WWWが一夜限りのラジオ局に!!
LAとTOKYOをつないだプログラムの全貌とは?

2013.11.02(SAT)
@渋谷WWW
<BEACON IN THE CITY>

フォー・テットの新作『ビューティフル・リワインド』(13年)は海賊放送へのオマージュを捧げたアルバムだったが、BEACON(=灯台)と題されたこのイベントも、「ラジオ愛」にあふれる素晴らしい一夜だった。まずメインフロアで行われたのは、LAのネットラジオ局「dublab」を主宰するフロスティことマーク・マクニールと、国内外のFMリスナーから絶大な支持を得ている音楽評論家/ラジオDJのピーター・バラカン氏によるトーク・セッション。司会進行役を原雅明氏が務め、09年の映画『パイレーツ・ロック』などを引き合いに出しつつ、ラジオの可能性や音楽の未来について熱く、ユーモアを交えながら語ってくれた。

もちろん、のべ15組以上ものミュージシャン、トラックメイカー、DJが競演したパフォーマンスも絶品だ。SIMI LABからの刺客OMSB&Hi’Specは、キレッキレのラップ&ビートの合間に挟む人懐っこいMCでオーディエンスを沸かせていたし、続くイルリメはDJ=ディスクジョッキーに徹して、1曲1曲をトーキング・スタイルで紹介するという<BEACON IN THE CITY>ならではのセット。ローラ・マヴーラから山下達郎、さらにはジャイアント馬場(!)といった大ネタまで躊躇なくブチ込んでいくスピンは、あらゆる意味で衝撃的だ(笑)。ジャズ界の重鎮ベーシスト鈴木勲DJ Kenseiのスペシャル・セッションは、お互い初めての手合わせとは信じられないほどグルーヴィーで、フライング・ロータス&サンダーキャットのコンビを思い出したりもした。会場のWWWは、「dublab」と蜜月関係にある<ロウ・エンド・セオリー>のスピンオフ・イベントを過去に開催しているので、音響も相性も◎なのは言うまでもない。

そして深夜3時を回ったころ、ジェダイ風の黒装束をまとったフロスティと、もみあげ紳士デイデラスによる最強タッグ=アドベンチャー・タイムが登場。結成10年の節目にして遂に日本初ステージとなった彼らだが、翌年にはニュー・アルバム『Of Beyond』のリリースも控えているとのことで、シチュエーションは完璧だ。世界中を旅し、世界中のレコードをDigって来た2人の描く壮大なサウンドスケープは、「冒険」という名に偽りなしの美しい音絵巻だった。その興奮と熱狂をキープしたまま、トレードマークのタキシードを羽織ったデイデラスがソロ・パフォーマンスを披露。ファンにはお馴染みのモノーム(LEDを使った直感型のインターフェース)をまるでカラダの一部のように操りながら、超速BPMのダブステップ〜ブレイクコア〜アブストラクト・ヒップホップetcを矢継ぎ早に投下し、フロアのヴォルテージをどこまでもアゲていく。こりゃあ、最新作『Drown Out』にも相当期待できそうだ。

フィナーレには、現地LAの「dublab」スタジオからDJ&ライヴをストリーミング中継。パーティは明け方までノンストップで続いた。音楽の過去と未来を結ぶ“Future Root”なる裏テーマが掲げられた<BEACON IN THE CITY>は、大好きなラジオ番組がソックリそのまま3Dになったかのような非日常体験が味わえる、1粒で2度おいしいプログラムだった。ぜひ、来年以降はレギュラー開催でお願いしますよ!

(text by Kohei Ueno)
(photo by Yukitaka Amemiya / Red Bull Content Pool)

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多様なミュージック・ラヴァーの交錯する、文化の発信・見本市の楽しみ方はいろいろ!