ルリンでの最初の週末がスタートした。
これは、とてつもなく長く、深く、終わりのない旅の始まりでもある。

ベルリンに長く居る人たちにとっては、日常でないことがもはや日常として染み付いてしまっているのだと思うけれど、私のような新参者や夢見る旅行者にとっては、ベルリンのクラブカルチャーというものは、心の奥にとてつもない衝撃が突き刺さるカルチャーショックの賜物なのだ。その感動は徐々に薄れていってしまうのかもしれない。それでも、季節ごとの、パーティーごとの良さを深く知り得ることが出来れば、またそれは違った醍醐味となり、かけがえのないものへ変わっていくのだと思う。

だから、飽きるまで、イヤ、果てるまでかもしれない。たとえ、誰も伝えなくなってしまっても私は伝え続けていきたいと思う。リスペクトと、その真逆にもなりえる現地の”リアル”を。

ということで、今月はベルリンパーティーissueをお届けしたいと思います。このコラムでは通常のパーティーレポートのような記事は書きません。自分はあくまでも1オーディエンスであって、主催でもレーベルでもアーティストでもないわけです。だから自分が感じたままをそのまま書き記したいと思う。

Berghain/Panorama Barへは先月ガーデン(オープンエリア)がオープンしたということで日曜の昼の時間を狙って行って来た。このクラブに関してはこれまでにも幾度か伝えてきているし、検索すればいくらでも情報が出てくるので省略させてもらいたいが、敷地内にあるオープンエリアはとても開放的で、木陰スペースでお酒を飲みながら、会話に邪魔にならない程よいボリュームで聴こえてくるDJブースからの音が最高に心地良いチル空間となっている(前回の紹介記事)。

Berghain/Panorama Bar

Berghainを後にして、ネーミングも気に入っている://about blankへ1人で初参戦。最寄りのOstkreuzからはすぐの場所にあるのだが、ここの駅のゲットー感がものすごい。好きな音を爆音で聴きながらしばらく佇んでいたくなるような灰色と褐色の世界がどこまでも広がっている。

Ostkreuz

この日は、タイミングが合わずずっと聴けていなかった個人的にも大好きなMove Dがトリのパーティー。ここは敷地内全部がオープンエリアで、森の中に大人のサーカス場と公園と酒場があるといった感じ。しっとりとしたマイナスイオンに囲まれる中、ピクニックにでも来ているかのようにくつろいだり、語らったり、それぞれが思い思いに楽しんでいる雰囲気がとても良かった。

ベルリンに夏がやってきた!!! column140612_km_aboutblank2

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夕方6時を過ぎてもまだ昼間のように明るい会場内を散策しながらお目当てのMove Dの登場を待つ。音は噂に聞いていた通りあまり良質ではない。Berghainから来たのだから余計にそう感じてしまうのは仕方のないことかもしれないが、ボリュームも控え目で、ブース前まで来てようやく低音を身体で感じられるぐらいだ。それでもMove Dは文句なしの素晴らしさだった。”この音を待っていた”まさにそんな感覚で、自然と両腕が空へと伸びる。やはりインダストリアルなこれぞベルリンテクノといった固いサウンドより、緩さと暖かさがあり、ドラマチックな展開のハウスに心奪われるのだと実感した。飽きのこない半永久的に好きな音に溶け込まれて一体となって踊る最高の瞬間だった。

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気温30度ともなれば、夜になるまで強い日差しが照り続け、外も中も灼熱状態。いきなりの真夏の到来に軽い熱中症のような怠さを感じてしまったが、ちょっとした野外パーティー気分が味わえて、なかなかの良いスタートが切れた初の週末だった。

ベルリンはとにかくどこへ行っても贅沢なスペースの使い方に驚くし、感心する。充分すぎるほどの広大なスペースに遊び心くすぐる遊具をさりげなく設置してあるニクい演出が多い。決してキレイとは言えないけれど、大人たちをここまで童心に返らせてくれる空間は日本中どこを探してもないだろう。ベルリンへ来る度感じることだが、街全体が全てを分かっていて、全てを受入れているのだと思う。自分はこれからこの街でどこまで受け入れられていくのだろう。

同週末には<Karneval der Kulturen/カルナヴァール・デア・クルトゥーレン>というカーニバルが開催され、街中が人と音と熱気で溢れかえっていた。ジャンルも人種も関係ない。手の鳴る方へ、音の鳴る方へ、笑い声が聞こえる方へ人々は集まり、リズムに合わせて踊る。シュプレー川のほとりで、公園の芝生の上で人々はゆっくりと愛を語らう。

白夜のように明るく、どこまでも美しいヨーロッパの夏はまだ始まったばかりだ。

*会場内は基本的に撮影禁止のため、あえてフォーカスを外した写真となっています。