――「これだったらやってみたいな」とか、ご自身の中でやってみるかどうかの判断基準はありますか?
ミュージシャン、シシド・カフカを誘っていただいてることと、一緒に作り上げられるものがありそうな現場の雰囲気、ですね。ただ単にお洋服を着させていただくのではなくて、洋服を選ぶ段階だったり、写真の撮り方だったり。「こういう感じにしよう」っていう話し合いの輪に入れてもらえる現場には積極的に行きたいですね。私は音楽畑にしかいなかったので、他の世界のことは分からないですけど、私が感じたイメージ、「私はこうしたい」っていうビジョンを会話できるような場所は面白いですよね。「あ、メイクってそういう見方をするんだ」とか、メイクさんとヘアの人とスタイリストの人がこんなに密に、こここう思ったからこうしたいんだけどさ、こここう思ったからこう変えたよっていう会話をしてたりだとか、あ、そうやって一個一個作り上げて行くんだな、って全部報告するんだ、ってびっくりしたりとか。でもそれがひとつのことを作り上げていくっていうみんなでいいもの、みんなの良い所を尊重しあって良い物をちゃんと作るっていう現場なんだなっていうことを感じられたりとか、なんかそういう匂いが働く仕事はやっぱり楽しいですよね。
――なるほど。現場にコミットする、雰囲気を知ることが重要なんですね。
せっかくならば、「はい、撮りました。はい、さようなら」よりは、何か得られる方が楽しいですし。
――ドラムにフォーカスした質問ですが、ご自身の叩くドラムについては、どんな音を目指そうとしていますか?
タイトなドラムが良いっていうドラムの世論みたいなものがありますけど、私はタイトではなく、粘着質なドラムが好きなんです。ビートが後に伸びるというか、その音が一体どうやったら出るのかを研究してますね。
――粘着質なドラムを叩くための創意工夫としてはどんなことが挙げられますか?
ビートの打点と打点、いわゆるグルーヴと呼ばれる間のことだと思うんですけど、それをどれだけ後ろに引っ張れるか、だと思いますね。その糸引き具合でタイトなのか粘着質なのかが変わってくるんじゃないかな。まだまだ難しいですけどね。
――今は理想のドラムを試行錯誤しながら追求しているんですね。機材にこだわることも重要ですか?
モノではないと思ってますね。
――つまり、自分の技術っていうことですか?
そうですね。昔から新しいモノにすぐ飛びつかないというか、一つ気に入ったモノを買えば、それでしばらく満足できるんです。「どうしてもあの音が欲しいなぁ」となって、はじめて探すっていう感じですかね。常に新しいモノを探しているようなタイプではないんですよ。