブB」を回してみてください。ドローンの音にサイドチェインがかかります。「ンーパー、ンーパー」と一拍目に音量が絞られ、クラブ系の音楽でよく聴く効果を表現できます。

こちらのサイドチェインは、四つ打ちじゃないキックのパターンを打ち込んだとしても、一拍目に音量が絞られるサウンドになります。

キックにトリガーされてコンプレッサーが作動しているのではないみたいですが、ここぞという時にドローンをフェードインさせて、サイドチェインをかければ、曲の中で盛り上がりの展開を作れるので、ぜひ試してみて欲しい機能です。

ライブ・パフォーマンスで威力を発揮する豊富なエフェクトが内蔵

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本製品は再生中に「FX」ボタンを押しながら、「1~16」ボタンを押すと様々なエフェクトをかける事ができます。

どのようなエフェクトなのか、ざっくりとご説明すると、コードやリード以外をミュートしたり、リズムとベース以外をミュートしたり、ローパス・フィルターや、ハイパス・フィルターで、ゆっくり、もしくは素早く曲をスウィープさせたり、次のパターンに行く前にフィルインを入れたり、リトリガー、グリッチ、ブラインドなどで曲を激しく細切れにして、上昇型アルペジオでピコピコしたアクセントを入れたりと、バリエーションに富んだエフェクトが内蔵されています。ライブ・パフォーマンスで威力を発揮する事間違いないと思います。

レトロ・ゲーム風の音が好きな方や、チップ・チューンを作りたい方におすすめ

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『PO-20 arcade』の使用レポートいかがでしたでしょうか。本製品の魅力はなんといっても、8bitゲームのような電子音に特化している事で、ピコピコしたゲーム風の音が好きな方や、チップ・チューンを作ってみたい方でしたら、楽しめる事間違いないと思います。ボタンを押した時に表示される、ドットで描かれたレトロ・ゲーム風のグラフィックスもサウンドとマッチしていて魅力的です。

それとコード進行を設定できる機能はとても新鮮で、同じパターンでもコードが変わると、打ち込まれた音が自動的に違うハーモニーになって再生されるのが面白かったです。

本製品は、限られたスペースに様々な機能が凝縮されていて、2つのボタンを同時に押す事で、色々な操作が出来るように作られています。難易度はそれ程高くなく触っていて楽しいです。

別売りのシリコン製カバー、「Pro Case」に『PO-20 arcade』を収納する事もでき、バッテリーを保護したり、本格的な感触のボタンで操作したい方はこちらもおすすめです。筆者は「Pro Case」を付けていない状態も結構気に入っています。黒い基盤に描かれた数字や、マーク、キラリと光る金属パーツなどがカッコよく、いつも液晶やボタンの隙間に付いた埃をきれいに拭きたくなります。本製品は音、ルックス共に大切に使用したいと思わせる魅力があります。今後のPOシリーズは、どのような新機種が発売されるのか楽しみです。興味のある方は、ぜひ試してみてください!

詳しくはコチラ

Mikiya Komaba

Mikiya Komaba

ライター

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