先日、日本のプロレス界に衝撃が走りました。なんと、星野源さんと吉岡里帆さんでお馴染みの「どん兵衛」のCMシリーズに、プロレス界のヒーロー中邑真輔さんが衝撃の出演!日本のプロレスファンや世界各国のWWEユニバース(※1)をはじめとして、賞賛の嵐が巻き起こりましたね。
※1:WWEファンの総称
昨年のWWE日本公演では直前の事故による負傷で欠場を余儀なくされた中邑選手ですが、あれから1年、やはりWWEの第一線で常に活躍され、ついに今年の日本公演でも出場が発表されました。久しぶりに真輔さんの活躍を会場で観れるなんて、ファンは皆もう待ちきれなくなっていますね。今回はそんなスーパースター中邑真輔さんの合同インタビューに参加させて頂きましたので、その様子をお伝えしたいと思います。それでは早速いってみましょう! イヤァオ!!
(イヤァオ! と言うのは記事の最後にとっておこうと思ったんですが、すいません、我慢できませんでした)
Interview:中邑真輔
——それでは、インタビューよろしくお願いします。
好きな食べ物は、どん兵衛です!!
——(笑)。最近よく日本に帰ってこられてますね。
今年2度目で、先月どん兵衛の撮影で日本に帰ってきたばかりですもんね。家族からはブーイングですよ。かむかむレモンのぶどう味のやつ(かむかむ巨峰)を買ってくるように言われてます(笑)。
——今回はシンガポール経由で日本に帰ってこられたんですか?
ボストンからサンフランシスコに飛んで、サンフランシスコからシンガポールですね。国内移動6時間、そこから16時間でシンガポール、レイオーバー2時間だったところがディレイでプラス2時間……。
——疲れますね(笑)。こういったプロモーションで、1人で各国まわるのって、WWEに入られてからは初めてですか?
たぶんそうですね。ただ、いろんな選手が立ち替わりでやってますから。例えば南米に行く選手もいれば、今回僕は東南アジア・日本の担当で。数いる選手が世界中を飛び回ってプロモーションするというのも、WWEの選手の仕事としてありますね。
——アメリカ以外の国で、自分自身の知名度や反響を感じることってありましたか?
シンガポールでは特に自分の知名度の高さを感じられて、東南アジアのお客さんからも期待してもらってるんだなって感じました。例えば、来られたマスコミの方々が「実はシンガポールプロレスの選手なんです」とか。だから取材しながらボイスレコーダー持つ手が震えていたり(笑)。あとは、4年前に新日本プロレスで行った時も来てくれていたり、未だに僕の昔のグッズを着て取材に来てくれたりとか。なんか、非常に力をもらった感じがしましたね。
——去年、色々な事情(※2)で日本公演の試合に出ることができなかったので、久しぶりに日本での試合になりますが。
まあ、直前で今度は何だろうな……猫にでも噛まれないように(笑)。ほんと、犬の件もすごく大変でしたよ。
※2:昨年のWWE日本公演では、直前に警察犬に噛まれるアクシデントがあり、試合ができなかった。
——今だから笑えるかもしれませんが、その時は本当に大変でしたよね。
いや、本当に大変でしたよ。見ます? (ズボンの裾を上げて足首を見せながら)まだしっかりと噛まれた傷が残っているんですよ。それ以来、空港によくいるジャーマン・シェパードがマジで怖くなって。ほんと、みんななかなかの大きさなんですよ。あの時も大人が3人がかりで犬の口を開きましたからね。懐かしいなあ(笑)。まあこの件も、ここ最近ですけど一件落着はしました。
——じゃあ、今年は万全の状態で試合に挑めそうですね。
そうですね。試合当日までこのままのコンディションが、キープできればと思っています。
——去年はその事件があったので、両国国技館ではスマックダウンに昇格されてから初めての試合となりますが、それに関しての思いはありますか?
今日はトランプが両国に行ってるんでしたっけ(笑)。ある種、両国というのは自分にとって昔からのホームみたいな場所ですからね。そういう意味では、楽しみでしょうがないですね。控え室の柱に向かってテッポウ(※3)を打ってから試合に臨みますよ(笑)。
※3:大相撲の稽古で行われる、腰割りの体制で柱にむかって張り手を打つ稽古法。
——初日はユニバーサル王座への挑戦になりますが、それに関してはいかがですか?
今は、ずっとタッグでの試合が多くてシングルの機会がなかなか無いので、ここでしっかりと自分の価値を証明できればいいなと思っています。相手のセス・ロリンズは活きが良くて、もう若手じゃないですよね。彼は世界中のレスリング界の中で「ベスト」と言える1人だと思いますし、そういう意味でも非常に楽しみですね。
——セス・ロリンズとは去年のサバイバー・シリーズ以来の対決となりますが、その時の印象みたいなものはありますか?
あの時の記憶は……僕が全身コスチュームに加えてTシャツも着たから、めっちゃ暑かった(笑)。
でも、セスは思っていた以上に丁寧な試合をしてくる選手だなと思いましたね。攻撃も的確ですし。丁寧すぎて荒さは無いですけど、すごく緻密に計算された試合内容というか、戦略をとってくる選手かなと思います。
——2日目はロバート・ルードとの対決となりますが、そちらはいかがですか?
