レーベルボスAntalが語る＜Rush Hour＞の威力

CDの存在はレコードのように再び日の目を浴びることはもうないのかもしれない。時代の流れと共に変化してきたのは音楽のフォーマットだけではなく、クラブも同じなのではないだろうか？世界有数のクラブがあちこちに存在するアムステルダムのクラブシーンもここ数年で大きく変化したように感じている。

「アムステルダムのシーンが確立されたのは90年代後半頃からだね。68年にオープンした老舗の「Paradiso」や80年代後半の「iT」や「RoXY」など良いクラブが沢山あった時代でもあるし、ローカルDJたちはそこからどんどん成長していった。2000年に入って「Trouw」の前身となる「Club 11」が出来て、後に同じ運営チームで「Trouw」を立ち上げて、そこからまたさらにシーンが盛り上がっていたんだ。ADEがスタートしたのもその時期だし、世界中からどんどん注目されるようになっていった。でも、そこがシーンのピークだったと思っているよ。「Trouw」のクローズと共にアムステルダムのシーンは一旦沈静化したんだ。「Radion」、「Cruquiusgilde」そして「Trouw」の運営チームが新しくオープンする「De School」が24時間営業可能なライセンスを最近取得したみたいだから、また新たなシーンがそこから動き出すんじゃないかな。アムステルダムのシーンにおいては、育ったローカルDJたちが世界中に呼ばれるようになった実績と、素晴らしいエージェントに恵まれていることだと思ってるよ。」

「Trouw」＊RAより

世界中でプレイしている1人のアーティストとして、Antalがお気に入りの都市は、サンパウロ、東京、リオ、パリとのこと。東京が入っていることはとても喜ばしいことだが、シーン自体は変わらず厳しい現状を抱えているのも事実だ。

「日本と関わってからもう13、4年になるけど、日本人はみんな音楽に情熱を持っていて、知識も豊富だよね。だから、DJする度にディープなセットをやるようにいつも心掛けているよ。それは決して簡単に出来ることではないけど、そこが良いと思っているんだ。だから、日本でのプレイはいつもやりがいを感じてるよ。僕はいわゆる日本で言うところの”オタク”が好きなんだよ（笑）。オランダ人のオタクのことは”ダッチオタク”って言うんだけど、とことんギーク！　「Panorama Bar」と「Trouw」でプレイした時のオーディエンスはとにかくすごかった。あと、HuneeとFloating Pointsと一緒にプレイした今年の＜DEKMANTEL FESTIVAL＞のSELECTORSステージも同じぐらいすごかったね。エクスプロージョンだったね！！僕は本物の音楽好きが集まる場所でプレイするのがすごく好きなんだ。日本でも＜Rainbow Disco Club＞やAIRには”オタク”が集まっていると思うよ。」

Antal率いる＜Rush Hour＞クルーは、デビューアルバム「Hunch Music」が、DJ Magや3VOOR12で「Best Album Of The Year」に輝いたHunee、そして、日本が世界に誇るSoichi Teradaと共に、今月末で惜しくも閉店するAIRと神戸のTroop Cafeにて開催される。

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次回は、＜Rush Hour＞と最も深い繋がりを持つ、ヨーロッパ発日本人レーベル＜Sound of VAST＞に迫ります。お楽しみに！

Photo by Atsushi Harada
Coodination and Interpreter Yuki Knock Yokoyama（Sound Of VAST）