深夜以外は会場近くまでバスが運行しているため便利で、徒歩でも少し距離はあるが、平地の街中を通るため、明るく危険度も少ない。
空港跡地でもある会場内は、何万人来ようが全然余裕の広々したエントランスから、滑走路のような導線、ホールクラスの室内ステージが2つ、野外ステージが4つ、その他に、フードエリア、VIPエリア、チルスペース、物販ブースなどがあり、どこも贅沢過ぎるほど広く、いくらでもステージが作れそうなほど広い規模に驚かされた。さらには、果てしないコンクリートの平地が続く一角に、一面芝生のキャンプサイトまであり、天気が良ければ何よりフェスの醍醐味となったことだろう。
手の込んだ豪華なステージ同様に、ラインナップも三日間とも文句なしの一流揃いだったが、そんな中、素晴らしいプレイを見せてくれたのが、野外のSPRINGステージでライブを行ったBen Vedrenである。Ricardo VillalobosとミスターパーフェクトZIPのB to B後というプレッシャーを微塵も感じさせない堂々としたプレイで、終始気持ち良く踊らせてくれた。CONCRETEのレジデントでもあるローカルならではの見事な安定感だった。もはやヨーロッパのフェスで名前を聞かないことはない日本代表DJ NOBUは、室内のテクノフロアーを前に行けないほどパンパンにさせていた。会場の一番奥に位置する野外のSUMMERステージでプレイしていたBen Ufo、Pearson Sound、PangaeaからなるユニットHessle Audioは、空が美しいオレンジに染まったマジックアワーから薄暗くなるまでの3時間、情景にピッタリの妖艶でアシッディーなセットが素晴らしかった。
初日は、予想外の寒さで室内にいることが多かったが、そのおかげでAdam Beyerのテクノを久しぶりにじっくり聴くことが出来た。野外フェスに行くとどうしても野外ステージのハウシーな音を求めてしまう傾向があるため、室内ステージにいる時間が少なくなってしまう。レーザーやスポットライト、LEDがステージの背面全部を覆い、どこまでもストイックでハードなグルーブが身体に突き刺さる感覚は何度体感しても心地よいから不思議だ。
残念だったのは、レーザーライトの派手な演出は室内ステージだけに留めて欲しかったことだ。昼夜、室内外問わず照らし続けるため、眩しすぎてステージが直視出来ず、特に、夜中の深い時間のHenrik Schwarzのライブは、必要最低限の光だけで、暗闇の中じっくり聴きたいと思っていただけにとても残念だった。煌びやかなイメージのパリならではの演出なのかもしれないが、個人的にはフェスであっても、クラブであっても暗いほうが音に集中できるため、過度な演出はしないほうが好ましいと思ってしまう。
音響に関しても世界屈指のベルリンのサウンドに耳が慣れてしまっているせいか、100%満足のいくものではなかった。全てではないが、野外は風に流されてしまっているかのように聴こえ、室内は音量は出ているのに低音が篭って聴こえてしまう時があった。フェス国ヨーロッパであっても、<Weather>ほどの大規模で、豪華な開催はなかなか難しいだろう。それであればなおさら、一流アーティスト揃いのラインナップに劣らないパーフェクトな音響で体感したいと思った。
興味深かったのは、フランスならではの”ギーク”で個性的なファッションが多かったことだ。パリコレなどとは真逆の洗練されていない、でもどこかパリらしい、とことん派手でPOPなコスプレに身を包み、自己表現している姿が微笑ましかった。そして、何よりみんなとびきりの笑顔で応えてくれることが嬉しかった。寒かろうとストライキが起きようと川が氾濫しようと関係ない、”パーティーはパーティー!”という気合いの違いを見せつけられた。遊び方も全然違う。
そのHappyさに救われ、元気をもらい、夏日となった最終日にはこれまでに見たこともないぐらい美しいサンセットを拝むことができた。あまりの絶景にweatherのロゴが刻まれた白いバルーンの下で佇みながらため息をついた。そして、フェスが終わる頃にはすっかりパリの人々のファンになっていた。
ここからは、会場でキャッチしたクラウドたちのショットをお届けします!! 撮影にご協力頂いた皆さん、ありがとうございました。
Photo by Julian Lepretre Sato, Yasuhisa Okano, Kana Miyazawa
Thanks to : Hustle PR , Yusuke Nakao