K-POPグループの中でもトップ・クラスの人気を誇りながら、現在はグループとしての日本での活動を一旦休止することを発表している2PM。そのメンバーのひとりWOOYOUNGが、日本でのソロ2作目となるミニアルバム『Party Shots』を完成させた。

全編セルフ・プロデュースとなる今回の作品のタイトル曲“Party Shots”は、軽やかなR&B/ファンク・チューンだった15年のソロ・デビュー曲“R.O.S.E”とはまた異なり、現在のUSシーンを席巻するトラップやEDMの要素を取り入れたパーティー・チューン。

また、作品の全編には古今東西の様々なサウンドも顔を出し、アイドルとしての顔とマニアックな音楽リスナーとしての顔が絶妙なバランスで作品に詰め込まれている。今回はそんな作品について、そして彼のエンターテインメント観について話を聞きました。

Interview:WOOYOUNG(From 2PM)

——2PMとしての日本での活動は一旦休むことになりましたが、こうしてソロ作が届けられたことはファンにはとても嬉しいことだと思います。今回のソロ2作目を出すにあたって、WOOYOUNGさんはどんなことを考えていましたか?

おっしゃる通り、2PMとしては当分の間日本で一緒に活動することはお休みすることになったので、ひとりでソロをやることへのプレッシャーや、ファンのみなさんの期待にちゃんと応えられるだろうか、という緊張を感じていました。そのプレッシャーは今もあって、「みなさんの期待に応えられるものになっている」と、毎日呪文のように唱えているところですね(笑)。

——(笑)。今回のタイトル曲“Party Shots”は、ソロ・デビュー曲だった15年の “R.O.S.E”とは随分音楽性が変わっていますね。おそらくWOOYOUNGさんの今の興味が反映されていると思うのですが、この曲はどんなアイディアで生まれたものだったんですか?

今回は「どうしたら思い切り楽しんで遊べるか」「どうしたらノリノリの曲が作れるか」と悩んだ結果、EDM的な要素や、(トラップを含む)ヒップホップ的な要素、インド的なサウンドも取り入れて楽曲を作りました。歌詞の内容も一見バラバラで、繰り返される単語は「Party Shots」だけ。そういうとりとめのない中で、いかに思い切り遊べるかを考えましたね。「これからエンドレスなパーティーがはじまるよ」というエネルギーを表現した曲です。

——そもそも、今回パーティー・チューンを作ろうと思ったのはなぜだったんでしょう?

前回の“R.O.S.E”はソロとしての初シングルだったので、少年の感性をみなさんにお見せしたいと思っていました。でも今回は、楽曲の「ノリ」やクレイジーにパーティーに興じるような、そんな少年性を表現してみたいと思っていたんです。だから、すごく攻めている感じがあるかもしれないですけど、ジャケットも含めてところどころ可愛さのようなものも入れつつ、それがあまり異質に見えないように作っていきました。ソロ2作目ということで、前回とは完全に違うものが作りたかったんですよ。僕はポップスをやっているわけですから、もちろん聴いてくれる人のことを考えずに音楽を作ったりはしません。でも、それをベースにしつつ、最大限エネルギッシュな音楽を作ってみたいという気持ちでした。

WOOYOUNG (From 2PM) 『Party Shots』ミュージックビデオ

——今話していても、WOOYOUNGさんはどこか落ち着いた雰囲気のある人ですよね。そんなWOOYOUNGさんのソロ曲が“Party Shots”だというのはとても面白いです。もちろん、今回の作品を全部通して聴くと、色々な表情が収められているわけですが(笑)。

