O 実は、〈MoM〉としては、これが2作目になるんだけど、もう1つはもっとガジェットよりの遊べるタイプのものになるんだ。

M WretchUpですよね?

【インタビュー】Mouse on Marsも熱烈ラブコール! 話題のシンセアプリ開発者とは? column150120_km_wretch_icon_442

O そうだね。WretchUpも話題になっていたけど、まだ完成されていない状態だったから僕が入ることによって、最終形に持っていったんだ。

M なるほど。確かにレーベル設立自体2014年って昨年出来たばかりですもんね。音についてもお聞きしたいんですけど、さきほども少し出ましたが、この”Elastic Drums”はアナログなビートボックスから不思議なサウンドスケープまでとても個性的な音が出ることでも話題になっていますが、特にこだわった点はどこですか?

O さっきも話したように、staticな(変化のない)音ではなくて、elasticに したかった。そこに一番のこだわりを置いたよ。以前に、ゲームで使用されるジョイスティックタイプのコントローラーを使ったことがあって、とてもおもしろ いと思ったんだ。その自由自在な動きと柔軟性をこのアプリでも表現したかったんだ。いつでも同じ音が出来上がってくるのではなく、いつでも違うインプロヴイゼーション的なものが作り出せるカオスパットであることが何よりの魅力だと思った。

M 一番苦労したことは?

O まずは、新しいプログラミング言語を覚えるところからスタートしたから、そこかな? Mouse on Marsとレーベルを始めるまでは僕1人だったし、毎日アプリ制作だけに時間を費やしていたわけじゃないから、発案してからここまで来るのに2年も掛かったよ(笑)!

M 2年! 私みたいな素人目線だとそれが長いのか短いのか分からないですけど、アーティストだったらアルバムが出来るぐらいの期間ですよね(笑)。それだけ苦労して生み出したわけですが、オリバーさん的にはどんな人に使って欲しいですか?

O うーん、そうだなあ。生ドラムの音が出るわけではないから、エレクトロニックサウンドが好きな音楽好きの人かな?

M その中でも生楽器をやっている人たちより、デジタルで音を作っている機材マニア向けな気がします。すごくマニアックな音が出そうですからね(笑)。ちなみに、Mouse on Mars的なサウンドも作れるんでしょうか?

O 作れるよ。あと、Mouse on Marsとも一緒にやっているMachineDrumとかの音も作れる。ただ、やはり簡単ではないかな。Elastic DrumsはWretchUp のような遊べるガジェットではなく、プロフェッショナル向けのアプリだからね。でもこれだけのスペックを詰め込んで、ようやくプロ仕様になるわけだから操作が難しくなってしまうのは仕方のないことかもしれない。

M WretchUp、Elastic Drumsと話題のアプリが続きましたが、今後もニューアプリのリリース予定はありますか?

O まずは、リリースしたばかりだから、アプリのアップデートをしていくことが優先かな? ボンゴの音とか出せるようにしようと思ってるよ。あと、今春にはiPad版のリリースも予定しているから。iPad版が出来たら使いやすさもアップするしね。他には、香港からElastic Drumsで作った音でコンピレーションを制作したいという話が来ていたり、僕個人的にはMouse on Marsとリリースパーティーが出来たらいいなあと思ってるよ。

M それは楽しそうですね! 是非とも開催して欲しい。もちろんベルリンで(笑)。オリバーさん、本日はありがとうございました!

・・・

正直、私はアーティストでなければ、機材に詳しいわけでも、アプリに詳しいわけでもない。iPhoneに入っているアプリは驚くほど少ない。但し、”何かの縁”を感じたのだ。根拠のないインスピレーションだったのかもしれない。とにかく、Mouse on Marsを始め、多くのアーティストから称賛の声が上がっている完全玄人向けアプリの開発者に会ってみたいと思ったのだ。

たまたまバーで隣で飲んでいた人物と意気投合して話していたら、実はとんでもない世界的発明者だった。でも誰も気付きはしないし、気付いたところで我関せず。ここはそういった街なのだ。

Translation and Cordination by Ai Kurahashi(Berlin)

Product Information

Elastic Drums
Elastic Drums参照動画

主な機能
6x シンセチャンネルと10個のパーカッションシンセエンジン
各シンセエンジンは12x パラメーターを提供
ツマミまたはベロシティーによるオートメーション
4x センドエフェクト
8x パラメーターのオートメーション(XYパッド)
マスターエフェクト(スタッター、ディレイ、コンプレッサー)
各チャンネルの16ステップシーケンサーは個別のテンポ設定と長さ
録音オーディオをSoundcloudまたはAudioshareにエキスポート
録音オーディオとプリセットのメール送信
iOS 8 に対応
iPad版は2015年の予定

Profile:Oliver Greschke
ミュージシャン&プログラマー。Mouse on Marsのアプリケーションレーベル、MoMinstrumentsでの活躍で知られる一方で、O-G-SUSの名でプログラマーとして多くの仕事をこなす。Maunum 38名義で音楽活動も行う。