10年前、アシスタントだった自分が、今度は同じ仕事の現場のスタッフとして、
カール・ラガーフェルドと仕事をしたい。

、二日酔いで項垂れたまま乗った電車の中吊り広告に自分の名前を発見したことがあった。その時に属していたセレクトショップの特集で、おそらくコメントか何か残したのだと思うが、一気に酔いが冷めたのと同時にとてつもない違和感に襲われたのを覚えている。本来PRとは誰かが作ったものを裏から表に出すための橋渡しを担う仕事であって、華やかでも表舞台の主役でもない。だから、ショップ名も肩書きもなければ何者でもないわけで、中吊りに登場するのは場違いだと思ったのだ。ファッション業界で長年PRという仕事に携わってきて、時折違和感を覚えたり、アウェーに感じるのは、きっと私は大きなPOPが飾られたトップチャートより、コレクターしか知り得ないマニアックなショップで1枚しかないレア盤を手に入れることに喜びを感じるタイプの人間だからなのだと思う。

ファッション業界にもそんなレア盤のような人たちがいる。いわば“裏方”と呼ばれる人たちだ。ファッションショーであれ、展示会であれ、レセプションパーティーであれ、“現場を作る人たち”がいなければ私たちは路頭に迷ってしまう。デザイナーが主役であることは周知の事実であり、メディアが取り上げるのもいわば“表”の部分である。その成功の裏には影の立役者がいることをほとんどの人が知らない。彼らのクレジットが表に出ることはないからだ。だからあえて、今回、私なりのやり方で彼らにスポットライトを当てたいと思う。

1人目は、日本へ本格上陸してからわずか2シーズン目にしてUP COMINGなブランドとして注目を集めているRikaのプロデュースを担うSUKIMAPROJECT平澤淳一氏だ。