テーリ・テムリッツによる素晴らしきロングセットで幕を閉じた
怒涛のウィークエンド
2013.11.04(MON)
@恵比寿TIME OUT CAFE & DINER
<CLOSING PARTY>
忘れがたい、とてもいい空間だった。久びさに会えた先輩やあまり話したことがなかった知人とじっくり話せたり、ちょっと前まで<EMAF TOKYO 2013>に出演していたアーティストたちがお互いに労い合いながら乾杯する様子を見ながらなんだかこっちもほっこりしたり。パーティがいよいよ終わりにむかっていく時間というのは、少し寂しいけれども、何か得難い充足感のようなものがある。怒涛のように過ぎ去った<RBMA Weekender>の4日間を締めくくったクロージング・パーティは、終始、そんな温かなムードに包まれていたように思う。それもこれもDJスプリンクルズことテーリ・テムリッツのDJが最高であったからに他ならない。
テーリ・テムリッツと言えば、現代社会におけるさまざまな歪みを批評したポリティカルかつコンセプチュアルな作品の数々、またテクノ、ハウス、アンビエント、ノイズ、ドローンなどジャンルにとらわれず、実に様々なタイプのサウンドをクリエイトするアーティストして知られている。が、この日のDJは彼のハウス・ミュージックへの愛情を屈託なく表現したような、ダンサブルで、とてもラヴリーなセットだった。ラリー・ハード系の流麗なディープ・ハウスもあれば、フランキー・ナックルズの“ホイッスル・ソング”もかかったし、バキバキのシカゴ・アシッドもあったし、アフロビートもあれば、00年頃の〈コンパクト〉、あるいは〈モザイク〉や〈プロファン〉といったレーベルのサウンドをイメージさせるミニマルなテック・ハウスもあった。この夜のテーリ・テムリッツはラウンジDJとしての役割に徹しているようで、音量もやや控えめだったが、しかしそのグルーヴはそこに集まった人たちの気分を巧みに高揚させていた。それにしてもこんな感じで彼のDJを聴くのはものすごい贅沢だなことだ(なにしろこのクロージング・パーティは入場料無料でもあったのだ)。その贅沢を思いっきり堪能させてもらったが、やっぱり次は改めて爆音で聴きたいという欲も出てきてしまった。そんな意味も込めて、最後、フロアから拍手が沸き起こったとき、僕も一緒に手を叩いたのだった。
(text by Naohiro Kato)
(photo by Pere Masramon / Red Bull Content Pool)
★そして来年、<Red Bull Music Academy>の開催地に東京が決定!
数多くの気鋭アーティストを輩出したアカデミーが遂に日本初上陸!!