アフターまで存分に楽しんだ<Sunwaves Festival>終了後、友人たちと別れ、そのまま1人で首都ブカレストに残った。タクシーのドライバーからは「なぜ、こんなつまらない街に来たのか?」と不思議がられたが、日本人のいない、誰も知らない、都会でもない街に降り立ってみたかったのだ。案の定、1人として日本人には会わなかった。ドライバーにママイアの帰りだと伝えると、「私にとってあそこは高級リゾート過ぎてとても行けないよ。」と、切ない顔で言われた。どこのレストランに入っても美味しく、ユーロの半額近くで食べれることに感動していた私たちの感覚は、地元の人たちにとってはとても贅沢なことだったようだ。

今、世界が知りたいルーマニアの魅力<Sunwaves Festival 20>現地レポート e6991d36e4b1fbad6515589e8637b2bd

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アジアの田舎のように、貧しく、古く寂れた建物が並び、西欧とは全く違う雰囲気を持つ街並み。独裁的権力者だったチャウシェスクの恐ろしい政権時代を払拭するかのように、ドイツの国産車が走り、西欧の企業が徐々に進出し始めている街は明るく、多くの人は親切で、英語も堪能である。ただし、ブカレスト・ノルド駅付近のマンホールには、“チャウシェスクの子供たち”と呼ばれる薬物中毒者の若者たちが住んでいるという衝撃の事実もある。

真のアンダーグラウンドとはそういった混沌とした中に生まれるものなのかもしれない。ただひたすらに、好きな音楽に真っ直ぐ打ち込み、気が付いたら世界がこっちに向かってきていたのだ。

photo by Kay Ross(Sunwaves Festival Official)、Haruka Kashiwazaki、Kana Miyazawa