monolakeとしても知られるRobert Henkeがベルリン・ミッテにあるコンテンポラリーギャラリーKW Institute for Contemporary Artにてライブインスタレーションを行った。
monolakeと言えば、このコラムでもレポートを書かせてもらった今年の3月に東京で行われたAFTER25のナイトイベントにゲストとして招聘されていた。この日は、ライブ開始と同時にUNITのフロアーはパンク状態となり、身動きも取れないほどだった。Saloon、UNICEの他フロアーも全て同じ状態で、通路さえも息苦しいほどだった。もちろん他にも多数のアーティストが出演しており、この日の混雑っぷりはmonolakeの人気だけにあるとは限らないが、普段クラブではなかなか遭遇しない業界関係者も多く訪れており、クラブイベントに関していえば、もう何年振りか分からないほどの“スシ詰め状態”を久しぶりに見て、嬉しく思ったことを覚えている。
これほどまでに稀少価値が高く、人気のmonolakeだが、個人名義とは言え、平日にサラッとインスタレーションをやってしまうのが、ここベルリンである。今回は、KWの改装時期に合わせて、3階のフロアーのみを使用した2日間だけのインスタレーションとなった。2日目の夜は関係者と事前予約した人のみが観ることが出来るライブとあって、かなり貴重だったが、エントランスはたったの10ユーロという破格な金額に驚いた。こういったスペシャルコンテンツは日常茶飯事のように行われているし、こういった場面に何度も出くわしているのに、全く慣れないところが日本人ならではなのかもしれないが、その度に、ベルリンという街が、いかに”音楽”と密接に関わっている街なのかということを目の当たりにする。時にジェラシーさえ感じることがある。
Robert Henkeのインスタレーションは、”Destructive Observation Field”と題され、ベルリン以外では、フランスのコンテンポラリーギャラリーLe Fresnoyでも行われたアートプロジェクトの1つである。天井から吊るされた真っ黒なプラスチックプレートに、プログラミングされたレーザービームを当て、その熱でプレートが次第に溶けていき、穴が開く。そこからスクリーンにレーザーの光が反射し、アートとなって映し出されるという仕組みだ。時間が経つごとに穴の大きさや形、数が変化していき、それに合わせてレーザーの形も色も変化していく。約1時間のライブインスタレーションであったが、何とも美しい幻想的な空間は、終わった後もふんわりと心地良い余韻を残してくれた。
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この日は、前衛的な展示を多くやっていることでも有名なKWでの開催ということもあり、来場者も感度の高いオシャレな人が多く、レセプションパーティーのような雰囲気は味わえたのも良かった。ベルリンではファッション関連のイベントより、アート関連のイベントの方がコンテンポラリーな内容にもあったトレンドセッターな人が多く参考になる。
終演後も会場に残り、知人やファンと語らうRobertは終始笑顔で対応していた。これもベルリンに来て感じることの1つなのだが、ライブやDJ中のアーティストがとてもリラックスしているということだ。そして、オーディエンスと同じ目線で接してくれることが多い。ホームグラウンドということもあるし、耳の肥えたベルリナーを相手にとにかくフレンドリーに接してくれるアーティストが多いのだ。自分のパーティーでなくても遊びに来て、楽しそうなプライベート姿もよく見かけることから、アーティスト自身も楽しめる街なのだと実感する。
今回もこのインスタレーション情報を直前に知ったため、取材のアポイントこそ何も取っていなかったが、簡単な挨拶と記事にすること、最後に一緒に写真まで撮ってもらった。とても気さくに対応してくれたRobertに、日本でのライブも素晴らしかったことを伝え、良い気分のまま会場をあとにした。ベルリンのどこかとてもつもない大きな会場で、またmonolakeのライブが観れることを願って。