(笑)。普段はこうして真面目な話をするのが大好きですが、ステージに立つときは、そういうものだけではない僕の姿を見せたいと思っているんですよ。爆発して何かが弾けるようなパフォーマンスや、限界を感じさせない体の動きや叫びを表現したい。一方で、2曲目の“Where is She”はオールド過ぎず、かといってあまり未来的過ぎもしない王道のR&Bですね。この曲は「Where Is She」というキーワードに合うよう曲を考えていきました。歌詞では「なぜ愛した彼女が離れていったのか」「なぜ僕は彼女を愛したのか」。この問いを前に、答えを見つけられずにいる男の心情を表現しています。最初は好きになった理由を語っていて、2番では同じ理由で気持ちが変わっていく男の気持ちを描いていますよね。その混乱した心境を歌詞として整理するのが大変だったので、歌詞は苦労しました。周りの方には「この曲がシングルの方がいいんじゃないの?」と言われます(笑)。ただ、僕としてはチャレンジングに“Party Shots”をタイトル曲にしたかったんですよ。次の“Going Going”は好きな人ができたときの気持ちを表現した曲。それを痛快な、開放感がある雰囲気で表現したいと思いました。それでニュージャック・スウィングの要素を取り入れたり、ファンキーなビートやサウンドを入れています。イメージとしては、一緒に車に乗ってドライブをして、海で叫んだり、海風に当たったりしているような、そんな雰囲気ですね。

——シンセの音が心臓の鼓動を連想させますね。そして次の“Chill OUT”は、ジュークやフットワークのようなビートとソウルフルでジャジーなトラックが合わさっていて、チャンス・ザ・ラッパーの曲に通じるような雰囲気も感じます。

ああ、チャンス・ザ・ラッパーは好きで聴いていますよ。それに、僕の周囲にはDJをしている友達や先輩たちがたくさんいるので、その影響で僕も趣味で家でスクラッチをしているんです。一緒に曲作りをしてくれた方が、そういった僕の好みやスタイルをよく知ってくれていて、その雰囲気を上手く生かしてくれました。僕はいつも「どうすれば人に癒しを与えられるのだろうか」と考えていて、でも、現代というのは本当に忙しないですよね。そんな中でも「少し肩の力を抜いていこうよ」「休みながらいこうよ」というのがこの曲のテーマです。サウンド的にはヒップホップや、オールドスクールなスクラッチも入っていて、仕事帰りに友達と一緒にジャズ・バーに来たかのような雰囲気もあると思います。“波”は、このミニアルバムの中に「必ずバラードを一曲入れたい」と思って作った曲。1曲は僕の感性を歌い上げるような、感情や感性でメロディを伝えるような曲を入れたいと思っていました。それで、この曲だけはあえて日本語の曲名にして、その気持ちを表現しています。一方、“想像してみて”はもともと(2PMの2016年のツアー)<GALAXY OF 2PM>のオープニング曲で、このツアーは僕にとって本当に印象深いツアーでした。それもあって、ソロのステージでもこの曲を披露したいと思ったんです。それが今回のバージョンを作った理由ですね。映画『ジャングルブック』や映画『アバター』のサウンドトラックのように、森や林を連想させるものに焦点を当てて作っていきました。僕は映画音楽も大好きなんですよ。

——今回の『Party Shots』には、本当にWOOYOUNGさんの色々な表情が詰まっていますね。中でも、今回のミニアルバムが完成するまでに重要だった曲というと?

それはやっぱり、“Party Shots”ですね。今回、一番最初に作った曲が“Party Shots”でした。この曲ができあがったとき、「すごくいいものができた」という自信を持てたので、それから作った楽曲は、ただひたすら楽しみながら作業することができました。

——ソロ活動を重ねていくにつれて、2PMとしての活動との違いがどんどん分かってくる面もあるかと思います。その辺りについてはどう感じていますか?

まず、僕にとってグループで活動できているということは、本当に大きなことでした。もしも最初からソロでずっと活動していたら、自分で全部を成し遂げたような気持になっていたと思うんです。自分が優秀だから、自分がかっこいいから、という考えをもとに価値観が形成されて、その価値観にとらわれていたような気がします。でも、チームで活動したことで、相手への配慮や「譲る」という気持ちの大切さを知ることができた。みんなで何かを作っていく作業は、相手の意見に耳を傾けて、「自分の考えだけが正解ではない」ことを知る作業ですよね。それがチームの絆を深めて、チームの力になっていく、もっと自信を持って堂々とやっていくことができる。それを学びました。一方で、ひとりで活動するのは、それとはまったく違う魅力があるものですね。どちらが大変かという話ではなくて、その両方でどんな学びの違いがあるのか、ということが大切だと思っています。