宮沢 街がすごいから、自ら何かを発信する気にならない、する必要がないって思っちゃうんでしょうね。ベルリンはどうなのかなあ? 正直、シビアだとは思いますよ。当たり前だけど、英語よりドイツ語が話せた方が良いし、法律上は移民をウェルカムにしてるけど、それを良く思ってない人も多いから差別もある。仕事というより日常生活で心折れることが多いから、しっかりとした目的を持ってないと、病んでくだけですよね。今これだけ注目されて、都市開発が進んでるけど、まだまだ発展途上なところはあるし、歴史的にもダークな部分を持ってる街だから、マイナスな方へ引っ張られやすい。ワーホリに関して言えば、ロンドンと同じように、“何で来ちゃったの?”って人はけっこういますね。音楽がやりたくて、アートがやりたくて、っていうアーティスト気取りがすっごい多いけど、知識もセンスもお金もコネも何も持ってない。音作ってるのに、BerghainやHardWaxさえ知らない人がいますからね(驚) ビザが取りやすくて、アーティストが住みやすい街だからってだけで来ちゃってるんだと思います。その間違いに早く気付いて、さっさと諦めて帰るか、意地でも何かを掴むしかない。そうじゃないとあっという間に1年なんて過ぎちゃいますから。

Qetic連載コラムスペシャル?!噂のフェスジャンキーに会いにロンドンまで行って来た。【カルチャー編】 column141203_km_2

Berghain

津田 ロンドンなんて2年いられますからね!! いい歳した男がへらへらしながら何となく暮らしているのを見ると、もう少し日本に貢献したら? って思っちゃいます。別にナショナリストでもないし、僕が直悦的に何か日本に貢献できているかと言われれば疑問だけど、他の国で暮らしている以上は日本人の代表として見られているっていう意識を持っていたいですからね。だからこそ僕は誰よりも音楽の現場に行って、「この日本人何なんだろう、やっぱり日本人って音楽が本当に好きなんだ」って思わせたいってのがどこかにありますからね。

宮沢 宝くじを当てた幸運の持ち主には、2年間の猶予が与えられるわけですね。それで何もしなかったら本当にもったいないし、津田さんが言う通り、“その人=日本人”になっちゃうから、同じ日本人としてもへらへらしてるだけなのは勘弁して欲しいですね。うーん、やっぱり面接性にして、津田さんみたいに目的意識の高い人をワーホリで行かせるべきですね。システムを見直して欲しい。ちなみに、ベルリンには興味ないですか?

津田 僕、ベルリンには遊びには行きたいけど、住みたくはないんですよ。ベルリンはフェスもクラブもおもしろいし、絶対に楽しいって分かってる。他の都市に行くにも便利だし、どこでも行ける。ただ「今ベルリンです感」がもうすごいじゃないですか(笑)。

宮沢 そう、流行ってるんですよ(笑)。驚くほどに!! まあ、私もその流行りに乗っちゃった1人みたいになってるのはイヤなんですけど(笑)。だからこそ、絶対に結果出してやろうって思ってるんですよね。正直、私がいろんな媒体でベルリンリスペクトとかしてるのを良く思ってない人もいるし、長年住んでる人からしたら、今のこのベルリンブームは不思議で仕方がない。ベルリナーが一番クエスチョンなんだと思います。他人にあまり関心ないですからね、この街の人は(笑)。自分は自分、周りは関係ないっていうのがすごくある。だから、住みやすいっていうのもあるんでしょうけど。

Berlin

津田 耳の早い人達が聞きつけた感がすごいありますよね。音楽シーンの話に戻すと「ドイツはクラブ、イギリスはフェス」というイメージを持っているんですが、やっぱりヨーロッパのフェスで色んな人と話してたら、クラブはベルリンかアムスだよって言われることが多かった気がしますね。やっぱり「今感」がある。でも「今」なところは、色んな人が集まってきて、そこから色んな情報が勝手に発信されるから僕的にはそれでOK。僕はせっかく海外で暮らすなら、流行ってないものとか、普遍的なものの中に敢えて入って、自分が何ができるのかを試してみたかったんですよ。それがフェスカルチャーだったんです。

宮沢 だいぶドMですね(笑)。でも分かります。誰もやらない、でも必要だと思うことを果敢に攻めたい気持ち。今、そうゆう人少ないですから、本当に。だから、おもしろい人はみんな海外に行っちゃうし、日本で成功してる人たちは全てを見据えてる人たちだと思ってるんです。ベルリンに関して言えば、クラブカルチャーしかないんですよね。それを悪く言う人もいるけど、私はそれだけで良いと思ってるんですよ。そこに付随するものって後から付いてくるじゃないですか? 例えば、ファッションとかアートとか。そうゆうのは自然発生で作られていくものだと思うし、すでにゲイコミュニティーや一部のトレンドセッターからは発信されてますからね。もともと、クラブはゲイカルチャーやフリークスによって広げられたものじゃないですか? NYのパラダイス・ガラージのように、命がけで愛と音楽に捧げる人たちがいて、そこから今のように一般に浸透された。ベルリンの歴史はまだ浅いけど、感度が高くて、クールなものをいち早くキャッチ出来るアンテナを持ってる人たちが作り上げている新しい文化だと思ってます。だから、そういう中で、自分のところまで降りてくるのを待つか、自分から拾いに行くか、全く気付かず通り過ぎて行くか、全ては自分次第だと思ってるんです。

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RA制作 Real Scenes “Berlin”

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