恭賀新年。新たに迎えた年がみなさまにとって実り多き年であることを願いつつ、旧年中のご縁に感謝申し上げます。

どうも、岡村飛龍(@hiiiiiiryu)です。

さて、今回は「お節に飽きた人に捧げるレシピ」を紹介します。

お節は、無事に旧年を過ごせ、新たに来る新年を迎えること、つまり、正月という終わりと始まりが交差する時間の特異点を祝う料理で、食材、仕込み、調理、盛付まで全て特別です。日本のハレの料理の集大成と言っても過言ではありません。(ちなみにケの集大成は一汁三菜を基本とする「定食」。)

しかし、お節はこの正月に食べるというのが曲者です。正月は元旦から3日間続きます。どんなに美味しいものでも、2日も続けば飽きてしまいます。

紅白を見ながらつまみ食いしていた、栗きんとんや伊達巻のじんわりとした甘みも、三箇日の中頃には、甘いものじゃビールのつまみにならなぇ! 米も食えねぇ! と飽きてしまいます。そして私の中の一般的に意識とか魂、こころと呼ばれるようなものが「味の濃ゆいものが食べたい……」と囁くのです。

気分を変えようと、亡霊のようにふらーっと外に出ても、三箇日が過ぎるまでは、飲食店も、食料品店も硬くシャッターを閉じている。泣く泣く、コンビニの白々しい蛍光灯に照らされ、32個のスープ缶の様に虚ろに並んだカップラーメンをすすったり、冷凍され時間が止まってしまった冷凍食品を霊安室からボディバッグを引きずり出すようにして食べたりするのです。

そして、三箇日が過ぎれば、仕事始めです。お節に対する飽きに端を発し三箇日という特殊な条件により生じた不満を抱えたまま、日常に戻っていくのです。これでは、あまりに寂しい。悲劇といって差支えない状況です。

私は、絶望の話をしたいのではない。絶望の中から希望を見出す話がしたい。

では、どうするか? この状況に至る原因は、三箇日という特殊な条件(どこの飲食店も休業中で、飽きを解消するような料理を食べれない。自炊しようにも、食料品店も閉まっているので食材が手に入らない、など。)です。この原因を解決すればいい。そこで、コンビニなどでも売っている食材で、飽きを解消するような料理を考えてみます。

パッとフラッシュアイディアで、お茶漬けとかどうだろう? と思いつきます。

お茶漬けは、ハレの料理である懐石料理とも関わりが深く、庶民のファストフードとして発達したケの料理です。ハレとケの両方の性質を持ち、ハレの料理に飽きた時にケに戻っていく料理としては、なかなか良い。

他にも、お節の奥ゆかしい味付けに対してのスパイシーさと手軽さから、ペペロンチーノ。ハレからケに戻る料理として、ハレとケの両方の性質を持つものを探し、まかない料理というケの料理からスタートし、高度経済成長期にハレの性質を獲得したオムライス。ハレの要素もケの要素も内包できる、フレンチのメリメロサラダや、インドネシア料理のガドガドなど、色々と考えましたが、小難しいかったり、奇をてらっていたり、そもそも食材を揃えるのが難しいなどの理由から、お茶漬けを選びました。

では、早速、コンビニに行ってみて、お茶漬けになりそうなものを探してみます。カップ麺や、冷凍食材に、割と充実した調味料、オーソドックスな缶類。そして、生鮮と言うには憚られますがちょっとした野菜なんかも売っています。思っていた以上に充実した品揃えに驚きます。これらの食材でお節飽きを解消するようなレシピを考えてみます。

ご飯は家にあるものを使うとして(レトルトのご飯でも可)、まず、具を考えてみます。

焼き鳥の缶詰や、鯖缶など、ケのニュアンスが強いものや、コンビーフなど、お茶漬けに合わなさそうなものを除外します。すると、牛の大和煮とカニ缶が残りました。難しい選択でしたが、私の中の「味の濃ゆいものが食べたい……」という囁きを集団的無意識に根ざすものだと信じて、牛の大和煮を選びました。

具が決まってしまえば、後は薬味を選び、汁ものはどうするか選びます。
牛の大和煮の甘みを引き出すために薬味はわさび、汁は大和煮のパンチ力に負けないよう、日本茶などではなく、出汁にしました。

素敵なお正月を迎え、美味しいお節を食べ、英気を養い日々に戻っていく。その一助となる一品になればと思っています。

下記にレシピをまとめましたので、ご参照下さい。

最後にはなりますが、今年もみなさまにとって、素敵な一年になることを切にお祈り申し上げます。

大和煮のお茶漬け

材料

・ごはん…200g
・牛肉の大和煮…1/2缶
・出汁…適量
・わさび…適量
・白髪葱(あれば)…適量
・白胡麻(あれば)…適量

作り方

1、白米を器によそり、牛肉の大和煮を盛り付ける。
2、1に出汁を注ぎ、薬味(わさび、白髪葱、白胡麻)を添え、完成。

余談にはなりますが、コンビニにどんな食材が売っているか調べるために何軒かのコンビニを回ったところ、置いてあるものがコンビニによって違いがあったので、もしかしたら、牛肉の大和煮の缶詰を置いていないコンビニがあるかもしれません。そこで、念のためリザーバーとして、カニ缶を使ったレシピもご紹介します。

カニ缶のお茶漬け

材料

・ごはん…200g
・カニ缶…1/2缶
・出汁…適量
・青紫蘇(あれば)…適量
・黄柚子の皮(あれば)…適量
・白胡麻(あれば)…適量

作り方

1、白米を器によそり、カニ缶を盛り付ける。
2、1に出汁を注ぎ、薬味(青紫蘇、黄柚子の皮、白胡麻)を添え、完成。

※母にこのレシピを作ってみたところ、梅干しを入れるといいとアドバイスをもらいました。実際に試すと美味しかったので、よろしければお好みで入れてみてください。