NXTの時はボビー・ルードという名前でしたけど、その時以来の対決になりますね。彼はNXTの時とWWEになってからのスタイルが、若干違うんですよ。そういった意味では、NXTで共に過ごした時間も長いので対戦するのも楽しみですし、彼のスタイルで何が変わって何が変わってないかを、知ることができるのも興味深いですね。
——話は変わりますが、最近サーフィンには行かれていますか?
忙しくて全然行けてないですね。先月の日本に始まって、今月はヨーロッパツアーもあったので。今月だけで、普通に地球一周くらいはしてるよねって思います(笑)。
アイルランド(ダブリン)でしょ、次がフィンランドのヘルシンキ、ストックホルム、スウェーデン、ノルウェー、オスロ、それからUKのボーンマス、ロンドン、そして最後はベルリンでしたけど、ドイツは3箇所くらいまわりましたね。それから一瞬フロリダに帰って、フロリダからボストン、シンガポール、日本という流れでした。要するに、サーフィンできてないですね(笑)。夢の中でやってます。
だから、ちょうど昨日カノア五十嵐が日本人初のCT優勝というのを聞いて、すごいって思いましたね。このまえロンドンでも、オリンピックで代表確実だろうと言われているスケートボードの選手2人に会ったんです。世界で活躍しているサーフィンの日本人選手もスケートボードの日本人選手も、僕と比べてかなり若いですからね。そういう選手を見てると、おっさんも頑張らなきゃなって気持ちになります(笑)。
このまえNHKでイチロー選手のドキュメンタリーを見て、俺ももうこっち側の年齢だなって思って。また力入れて頑張っていかなきゃって思いましたね。終わりに向けて(笑)。
——来年40歳を迎えられますが、コンディションを整えるのが上手なイメージの中邑選手でも年齢を感じる瞬間ってありますか?
多国籍な環境の中にいるので、同じ年齢でも「みんなと同じだ」という風に考えちゃいけないとは思いますけどね。個人差もあると思いますが、アメリカ人の40歳とアジア人の40歳、ヨーロッパ人の40歳、みんな違うと思うので数字に縛られるのは良くないなとは思っています。そういう意味では、自分の身体を知ることはすごく大事ですね。
——今度、日本では長州力さんが最後の試合を迎えられますが。真輔さんの中ではリングの去り方のイメージは、実はもうあったりするんですか?
長州さん!! 長州さんって今何歳ですか?
60代か……今、長州さんが60代って聞いたら、僕はもうちょっと後でもいいかなあって思いましたね(笑)。そんなの考えるのも早すぎるのかなって(笑)。
——今年はKUSHIDAさんがWWEに入って、KENTAさんが去られて。日本人選手も入れ替わりがありましたが、それに関して何か思うところはありますか?
僕としては、あくまで本人の意思なので、僕ができることがあれば手伝うし。KUSHIDAが「右も左も分からないからよろしくお願いします」と来たので、そういった生活面でのヘルプは進行形で行なっていますね。
——KUSHIDAさんには試合に関するアドバイスもされているんですか?
いや、それはしとけば良かったなと思いますけどね(笑)。もちろん聞かれたらやります。ただ、やっぱりスケジュールが全然違うんですよ。僕がオーランドにいる時に、KUSHIDAもオーランドにいるとは限らないし、その逆も然りで。
——先日カイリさんにお話を伺った時に、真輔さんが日本食やスーパーなどのマーケット情報を教えてくれるとおっしゃってたんですが、KUSHIDAさんにも何かマーケット情報を教えてあげましたか?
もちろん、KUSHIDAにもそれ全部教えましたよ(笑)。僕自身が食べるの好きだから、何かが新しくできればチェックしに行きますしね。
でもやっと、コンスタントに大葉が手に入るようになりましたね。ずっと無かったんですよ。大葉と、あと北海道産の山芋が手に入るようになりました(笑)。大きな韓国系のスーパーなんですけど。3年前はそんなの無かったんで、ほんと3年で変わるものだなって思いましたね。
僕がアメリカに行った3年前は焼肉といっても韓国系しかなくて、ラーメン屋もなんちゃってラーメン屋しかなかったんでね。最近は何軒かまともなのができましたし、オーランドが「投資すべき都市」としてアメリカで3番目くらいには入っているらしく、そういう意味ではいろんな飲食店も入ってきて。元々国際的な街なんですけど、アジア系もさらに増えてくれたらいいなと思いますね。
——まともなラーメン屋ができると、それまでのなんちゃってラーメン屋は大丈夫なんですか? (笑)
つぶれないですね。フロリダの人たちは「ラーメンとは」を知らないから(笑)。僕、そのお店で一度カレーライスを頼んでみたんですよ。そしたら、ひと口含んだ瞬間酸っぱいんです。「あぁ……カレーは足が速いんだよ」と思って、店員さんに話したんですけど「作り直してきます」って持ってくるのがずっと一緒なんです。そうだよね、やっぱカレーを知らないもんねと思って(笑)。そんなことも、日常茶飯事ですね。
——試合の話に戻りまして、最近タッグ戦が多いですが、実際やっていてどうですか?
