バンド・オブ・ホーセズの終演後、少し長めのインターバルを経て時計が20時を回った頃、初日のヘッドライナー、ヴァンパイア・ウィークエンドが登場。新作発表前の期待感とバンド自身から漲る自信がマッチしたトリに相応しい昂揚感が会場を包む。キャリアはまだ数年だが、全英3位・全米1位という商業的成功も経たことで、既にヘッドライナーとして遜色ない風格を纏っている。ライブ直前のインタビュー（5月に予定されている新作リリース時に掲載される予定ですので乞うご期待！！）でもネクスト・レベルへの到達に自信を覗かせていた。
ステージは『コントラ』からの超速スカパンク・トラック＝“カズンズ”で幕開け。2010年にフジロックで観た時からも圧倒的な進歩を遂げた素晴らしいダイナミズム。クリス・バイオがクネクネしながら弾くベースがグルーヴを生み、スギちゃんみたいな格好でドラムを叩くクリス・トムソンがタイトに全体を引き締める。エズラはいつになく悠然と歌い、楽しんでいるようで、フロアもバンドのヴァイヴに呼応するようにアガる、アガる。2日目のトリを務めた同郷のダーティー・プロジェクターズと同様、本当にヴァンパイアは実験的、前衛的な要素を見事にダンサブルなポップに昇華し、すんなりとリスナーの耳に届けてきたということに驚く。ゼロ年代以降のブルックリンを中心としたシーンの功績は、ポップというフィルターを通して世界中の芳醇な音楽を届けながらリスナーの耳を進化・育成させてきたことだ。このことはもっともっと評価されても良い革命的なことだろう。2、3分台のコンパクトな楽曲が多い彼らなので、アンコールも含めると持ち曲のほぼ全てを披露。“Aパンク”、“ギヴィング・アップ・ザ・ガン”といったアップテンポなレパートリーではフロアに何度もカタルシスをもたらしていた。
音源管理において超厳戒態勢が引かれている来たるべき新作からは、アメリカのTV番組でも披露している“アンビリーバーズ”のみの披露に留まったが、アコースティック・ギターによるシンプルなコードで構成された極めてオーガニックでポップなこの曲はとても示唆的な１曲と言っても良いだろう。取材に際して4曲だけを聴かせてもらったが、その印象を3つのフレーズでレジュメするとしたら、「シンプル、オーガニック、オーケストラル」となる。また完全に憶測に過ぎないが、よりアメリカのルーツ・ミュージックにアプローチしたものになるのでは？という感触も得た。しかし「何か難しくなるのかも・・・」と身構える必要はない。恐らく彼らの「あらゆる音楽的要素をポップ・ミュージックというヴィークルに乗せる」というプリンシプルは変わっていないから。まだまだヴァンパイア・ウィークエンドが僕らをまだまだ何処かへと連れて行ってくれる。そんな大きな期待を抱かせる威風堂々、圧巻の初日クロージング・アクト。
text by Keigo SADAKANE
photo by 古溪 一道（コケイ カズミチ）
Hostess Club Weekender DAY1 Setlist
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Vampire Weekend
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Event Information
Hostess Club Weekender
2013.06.08（土）、06.09（日）＠恵比寿ガーデンホール
TICKET
先行2日通し券 ￥13,900（各日1ドリンク別）
2月17日（日）24:00までチケット販売サイト“ticket board”にて限定枚数で販売中！
購入者特典：最速セットリスト配信／オリジナルライヴ写真配信
