からしとしと降っていた雨も止み、心地良いマイナスイオンと幻想的なライティングに包まれた夜の://aboutblankは、とても美しかった。ガーデンの中心からは、大合唱と大きな拍手、歓声がずっと鳴り響いていた。ここは、ベルリン有数のローカルクラブであって、コンサートホールでもライブハウスでもない。そんな場所で、DJのかける曲に合わせて、オーディエンスが一体となって、大声で合唱しながら踊りまくる。こんな光景を見たのはパーティー人生において初めてだった。

この日のトリを務めていたMotor City Drum EnsembleことDanilo Plessowのプレイが絶頂に達した時に起きた奇跡のような瞬間がそれだった。イヤ、感極まったオーディエンスたちによるごく自然発生の出来事だったのだと思う。このコラムでもレポートした<DEKMANTEL FESTIVAL2014>でもそうだったように、クールな表情で、時折フロアーを見ながら、オーディエンスを含む空間全てを完璧なまでに自分の物にしてしまう若干24歳は、最高にロマンチックな時間を与えてくれた。若きジーニアスを目の前に、その才能と将来に震え、気付けば、すっかり彼の虜となっていた。

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そんなMotor City Drum Ensembleをゲストに迎えていたのは、<Get Deep>というパーティーのオーガナイザーのXingことFabian Fisahnを始め、Nano NansenやCharlie Smoothなど、ベルリンのローカルDJをレジデントとしたパーティーフリークからも人気の高いパーティー。://aboutblankのレギュラーパーティーとして、今回で5周年を迎える。この記念すべき回を是非とも取材したいと、EUツアー中であり、<Get Deep>にもゲスト出演した mule musiqの河崎氏にお願いし、普段であれば撮影禁止のところを特別に取材させてもらった。

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とても雰囲気の良いパーティーとは聞いていたが、噂通り、音も客層もローカルならではの一体感があり、終始居心地が良かった。土曜日の23:59〜というベルリンクラブのお決まりタイムでスタートし、日曜の夜まで、丸二日間ぶっ通しで開催されたが、河崎氏がプレイしていた室内のメインフロアーでは、日曜の早朝から音に前のめりなオーディエンスたちの熱気でサウナ状態。暗い密室で浴びる重低音はとても気持ちが良い。そう感じた人が多かったのだろう。ガーデンが開くと同時に室内は一旦クローズとなるはずが、エンドレスに続いたアンコールで、河崎氏のDJ時間はその後何時間にも及び、プレイ中、終演後共に、素晴らしかったと声をかけてくるオーディエンスが次々と現れていた。

残念だったのは、://aboutblankは夏の期間だけ朝の8時からガーデンと呼ばれるオープンエリアが開き、そこがメインフロアーとなるのだが、この日はガーデンのオープン時間になっても雨が止まず、バー脇に設置されたブースで臨時に対応していたのだが、あまり良い音が出ていなかったことだ。天候には勝てないし、人でギュウギュウになったバーのウッドの床が揺れ、スピーカーが安定しないのだから、仕方のないことではある。クラブカルチャーが浸透している街だからと言って、全てにおいてパーフェクトな環境であるとは限らない。他の有名クラブであっても、ロケーションは素晴らしいが、サウンドは今一つといったところもある。逆に音は一流だが、スタッフの対応がひどい、客層の質が悪いなど様々である。その日の天候も集客も雰囲気もトラブルも誰にも読めないのだから、一概には言えないし、何より過度な期待をしない方が良い。ツーリストも多い夏のシーズンは特に箱側の対応も通常とは違うことがあるので、IDの所持やマナーに注意することをお勧めしたい。

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://aboutblankの魅力は、パーティークオリティーの高さと客層の良さ、さらには、ちょっとした野外パーティー気分を味わえる森林に囲まれたパークのようなロケーションと、ベンチやちょっとした遊具など、チルスペースにも気を配った演出にある。二日間ぶっ通しで音が鳴り続けるパーティーはデイタイムとナイトタイムで全く違った雰囲気を見せてくれるのもまた魅力である。以前にもレポートしたのだが、その時は許可を取っていなかったこともあり、きちんとした写真が撮れず、臨場感の全くない記事になってしまった。そのことを悔やんでいたこともあり、今回この様な貴重な機会をもらえたことに感謝したい。

Photo by Rieko Matsui
Special Tnanks mule musiq, Get Deep