多様なミュージック・ラヴァーの交錯する、
文化の発信・見本市<CULTURE FAIR>の楽しみ方はいろいろ!

2013.11.03(SUN)
@表参道BA-TSU ART GALLERY/Gallery COMMON
<CULTURE FAIR>

11月3日(日)昼間、表参道側からキャット・ストリートに入り、すぐに一個脇の角道を曲がったところにギャラリー「BATSU ART GALLERY」はある。既に人で賑わうギャラリーでは<RBMA Weekender>の催しのひとつ、<CULTURE FAIR>が開催されている。この週末、東京で開催された他の<RBMA Weekender>の催しはライヴ・イベントとしての趣が強いものだが、ここではあくまでレコードを漁りに来たディガーたちや、音楽に対する深い造詣を求めに来た人、開放的な庭でお酒とフード・音楽を楽しむパーティ好き、なかにはつい面白そうだから立ち寄ったというような人まで、開口の広いフリーパーティないしはフリーマーケットのような自由な開放感で以てお客をもてなしていたように感じる。それは音楽の広い楽しみ方を提供する<レッドブル・ミュージック・アカデミー>の精神を感じさせるものであると同時に、日常的に音楽にまつわる情報を発信し、イベント、ラジオ番組などのコンテンツを展開している<レッドブル・ミュージック・アカデミー>ならではの文化の根付け方を考えたものなのではないか。

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ギャラリー内にはJazzy SportやLighthouse Records、Disc Shop Zero、Techniqueをはじめ、都内の厳選されたレコードショップ10店舗以上によるレコードフェアが行われ、そこには真剣な表情でレコードに目を通し、試聴に集中しているディガーたちによる静かな熱気があり、なかには著名なDJの姿も目立った。特に海外から来ているDJたちには、垂涎必至のたまらないスポットだろう、目を煌々と輝かせている。レコードフェアの横にはブック・コーナーも併設されており、<レッドブル・ミュージック・アカデミー>15周年を記念してドイツの「Gestalten」から出版されたアートブック「FOR THE RECORD」が並んでいる。「FOR THE RECORD」とは、<レッドブル・ミュージック・アカデミー>が企画した、トップ・アーティストや音楽シーンに携わるあらゆる人々による対談をまとめたもので、重量感のある非常に豪華な装丁となっている。フードやリカーを手にし、談笑客が占めた庭を抜けたところにある小ギャラリーには、この本に収録された伝説級のDJたちのスタジオ写真やトップ・アーティストたちの対談写真が抜粋され、フォトディスプレイとして飾られている。ナイル・ロジャースやリー・スクラッチ・ペリーといった巨匠から、NYのラップデュオジ・アンダーアチーバーズといった気鋭の新人アーティストまで、写真を眺めるだけでも興味深い。

夕方18時を過ぎた頃、ギャラリーの2Fロフトスペースに人が集まり、この日の目玉企画、名盤リスニング&トークセッション・プログラム「Classic Album Sundays」がスタートした。NYのラジオDJとしてのキャリアを持ち、現在はロンドンを拠点として活動する女性DJ Cosmoによる新感覚リスニング・セッションとして、話題のこのプログラム。この日はゲストにDJ KRUSHを迎えて、彼の選んだ名盤、マイルス・デイヴィスの『死刑台のエレベーター』(61年公開)を深く掘り下げて聴くというもの。まずはCosmoによってひとしきり作品の聴き所や背景による解説がされた後、DJ KRUSHが登場。Cosmoがインタヴュアーとなって、この作品にまつわる彼の幼少時代のエピソードや、映画音楽について、ヒップホップに繋がるジャズの魅力が話された。トーク・セッション終了後には建物内はライトダウンされ、皆でこだわりのサウンドシステムによって鳴らされるマイルスのサックスに耳を澄ます。見下ろすと階下のレコードフェアでは、手元の携帯の明かりを頼りに熱心にレコードを見ている人がいる。様々なミュージック・ラヴァーたちが交錯する空間。文化の発信に必要なのは、こうした空間の存在であり、今私たちが最も欲しているものでもある。街中でこうした活動が行われると思うと来年、<レッドブル・ミュージック・アカデミー>の東京開催が楽しみでならない。

(text by Yu Nakazato)
(photo by Tadamasa Iguchi / Red Bull Content Pool)

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集った豪華ラインナップとオーディエンスが生み出したさらなる音楽の可能性とその未来!