紫雷イオ選手がWWEに入団してから約2年、先日ついにイオさんが王座戴冠という心底嬉しいニュースが日本に舞い込んできました。やっぱり応援している日本人スーパースターがチャンピオンになるというのは、ファンとしてとても嬉しいですね。今回は、今週末に開催される「NXTテイクオーバーXXX」で王座防衛戦を控えた、我らがNXT女子王者紫雷イオ選手にリモートインタビューをさせて頂きましたので、そちらの内容をご紹介したいと思います。

Interview:紫雷イオ

━━6月から2ヶ月経ちましたが、まずはNXT女子王座の戴冠おめでとうございます。WWEに入って、色々な壁を乗り越えてやっと王座を戴冠したときの心境を改めて聞かせてください。

とにかく感無量でしたね。日本では沢山のタイトルを何度も巻いて防衛してきて、正直、日本でテッペン獲った感と言うか(笑)。自分の中で納得がいく成長を遂げられたのでWWEへの挑戦という形を選択しましたが、WWE入団からタイトル獲るまでの2年という期間は長かったといえば長かったですし、たぶん見ている皆さんの方が長く感じたかもしれませんね。

でも、2年間という期間をかけた分、そのおかげでファンの方にもお祝いの言葉を本当に沢山頂けたし、WWEの関係者も私がタイトルを獲ったことを祝福してくれて。コーチとかスタッフとか他のブランドのスーパースターもツイートだったり直接だったりでメッセージをくれたし、他の団体の選手からもお祝いのメッセージをもらえました。本当に沢山の人から「おめでとう」と言ってもらえたのは、やっぱりそれくらいの苦労を積み重ねて時間を費やして2年間ひたむきに頑張ってきたからこそ、こうやって祝福してもらえるんだなって思いましたね。簡単に獲れてしまっていたら、周囲の反応もまた違っていたと思うので。

━━日本にいたときは、常に何かしらのタイトルを持っていましたもんね(笑)。

そうですね。ベルトが体の1部みたいになってました(笑)。
WWEではそもそもベルトを獲れるか獲れないかも分からないですし、WWEの中でもベルトを獲らずに団体から去ったりプロレスを辞めてしまう人の方が圧倒的に多いですから。そういう意味でも、やはりファンの方にはベルト戴冠までの期間が長く感じたと思いますね。

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━━昨年から特にNXTがすごい盛り上がりを見せていると思いますが、実際にNXT所属として内部にいて感じることは何かありますか?

そもそもNXTはWWEネットワーク内の配信チャンネルの1部でしかなかったのが、一般家庭でもテレビ付けたら映る存在になったので、それがかなり大きな差じゃないですかね。「好きな人しか見ないもの」から「誰もが簡単に見られるもの」に変わったので。街中で気づかれて声かけらえる回数も増えたし……。

━━やっぱり声をかけられる機会は増えましたか?

増えましたね。「私のこと知ってるんだ〜」と思いながら(笑)。アメリカはプロレスファンがライトな感じでそこら中にいるなって、日本との違いに気が付きました。今は新日本さんもすごく人気があって「プ女子」の方もいるので、日本でもプロレスがずっとポピュラーになったと思うんですけど、5年くらい前までは「プオタ」みたいな言葉が当たり前に使われてて、「プロレス好き=オタクやマニア」みたいな印象もあったと思うんです。でもアメリカだと野球とかバスケくらいの感覚で「プロレス見るよ」と言ってるし、WWEが長年テレビでやってきたエンタメのプログラムとして定着しているように感じますね。

このまえ眼科に行ったんですけど、病院の人に「私WWEのあの人のファンだったの。WWEで働いているなんてすご〜い!」とか「この頃見てたよ!」って言われたり、飼っている猫の病院に行っても「来てくれてありがとう。」って言われたり。本当にポピュラーというか、自分が思っている以上にWWEってすごいんだなって思いました(笑)。

━━さらにアメリカの方がけっこうフレンドリーな人が多いのもあって、声かけられることも多いんですかね。

それは絶対ありますね。日本では気付いても声かけないことが多いと思うんですけど。でも私、そもそも日本だとあまり気付かれること少ないんですけどね。一時帰国で日本に帰ったときに、日本で電車に乗っていたら外国人の方に「イオ・シライ!」って声かけられたことはありましたね。

━━今は髪型も多少目立ちますよね(笑)。髪型もそうですが、最近は入場曲も雰囲気も一新して入場の存在感が圧倒的に増した気がしますが、自分の中の意識も意図的に変えたりしましたか?

これはもう本当に「変身」ですよね。全てを変えました。変わってからちょうど1年くらい経つのかな……。変わって割と経つは経つんですけど。それまでのイメージをガラッと一新させたかったんで、髪の色からコスチュームからメイクから全部変えて、試合スタイルも良い部分は残しつつある程度変えていきました。
WWEはこれだけ選手数も多いし、みんな華があってキャラクターが個性的で。自分が日本のスタイルのままNXTに来たときに、私全然インパクト無いなっていうことに気付かされて……。

━━ご自身で意識が変わったタイミングがあったんですね。

そうですね。あと、とにかく求められているスキルが日本と全然違って。日本だと重要視されるのは、試合スタイルがナンバーワンじゃないですか。勝率や実力主義というか。まあ女子に関してはコスチュームの華やかさや顔の良さ、スタイルの良さみたいな「見た目の良さ」も大事ですけど、特に男子に関しては日本だと試合スタイルが1番重要視されると思うんですよ。でも、WWEはどれだけ試合スタイルが素晴らしくて良い試合をしても、それだけではダメで。見た目やマイクパフォーマンスとか、キャラクター・個性とかも、もう全部が求められているんだと気付かされました。

それまでは、キャラクターや個性っていうものをあまり意識したことが無かったので。あと、良くも悪くも日本には年功序列という文化がありますが、WWEにはそういったものは全く存在しないので、本当に結果主義の生き残りなんです。もちろん自分よりキャリアがある人に対してリスペクトはありますけど、やっぱりそこは実力主義なので。自分の存在感とか、見た目でぱっと分かって人を惹きつけるものを出したいなと思って、ずっと試行錯誤してきましたね。

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━━コスチュームのデザインなんかも自分で考えられたんですか?

