2日間に渡って体感する、大いなる可能性に満ちた
”エレクトロニック・ミュージック=電子音楽”

2013.11.03(SUN), 04(MON)
@恵比寿LIQUIDROOM/TIME OUT CAFE & DINER
<EMAF TOKYO 2013>

DAY-1:「電子音楽」の現在進行型〜未来を体感!
初日の“目玉”の1つはドイツが世界に誇る名門電子音楽レーベル〈Raster-Noton〉のツートップであるカールステン・ニコライ(a.k.a. アルヴァ・ノト)とバイトーンによるユニット、ダイアモンド・ヴァージョン。今回のライヴでは蛍光灯の放電ノイズを使用した音響装置“オプトロン”を開発した伊東篤宏を迎えたスペシャル・ライヴを披露。ストイックなまでの反復ビートは時にハンマーのような威力を保ち、ジャーマン・テクノ魂の最新型を我々に披露してくれた。

【レポート】総勢197名のアーティストが集結した夢の4日間<Red Bull Music Academy Weekender Tokyo>、全7公演を総力レポート! feature131114_rbmaw-repo1103_emaftokyo2013_peremasramon-079

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もう一つの“目玉”は、Qeticでもお馴染み、初期ドリンベースから現在ではダブステップ~ジュークなど現行エレクトロニック・ミュージックの新潮流を常に発信し続ける〈Planet Mu〉主宰のμ-ziq(ミュージック)。彼の醍醐味である美メロ・エレクトロニカから徐々にジャングルやガバなど、奇才の全てが詰め込まれた素晴らしいライヴでした!

日本が世界に誇る電子音楽家、AOKI takamasaは、キャリアでも最高傑作であろう『RV8』を中心とした、上ものシンセのクリアな繊細さと太くダンサブルなビート・・。リキッドルーム全体が素晴らしい空間になる絶品ライヴに心地よく踊らされ気持ちがヨカッタ〜。

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【レポート】総勢197名のアーティストが集結した夢の4日間<Red Bull Music Academy Weekender Tokyo>、全7公演を総力レポート! feature131114_rbmaw-repo1103_emaftokyo2013_peremasramon-012

なにせ、3ステージが同時進行して行われ、両日とも20組を超すラインナップだったため全アクトを観ることは残念ながら出来なかったが、その他もエディット高速ブレイクスが超カッコよかったワールズ・エンド・ガールフレンド&アナザー・アルケミー、トップバッターとして今回はザ・メルグリム・グループとして大勢のバンド形式としてライヴを行ったメルグリム達が生楽器とエレクトロニクスを融合する素晴らしいライヴで観客を沸かせた!

そのメルグリムが主宰する〈moph records〉がキュレートした上階のリキッド・ロフトとKATAも、フラグメントモシモスヨシ・ホリカワなど、今最も観ておくべきラインナップが質の高いパフォーマンスで「電子音楽の祭典」を具現化してくれる素晴らしい初日が終了。

DAY-2:「電子音楽」の実験性・先鋭さを知る2日目!
<EMAF>の2日目の個人的なベスト・アクトはルシーン(Lusine)。デトロイトの〈Ghostly International〉に所属する彼のセットは最高だった。デトロイトのビート・ダウン系のジワジワとそして時にソウルフルなテック・ハウスが織りなすプレイはクラブ・ミュージックの”神髄”を知る彼の懐の深さを知るセットだった。

場の雰囲気を一気に変えたのはこの日の“目玉”であるフェネス。ノイジーなアンビエント・エレクトニカの一つのひな形を作った彼のライヴは、ちりばめられたチリチリ、ジージー言うノイズの中にギターのメロディーが溶け込み、時に激しくそして美しい・・。ノイズとアンビエントがこれほどまでエモーショナルであることを教えてくれる素晴らしいライヴ。

上階フロアの2日目のキュレーターは国産オンライン・レーベルの最高峰〈Bunkai-Kei Records〉。同レーベルの看板GO-QUALIAとレーベル主宰YAKO NAOHIROのコンビによる視覚と聴覚を刺激するライヴや、バキっとしたテクノが気持ちよかったYaporigamiなど、いわゆる電子音楽と言えど、独特な雰囲気とセンスを放つ気鋭のアーティストが今の日本にはたくさんいるんだなぁという希望が見えるものであった。

そしてメイン・ステージの大トリは日本のヒップホップ黎明期を支え、現在は“現代音楽の巨匠”として君臨するヤン富田氏が登場。「音楽による意識の拡大」をテーマに被験者3人の脳の微弱な電気信号を用いたブレイン・パルスで疑似宇宙へトリップするという実験的なパフォーマンスは非常に刺激的であった!

恵比寿リキッドルーム&リキッド・ロフト、KATAの3会場を舞台に合計40以上のアーティストが様々なフォーマット(ライヴ・DJ・VJ)のパフォーマンスを行ったこの2日間。隣接するTime Out café&Diner では講師に初日にはバイトーンとのユニット、ダイアモンド・ヴァージョンとして出演したカールステン・ニコライ、2日目は日本にテクノを根付かせた張本人である砂原良徳(同日に素晴らしいライヴも披露)によるレクチャー・プログラムも行われ、EMAF=エレクトリック・ミュージック・アンド・アート・フェスティバルの頭文字を取ったこの2日間は、まさにその名の通りの「電子音楽とアートの祭典」として大団円で終了した。また来年もぜひ行って欲しいイベントでした!!

(text by ダブルビー)
(photo by Pere Masramon / Red Bull Content Pool)

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テーリ・テムリッツによる素晴らしきロングセットで幕を閉じた怒涛のウィークエンド