自然環境を意識したブランドは多数存在するが、一体どこまで需要があり、浸透しているのだろうか。衣服や小物は実際に人間の肌に触れるものであって、素材へのこだわりは研究実験レベルに達しているものもある。だから一過性では終わらず、常に新しく、良質なものへと改良させていくメーカーが多いのだが、正直なところデザイン性に欠けてしまっているものも少なくない。
そんな中、「土に還る素材」をコンセプトに掲げているパリのアイウェアブランド「WAITING FOR THE SUN」と出会った。「WAITING FOR THE SUN」とは、Julien・TualとAntoine・Mocquardの2人のデザイナーによって2009年よりスタートした。コンセプトにある通り、ウッドやバンブーなどリサイクル可能な素材のみをフレームに使用している。そういった環境問題を背景に持ちながら、デザインもカラーバリエーションも豊富で、スプリング式のヒンジを使用しているためフィット感があり、掛け心地も良い。レンズにはドイツ製のカール・ツァイスを使用するなど、素材以外にも徹底したこだわりを持つブランドとしてヨーロッパだけでなく、日本でも注目されている。
ブランドのコンセプトを知らずともデザイン性の高さやこだわりのディテールで充分人気ブランドになり得るポテンシャルがあると思うのだが、なぜこのようなコンセプトを洋服ではなく、アイウェアだけに落とし込んだのだろうか?
先日、日本での展示会のため来日していたデザイナーのジュリアン氏にインタビューさせてもらったので、そちらを紹介したい。
ー環境を意識したブランドにしようと思ったきかっけは何ですか?
「私たちは常に継続可能な自然素材で良心的なプライスでアイウェアを作りたいと考えていました。そこで、メインとなるフレーム素材を“木”と決めました。」
ーアイウェアに特化した理由はありますか? 表現方法としては洋服の方が分かりやすかったのではないでしょうか?
「アイウェアだけに特化させたのは、正直なところ私たちにとっても賭けでした。だけど、以前よりクールなアイウェアが欲しいと探していたこともあり、自分たちで作ることが一番ベストなのではと考え、「WAITING FOR THE SUN」を始めました。」
ーポピュラーなオーバルやスクエア、ボストンなどサングラスの人気定番といったフレームデザインが多いですが、ウッドフレームの上品さと独創性を感じさせますが、どういったところにこだわってデザインしているんでしょうか?
「アイウェアというのは、毎シーズンとても多くのデザインが発表され、クリエイティブなアイテムとして扱われています。斬新なデザインのものも多いです。私たちはそういった過剰なクリエイションは本来のクリエイティビティーを殺してしまう可能性があるのではと考えています。だから、もっとマテリアル部分にフォーカスして、フレームはトラディショナルな形にしようと意識して作っています。もちろんそういったトラディショナルなコレクションの中にもクリエイティブに特化した独創的なデザインもあります。毎シーズン2、3型はリリースしているのですが、全体的にとてもバランスの良いプロダクツが生み出せていると思っています。」
ーウッドのベーシックさだけでなく、木目の特徴をカラーグラデーションに使用したり、ナチュナルなウッドとビビッドカラーのコンビネーションなど、配色やカラーバリエーションはどうやって決めているのですか?
「カラーを決める時にはいろんなところからインスピレショーンを得て決めています。トレンドも意識してしますし、いろんな人からの要望も重要視しています。新しいカラーを発案するのはとても難しくて、毎回苦労していますね。サングラスというのは、クールでありながらデイリーユーズ出来て、身に付けやすいものでないといけないと思っています。顔の中心となるわけですから。そういったことを常に慎重に考えながら決めています。」