5年前からベルリンカルチャーと関わってきたプロデューサーの率直な意見とは?

小出 真也(Tokyo showroom代表)

僕は5年前ぐらいに来たのが最初ですが、アメリカに住んでいた時に知り合ったドイツ人からベルリンがおもしろいと言われたのと、ちょうどその時エージェントをやっていたフランスのブランドがベルリンで展示会をやっていたのがきっかけですね。他の都市と違って、まだファッションと音楽とアートがサークルの中で繋がっている貴重な街だと思うんですよ。他ではもう物切りにされてしまっているところがほとんどですから。でも、ヒップスターとかに言わせたら3年前の時点で、もう遅いよって言われました(笑)。それに、アップカミングってずっと言われてるけど、結局“お金を生めない街”ってレッテルを貼られてしまって、最近では観光ビジネスに必死ですよね。あと、フードもファッションもアメリカナイズされてきてしまっているのが、ちょっと残念なところです。でも、それは日本も同じだし、世界的にバーガーブームだから仕方ないのかもしれないですが(笑)。これはベルリンに限ったことではないですが、正直、海外の方がやりやすいことが多い気がします。もちろん大変なこともありますが、受け入れてもらえるから可能性の方が強いと思っています。とにかくフットファーストが大切だと思います。とりあえずやってみる。日本のネガティブなことを気にするのではなく、海外で活動することをポジティブに捉えるべきだと思います。

【小出 真也プロフィール】

アメリカから帰国し精密機器メーカーの営業職を経て2010年に独立。Bio Fashion、ethical fashion普及の為、全国各地でPop-up storeをディレクション。その傍ら海外ブランドのagentまたshowroom staff、セレクトショップのbuying consultantを務める。2015年にweb magazine “fragments” の創刊に携わる。同年、日本のブランドを海外に紹介するプロジェクトTokyoshowroom設立。“Tokyo Meets Berliners”の総合ディレクションを務める。現在BerlinのAgency(LNFA)と提携しBikini Berlinにて日本のブランドを発信中。

原宿という変化し続ける街を長年見続けているバイヤー/デザイナーから見たベルリンとは?

米田 圭佑(Connecter Tokyo代表取締役/keisuke yonedaデザイナー)

1年半にバイイング目的に来たのが最初ですが、街をちょっと歩いただけで直感でおもしろいって思ったんですよ。パリには警戒心を持ってしまうし、そこまで開放感がないと思うんですが、ベルリンはオープンマインドでいれるんですよね。良い意味でも悪い意味でも気を許せるというか。あと、東京と比べてカルチャーが生きてますよね。僕は原宿に店舗を持っているんですが、もう街が死んでるんですよ(笑)。ファッションが高校生レベルまで下がってしまっているし、90年代を見てきた世代から言わせるとあまりに変わってしまったことがとても残念なんです。インターネットの普及で便利になり過ぎて、情報だけを欲しがる情報デブがすごく多いと思ってます。実際にお客様は知ってるブランドネームに踊らされていて、バイヤーもネームありき、売上データありきのデータ頼りの状況で「直感的なバイイング」がしにくくなって来ていると実感しています。だからどこに行っても同じようなセレクトが並んでいておもしろくないんですよね。僕はまだ誰も知らないブランドをバイイングして、その良さを直接伝えたいと思っています。その可能性があるのがベルリンかなと思っているんです。何に対しても同じですが、とにかくバーチャルではなく、リアルな体験が必要だと思うんです。だから、海外に足を運んで、自分の目で確かめています。ファッションを通じてそういったことも伝えられたら良いですね。

【米田 圭佑プロフィール】

わずか1坪からスタートしたセレクトショップ「Connecter」を相模大野にて立ち上げる。テナントが突然閉店され、売上を持ち逃げされるも町田にて復活を果たす。現在都内含む3店舗のクリエイティブディレクターを務める。海外展開を視野に2015年ベルリンにてpop upStoreを主催。その傍ら自身のブランド「keisuke yoneda」を手がけており、2015年7月にベルリンの「premium」にて1stエキシビジョンを開催。

日本人クリエイターに問う。あなたにとってのベルリンとは? yonedashinya

(左:米田氏 右:小出氏)

▼CONNECTER TOKYO&TOKYO SHOWROOM presents「TOKYO MEETS BERLINERS」の模様

日本人は、流行に敏感で、欲張りで、嫉妬深い生き物だと思う。だからこそ見えてくる先見性やおもしろい視点を持っている。そして、実際に水面下で計画を実行に移している人たちがいる。ジャストアイデアでは終わらないとんでもない“スタートアップ”を心待ちにしている。