名マスタリング・エンジニアを父親に、伝説の元祖ガールズ・ポストパンク・バンド、レインコーツのメンバーであるイングリッド・ウェイスを母親に持つ生粋の音楽一家に生まれた3兄弟バンド、キティー・デイジー&ルイス。世界中のメディアから称賛を集めるだけでなく、エイミー・ワインハウス、コールドプレイから、デヴィッド・リンチ、ダスティン・ホフマン、イライジャ・ウッド、ユアン・マクレガーといったセレブリティにまで愛されている彼ら。
1月20日(木)にリリースした新作『キティー・デイジー&ルイス ザ・サード』はまさに全世界待望の作品。本作は、新たに建てられた16トラックのアナログ・スタジオにて、元クラッシュのミック・ジョーンズをプロデューサーに迎えてレコーディングを遂行。定評のあるこだわりのヴィンテージ・サウンドにさらなる磨きかかっている。ブルースからディスコまで幅広い音楽スタイルを取り入れながら、一聴してキティー・デイジー&ルイスとわかるヴィンテージ感満載な本作。今回Qeticでは、長女デイジーに新作のエピソードや今後の活動に趣味(!)までをも聞いたオフィシャルインタビューをお届け。<フジロック>以来5年ぶりの来日公演を控えた今、ぜひ新作をお供にご一読あれ。
Kitty, Daisy&Lewis – “Baby Bye Bye”
Interview:Daisy (Kitty,Daisy & Lewis)
――もしもし、デイジーですか?
(ゴホン!と咳き込む)ごめんね、ちょっと待ってもらえる?……
――取材始めてもオッケーでしょうか?
(沈黙)ごめんなさい、いま、犬をキティに託したところで(笑)。
――(笑)。
(キティと飼い犬に向かって「バイバ〜イ!」)
――今日は本当にありがとうございます。
いいのよ、気にしないで。
――昨日は(※この電話取材は前日に行われる予定でした)具合が悪かったそうで、心配してました。少し元気になりましたか?
んー、まだ本調子じゃないけど、昨日よりはずっとマシよ(笑)。
――そんな中で、こうして取材で働かせてすみません。
(苦笑)いいわよ、気にしないで!
――1stから前作『スモーキング・イン・ヘブン』の音楽的な飛躍もびっくりしましたが今作はさらに進化(深化)してますね。素晴らしいのひと言です。そしてこのアルバムを引っさげてぜひ日本での単独公演を見てみたいです!
わー、ほんと? うん、私達もまた日本に行けるのが待ち遠しいわ(笑)!
――さて今回はライヴ・ミュージックのメッカであるカムデンタウン、そこにスタジオを移したそうですが ……。
うん、っていうかケンティッシュ・タウンね(※ケンティッシュ•タウンはカムデンに隣接するエリアで、区としては同じくBorough of Camden)。
――ああ、カムデンとケンティッシュ•タウンの境界あたり?
うん、エリアとしてはカムデンなんだけど、感覚としてはケンティッシュ•タウンっていう。
――なるほど。なぜ新たにスタジオを作ったんですか? 確か、ご自宅にスタジオがあるんだと思ってましたが?
うん、だから今回は自分達でスタジオを「建てた」のね、一から。もちろん、スタジオのある建物そのものを土台から作ったってわけじゃないけど!
――ええ(笑)。
ハハハッ! で……あの建物は元々は古いインディアン・レストランでね。私達の父も、そのレストランがまだ営業していた頃に何度か食事しに行ったことがあって。だから、「以前ここはインディアン・レストランだった」って話は色々と聞かされていたの。そうそう、チャック•ベリーも一度、あそこにご飯を食べに来たことがあるんですって。
――えー、マジですか(笑)!
(笑)。うん。で、彼は食事代を払おうとしなかった、とかなんとか。
――(笑)。
で、とにかく……あの建物はここ10年くらい閉鎖されていたっていう。その間にスクワッター達(※不法居住者)が移り住んだりとか、とにかくこう、すっかり放置された、グジグジしたボロ屋になっていたわけ。だから私達があの建物を手に入れてから……ほぼ3年くらいかかったな、今みたくスタジオとして使えるような、そういうコンディションにあの建物を持っていくまでかなり時間がかかった。で……うん、今はレコーディングをやるのにもってこいのスペースになったっていう。