津田 今ベルリンの方がイケてるとか、ブルックリンがどうだとか言ってる人は多いですが、別にどこでも面白いことをやろうとしている人はいるし、僕は今のロンドンの安定感が好きですね。ロンドンはなんだかんだ世界中からイケているものが集まってくるし、さらに言うとアーティストがロンドンっていう街に対してリスペクトがあるから、みんな気合いを入れてライブするんですよね。さすがにロンドンでは失敗できないみたいな。ロックが文化の根底にあるということも影響していると思うんですが、誰しもこの街に音楽的なイメージを持っていて、憧れもあって、ちゃんとそれを裏付ける歴史がある。ここで成功したらUS、さらに世界でも成功出来るって考えているアーティストは多い。そういうアーティストがいつでも観られるのがロンドンの魅力かなと思います。
リバティーンズ再結成ライブ in London
宮沢 そうですよね。まず、UKにはマンチェスターのカルチャーが根付いてる。90年代のブリットポップにもハマりましたけど、その原点には、やっぱり〈ファクトリー・レコード〉があって、HACIENDAの存在がある。ジョイ・ディヴィジョンのインテリな不良さとかすごく好きだったし、DJで言えば、アンドリュー・ウェザオールが大好きなんですけど、彼のスタイルのベースはUKロックンロールだし、もうあの存在自体が“歩く伝説”みたいだなーと。
津田 あ、12月にマンチェスターでアンドリュー・ウェザオールとケミカルブラザーズを観る予定ですよ。そういうのが簡単に観られるのもイギリスの魅力ですね。(誇らしげに)
★当時を分かりやすく再現した映画『24 Hour Party People』
宮沢 ズルい!!! 次こっちに来る時は、マンチェスターには絶対行きたいですし、ライブかパーティーにも行きたいと思ってます。プレッシャーもあり、羨ましい環境でもあるロンドンですが、津田さんは今後どんな活動をやっていきたいと思っていますか?
津田 プレッシャーかあ。やっぱり昔からロンドンに住んでる人は「ロンドンは変わった」とか「昔の方が良かった」って言うんですよね。でもそういうこと言う人ってダサいじゃないですか。もういいよ、飽きたよ昔良かった自慢!(笑)。もちろん昔が良かったのは分かりますよ。でもそんな感傷に浸るのは死ぬ手前でやればいい。でもせっかくこの時代に生きているのだから、今自分の目の前で起こっていることをちゃんと見て、感じて、自分からも新しいことを仕掛けていける側でいたいなあと思います。そうこうしている内に思いもしなかったところから声がかかって、今のロンドンとか今の音楽シーンを自分なりの目線で伝えて行く機会も徐々に増えてきたんで、こうやって色んなものを巻き込みながら、ときには巻き込まれながらロンドンだけじゃなくて世界中で遊びたいなあと思っています。とにかく海外フェスサイトをローンチしてしまったので、世界中の音楽フェスを渡り歩いて、もっと音楽好きの日本人が世界中の音楽フェスに遊びに行くきっかけになりたいですね。
宮沢 あ、私も“昔は良かった自慢”してた時ありましたよ!(爆)まあ、そうゆう世代だっていうのもありますが、今と時代が違い過ぎることを素直に受け入れられない時があったんでしょうね。でも今は今が良いと思っているから、とにかく楽しそうに見えるみたいで、“ベルリンおもしろそうだね。情報ちょうだい”って言われます(笑)。それを伝えたくて移住してきてるわけだから、もう嬉しくて、嬉しくて仕方ないです(笑)。もちろん、常にアンテナは張ってるし、東京でファッションの仕事を20年近くやってきて、音楽はちょうどその半分の10年になるので、それなりの自信を持ってやってはいますが、何より、信頼して仕事を依頼して下さる方たちに本当に感謝していますね。自分が好きで好きで仕方のないことを、自分の言葉でメディアを通して伝えていく、こんな楽しい仕事は他にないですから!!
今回のこの企画もホントやれて良かったです。海外在住のフリーライターなんて、孤独との戦いですからね(笑)。分かり合える同士がいるというのはとても心強いし、これからも自分たちにしか出来ないことを発信していきましょう! 本当にありがとうございました!!