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ジョブズの精神を受け継ぐ＜iTunes Festival＞、昨年の総集編が丸ごと放送

Music ｜ 2014.01.27 Mon

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●“ラウンドハウス＝円形の家”をスターとファンで貸し切る１ヵ月間

また、１ヵ月間全く変わらない円形の会場と、それをぐるーっと捉えるカメラワークによって、アーティストごとの演出の違いや客層の変化を楽しめるのもこのフェスならでは。“Roar”などを披露したケイティ・ペリーが風で身体に布をまとわせたり、ジェシー・Jのセットにディジー・ラスカルやメアリー・J・ブライジが飛び入りしたり、はたまたザ・ルミニアーズが“告白ソング”として人気の“Ho Hey”などでコール＆レスポンスを展開すれば、オーケストラを引き連れたシガー・ロスの背後には名曲“Hoppípolla”で空から降り注ぐ火花が登場。それとは対照的にジャック・ジョンソンはギター一本で奥さんに捧げた曲を披露。そしてジョン・レジェンドは客席から自然に生まれた合唱を前にピアノを止め、アカペラで会場一体に……。

●スティーブ・ジョブズの精神はこんなところにも？！

これだけのライヴを全部タダで配信したなんて余りに贅沢だが、そもそも03年にiTunes Storeがオープンした時も、故スティーブ・ジョブズは「人に使ってもらうことでシーンが盛り上がり、その結果は必ず自分たちに返ってくる」と赤字覚悟の価格をつけた。その精神は、やはりこのフェスにも受け継がれているはずなのだ。他にもパラモア、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ、ナイル・ロジャースやエルトン・ジョンの貫禄のステージなど、ライヴの形はアーティストによって様々。そしてケイティ・ペリーやジェシー・Jとクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジらでは同じフェスとは思えないほど客層が異なっていて、フェスと言うより単独ライヴを何本も観ているような雰囲気が最高に面白い。開催当日は日本時間の午前5時からライヴ配信だったため、今回は落ち着いて観られるのも嬉しいはずだ。

●世界最大規模のオンライン・ストアによる音楽フェスを見逃すな！

様々なジャンルから注目の面々をずらりと取り揃えた全編は、言ってみれば世界最大の本屋が開催するブック・フェスティバルのようなもので、今聴くべきポップ・ミュージックの粋や楽しさが凝縮。ジャンルの似通った人気アクトと注目の若手をセットでブッキングすることでフックアップ機能も果たされ、ここから後のヘッドライナーが生まれる可能性もある（今回オンエアがない若手アクト＝ハイム、ザ・1975らの当日のライヴ音源もiTunes Storeで購入可能）。オンライン音楽サービスのパイオニア＆最大手だからこそ実現するクオリティ、シーンの先を見据えた展開によって、14年も豪華な面々が集結するはずの同フェス。その魅力的な１ヵ月間の雰囲気を、この機会に体験してみては？！

（text by Jin Sugiyama）

Apple – iTunes Festival 2013 – Moments