ダモ鈴木が六本木に光臨。
ヤバすぎる仲間達と繰り出す、サイケで濃密な8時間即興バトル

2013.11.02(SAT)
@西麻布SuperDeluxe
<DAMO SUZUKI’S NETWORK>

ドイツが生んだ伝説のバンドCANの2代目ヴォーカリストとして世に現われ、世界中のミュージシャンから尊敬を集める異能の日本人シンガーがダモ鈴木だ。そんな彼がライフワークとして継続しているセッション・プロジェクト<DAMO SUZUKI’S NETWORK>が、<RBMA Weekender>のスペシャル仕様でお披露目された。この夜の演奏時間は約8時間! 20人以上に及ぶ凄腕が繰り広げる“朝までコース”でまさに六本木心中、誰がどこで飛び出すかわからない真剣勝負はとにかく濃厚だった。会場入りすると不穏なジャムが既に始まっており、レッドブル・ウォッカを片手にサイケデリックなムードに浸っていると、ダモ鈴木がいよいよステージへ。ドスの効いた呪術的な声が響き渡った瞬間、フロアの空気が一変する。荒々しいガレージ・サウンドが生み出す極彩色のグルーヴもヒート・アップ。バックの演者が入れ替わりながら、ダモ・ハリケーンが牙を剥く。

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演奏はそこから次第にポスト・パンク調に変化し、ステージ上ではガスマスクを被った男がカミソリのごとき鋭利なギターを搔き鳴らす。危険なムードがプンプン漂うなか、日本で一番アブない男こと灰野敬二がご登壇。サングラスを装着したいつもの出で立ちでマイクを握り、「何もかもぶっ壊ーす!」 と号砲一発大絶叫。絶世のノイズ・アーティストによる日本語の咆哮と、陽炎のようにゆらめき迫ってくるダモの英語がミックスされた、奇天烈すぎるヴォイス・パフォーマンスがこの夜最大のハイライトだろう。

そこから尺八や和太鼓、サックスなども加わり、数時間を経過し混沌を極めていくステージに、気がつけばオマー・ロドリゲス・ロペスの姿も。アット・ザ・ドライヴイン/マーズ・ヴォルタのギタリストとして有名な彼だが、ダモ鈴木とはコラボEP『Please Heat This Eventually』(07年)を発表するなど師弟関係といえる間柄。ギラつくほど個性を発揮していた灰野とは対照的に、随所でテクニカルな冴えを見せながら、ツボを抑えたプレイで観客を魅了した。

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阿鼻叫喚のインプロは午前0時目前に最初のピークを迎え、SF映画の古典『メトロポリス』に伴奏をつけるパフォーマンスを挟んで、即興の宴は世が明けるまで続いた。そういえば数日後、プライマル・スクリームの来日公演でボビー・ギレスピーもダモさんにリスペクトを捧げたそうだが、わかる人はみんなわかってる異端児の魅力がこれでもかと発揮された一夜だった。

(text by Toshiya Oguma)
(photo by Pere Masramon / Red Bull Content Pool)

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