正直、最初からこうなろうというのは決まってなかったんですけど、コスチューム屋さんと何度も相談してデザインが出てきた時に、じゃあ髪型はこういう色にしようとか、メイクはこうしようとか。1個車輪が転がったら全部が上手いこと転がっていって、今の自分のスタイルが出来上がったみたいな感じです。お化粧も、コスチュームにこのラメが入っているからこの色のアイシャドウにしようとか。まあでもお化粧も日本とは全く違うので。

━━日本にいた頃よりだいぶ華やかに印象変わりましたもんね。

そうですね。あとWWEにはメイクさんがいるので、映画とかドラマの舞台裏みたいな感じで椅子に座ってメイクさんにやってもらうんですけど。日本にいた時の化粧でやるとスッピンで出てると思われるくらい違うんです。ライトの当たり方もすごく強いから、日本スタイルの化粧だと全部光で飛んじゃって見えないとか。だから、今まで通りじゃ通用しなかったんですよ。今のスタイルになってそれがWWEユニバース(※1)に好評だったので、支持がすごく上がって良かったなって思います(笑)。

※1:WWEのファンの総称

━━なかなか遠征もできない日々が続いていますが、そちらのコロナ禍での日常生活、トレーニング等はいかがですか?

あまり外部のジムには行かないようになりましたね。今住んでいるマンションの中にプールやジムがあるので、そのジムに毎日通うようにしてて。エニタイムとか外部ジムのメンバーシップは持ってるんですけど、やっぱりフロリダは感染者数が多いのでまずは筋力維持よりもコロナにかからないというナチュラルなコンディション維持の方が大事かなと。少なくとも自分の手元にタイトルがあるうちは、何が何でもリスクは避けたいですね。

━━いよいよNXTテイクオーバーでの王座戦が今週末に迫りましたが、強敵リア・リプリーを破って挑戦権を獲得したダコタへの印象は何かありますか?

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ダコタはNXTに入ってからはそんなに対戦経験はないんですけど、彼女は日本でスターダムに参戦していた経験もあるし。長年知ってる相手ではあるのと、どんな選手で何をするのかっていうのは対戦してなくてもここ近年見てますし、けっこう手の内は分かっているつもりです。そういった意味では個人的な思い入れがある選手なので、挑戦者として楽しみではあるんですけど。ただ彼女は今ラケルという……。でかめの女を連れてて(笑)。ラケルはとにかくでかくて、ほんっとにねえ(笑)。

私、元々日本でも体格は大きくないですけど、アメリカに来てとにかく実感したのが自分の体格の小ささで。カイリとか私は、こっちでは本当に小さいんです。人種の違いで筋力・パワーの差もあるし体格の差もあるので、ダコタがラケルっていう飛び道具というか、もはやバズーカ的な存在を手に入れてね。

━━バズーカって絶妙な表現ですね(笑)。

ほんと、実際に見たら分かります。こいつはバズーカだなっていう(笑)。

Dakota Kai and Raquel González explain their alliance: WWE NXT, May 13, 2020

ダコタもね、「あの手この手ラケル」でタイトル取りにくると思うんですけど(笑)。そこはスマートに対応したいですね。でも、言うてもこのタイトルを獲った時もシャーロット・フレアーとリア・リプリーという、それこそ体格おばけ2人と戦った上でタイトルを獲ってるので、そこは冷静に自分も「Genius of the sky」として上手く華麗にかわしてタイトルを守ります。

━━先日、前哨戦的な感じでタッグでダコタと戦いましたが、今までのダコタと比べて何か違いって感じましたか?

ダコタも私と同様にスタイルを変えてきているので。それこそバズーカを手に入れたのもスタイルを変えてからですし、ラケルという存在だけじゃない何か隠した武器をまだ持ってるかもしれないし。今の彼女のスタイルになったのも最近で、そこに関しては勝負をかけていると思うので、タイトルを死にものぐるいで狙ってくると思います。しっかりと油断せずにいきたいですね。

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━━それでは最後に、日本のファンへのメッセージをひと言頂けますか?

今はなかなか皆さんも思うように外に出れなかったり、生活が一転した中で大変な思いをされていると思うので、テイクオーバーを見て、私の勝利と共にスカッとしてください(笑)。

━━スカッと(笑)。ありがとうございます。日本への凱旋も楽しみにしています。

本当にそうですね。ベルトを持って早く凱旋したいです!

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以上、紫雷イオ選手へのインタビューでした! WWEに入団してから沢山の苦悩の中でしっかりと意識改革して、2年間ひたむきに頑張ってきたイオさんの努力がとても伝わってきて、イオさんが持つベルトの印象がより大きなものに変わった気がしました。ぜひこのまま王座を防衛し続けて、NXT女子王座のベルトを紫雷イオ色に輝かせてほしいですね。日本からみんなで一緒に応援していきましょう!

次回のみちくさボンバイエもお楽しみに、それでは。

EVENT INFORMATION

NXTテイクオーバーXXX

2020.08.22(土)※日本時間は2020.08.23(日)の午前中
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