細かい話をすると、WWEのタッグって、ダブルチームの攻撃(合体攻撃)とかカットプレイなんかのルールがもの凄く厳しいんですよ。だから、今までやってきた新日本とか、他団体の試合のようには持っていけないんです。ダブルチームの攻撃をするにしてもタッチしてから5秒以内だったりとか。でも、そういった難しさは、逆に「楽しさ」として捉えていますね。
——スマックダウンにはタッグ歴が長いチームが多い中で、真輔さんは今年に入ってルセフ選手と組み始めましたが、そろそろ合体技みたいなものも考えていたりしますか?
ルセフは僕の言うことをなんでも聞いてくれますから(笑)。そういう感じですね。でも、彼のアレンジ能力はもの凄く高くて、見た目から想像ができないくらい知的な奴なんです。試合の中では「これとこれを掛け合わせたらどう?」みたいなことはやっていますよ。
今、彼は趣味の一環で家庭教師をつけて日本語を勉強しているんです。昔、スマックダウンで大阪行った時に寿司屋に連れていったら、「もう、アメリカで寿司は食べられない」って言ってましたね。ルセフの最近のお気に入りの日本語は、「ときどき」です、はい(笑)。
——最近はどん兵衛のCMに出演されたのがすごく反響を呼んでいますが、先ほどおっしゃっていた若手スポーツ選手のように、星野源さんや吉岡里帆さんから受けた刺激のようなものはありますか?
2人とも非常に礼儀正しくて、且つ人間的にちゃんとしてるなあと(笑)。
僕、こういう世界で仕事してるから、けっこう豪快な人が多かったりするんで。
最近日本のテレビも観られるようにしたんですけど、まあそうは言ってもなかなか家に帰る機会がなくて。吉岡里帆さんはCMの話が決まってから、こんな方がいらっしゃるんだと思ったのと、星野源さんは昔からラジオとかよく聴く機会があったので、ミュージシャンとしての星野さんは知っていたんですけど、ここまで役者や執筆家みたいにマルチに活躍されているのを知らなくて、すごいなあと思って。だから、第一線で活躍されている方からは、ジャンルは違えど刺激はすごく受けますね。礼儀正しさの中にも、ちょっとアスリート的な言い方で申し訳ないですけど、ハングリー精神的な目の輝きというか、隙がないというか、そういったものはもの凄く感じましたね。
今回のCMに出てからは、日本人の友人とかから「何やってんだよおまえ、変態みたいなことして」って言われて、「しょうがないよ、本当だから」って答えておきました(笑)。
——他に出てみたいCMはありますか?ガリガリ君とか(笑)。
ガリガリ君って、ガリガリ君のキャラがCMしていますよね(笑)。ガリガリ君と一緒にCMなんかできたら最高ですね。ガリガリ君はアメリカでは手に入らないんですよ。あんなに愛していたのに(笑)。
でも、あずきバーとか抹茶のあんこが入っているやつはあって。ガリガリ君もね……一時期あったんですよ。「コンビニ」っていう店名の日本食材を扱っているお店が一瞬できたんですけど、すぐに潰れちゃって。そこでガリガリ君を扱っていたんですけどね……もう、今は無いです(笑)。
——(WWEのスタッフさん)「そろそろお時間ですので……」
えっ、インタビュー、こんな締めで良かったですか?(笑)
以上、中邑真輔さんのインタビューでした! 真輔さんにインタビューしていると、スーパースターの貫禄も、知的な考えも、止まらない向上心と強い意志も、さすがのユーモアセンスも、色々なものを一気に感じられて、本当にこの人こそスーパースターだなあと感じました。アメリカに渡ってさらにビッグになった真輔さんは、これからもきっと、最高にかっこいいその独自の世界観でファンに夢を与え続けてくれますね。今年はもちろん、来年の、再来年の、10年後の「中邑真輔」にも期待です。
そして、いよいよ来月に迫ったWWE日本公演。先日、試合のカードが発表されましたが、真輔さんも、アスカさん&カイリ・セインさんのタッグ「カブキ・ウォーリアーズ」も、ファン待望の王座戦に挑戦することになりました。王座を巡って日本人スーパースターがどんな攻防を見せてくれるのか、絶対に目が離せませんので、ぜひ会場に足をお運びくださいね。
(※来日選手は変更となる場合がございます。予めご了承ください)
次回のみちくさボンバイエもお楽しみに、それでは。
EVENT INFORMATION
WWE 日本公演「WWE Live Tokyo」
2019.06.28(金)〜06.29(土)
両国国技館
SS席(アリーナ) ¥25,000
マス席S(最大4名まで) ¥30,000※
マス席A(最大4名まで) ¥20,000※
A席 ¥12,000
B席 ¥6,000
C席 ¥4,000
プレミアム席 アリーナ1列目~5列目 非売品グッズ付* ¥40,000