1月22日(火)夜10:20(LA時間午前5:20)、第91回アカデミー賞のノミネート作品が発表されました。一体話題作はどれなんだッッッ!! ということで、ノミネート作品をざっとまとめてみました。日本ではまだ公開されていないものも多数。キャッチアップするにはまだ遅くないはずです。

最多ノミネート

『ROMA/ローマ』

『ゼロ・グラビティ』のアルフォンソ・キュアロン監督、Netflixオリジナル映画『ROMA/ローマ』が作品賞と外国語映画賞のWノミネートほか10部門。

昨年の第75回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門で、動画配信サービス製作の作品として初となる最高賞の金獅子賞を受賞し、大きな話題を読んだ本作はアカデミー賞の前哨戦として知られるロサンゼルス映画批評家協会賞、ニューヨーク映画批評家協会賞で作品賞を獲得するなど賞レースのトップを走り続けてきました。

さらに第76回ゴールデン・グローブ賞、外国語映画賞・監督賞のW受賞の記憶が新しい中の最多ノミネートということで、最注目作品と言っても過言ではありません。

物語は監督自身の幼少期の体験も交え、1970年代のメキシコで中産階級の家庭の使用人として働く若い女性クレオ(ヤリッツア・アパリシオ)の視点から、激動の1年の出来事をモノクロの映像で描いたヒューマンドラマ。アルフォンソ・キュアロン監督は作品について「ゼロ・グラビティの仕上げをする中で、次の作品はシンプルで、より私的な物語を作ると自分に約束したんだ。この作品は、なにかに答えを出すということではなく、見た人それぞれが自身の思い出や体験を振り返ることのできる作品になっているはずだよ」とコメントしています。

モノクロで、サントラらしい音楽もなし。にもかかわらず、現実よりも現実らしく、驚くほど生々しい映像で、多くは語られない行間を紡いでいき、一線を画す圧倒的な映画感が溢れ出る映画。こちらはNetflixで2018年12月14日(金)から配信中。

『女王陛下のお気に入り』

『女王陛下のお気に入り』は、助演女優賞に2人ノミネートされるなど9部門10ノミネート。

主人公アン女王を演じるオリヴィア・コールマンは、ゴールデングローブ賞/エミー賞に輝く名女優。貴族への返り咲きを狙う召使のアビゲイルには、『ラ・ラ・ランド』でアカデミー賞主演女優賞を受賞したエマ・ストーン、女王の幼なじみで親友のレディ・サラには同じくオスカー女優のレイチェル・ワイズという、最上級の冠をもつ三女優の演技が激突!

オリヴィア・コールマンやエマ・ストーン、レイチェル・ワイズの演技合戦はもちろん、豪華絢爛な宮廷の生活を描きながら多くのことを気づかせてくれる作品となっています。

ヨルゴス・ランティモス監督は作品について「歴史映画はモダンに感じられるから面白い。今も昔も変わらない。人間の営み、社会、権力についての気づきを、観る者にもたらしてくれるそんな作品だ。“現代生活と変わらない”と思ってもらえるよう、あらゆるものをゼロから見直して本作を作った。」とコメントしています。こちらは2月15日(金)から全国ロードショー!

日本で大ヒット中のあの作品

常識を打ち破り世界を変えたフレディ・マーキュリーの生き様を、魂に響く28の名曲と共に贈る感動の物語『ボヘミアン・ラプソディ』は、主要部門の作品賞、主演男優賞を含め5部門でノミネート。

アカデミー賞前哨戦とされる第76回ゴールデン・グローブ賞授賞式にて映画ドラマ部門の最優秀作品賞、ラミ・マレックが最優秀主演男優賞を受賞するというW受賞を果たしたことでも話題となりました。

爆音上映や応援上映など、PCやタブレットやスマートフォンなどでの映画含む映像視聴が当たり前になってきている今だからこそ、映画館の大スクリーンで「映画を見る」行為がさらに進化して、最高の「映画体験を選ぶ」ことの楽しさを再確認させてくれる作品となっています。

日本作品のノミネート

『万引き家族』が外国語映画賞に、『未来のミライ』が長編アニメ映画賞にノミネート。

『万引き家族』

第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門最高賞パルム・ドール受賞作品であり第44回ロサンゼルス映画批評家協会賞にて外国語映画賞(33年ぶりの快挙)を獲得している是枝裕和監督作『万引き家族』。

リリー・フランキー、安藤サクラ主演、サントラは細野晴臣。東京の下町を舞台に家族ぐるみで小さな犯罪を重ねる一家の、「家族を超えた絆」を描く本作はノミネーションを受けて、2月8日(金)より凱旋上映決定。TOHOシネマズ日比谷他、全国100館規模にて拡大公開となります。また、出演している女優・蒔田彩珠のインタビューはこちらから。

『未来のミライ』

「『未来のミライ』が、第91回アカデミー賞にノミネートされたと聞き、ただただ驚いています。小さな子どもの日常と成長を淡々と描いたこの可愛らしい作品が、ヒーローを描いた他の作品に混じって選ばれたということに、大きな意味と意義を感じています。これをきっかけに、より広く深く多くの方々に「未来のミライ」を楽しんでもらえたら嬉しく思います。」とコメントするのはスタジオ地図・細田守監督。

オープニングテーマとエンディングテーマを山下達郎が担当したことでも話題となった『未来のミライ』。甘えん坊の男の子“くんちゃん”と未来からやってきた妹〝ミライちゃん“が織りなすちょっと変わった「きょうだい」の物語、家一軒と庭一つ、どこにでもあるたった一つの家族を通して、生命の大きな循環、人の生の織りなす巨大なループを描き出す本作は、1月23日(水)からBlu-ray&DVD発売、同時レンタル開始となっています。要チェック!

作曲賞

音楽ファンの方々お待たせいたしました! ここからはアカデミー作曲賞のノミネート作品をご紹介します。

『ブラックパンサー』『ブラック・クランズマン』『ビール・ストリートの恋人たち』

2018年の映画音楽で話題作品と言ったら、ピンと来る方も多いのは、昨年<フジロック>に来日したケンドリック・ラマーとレーベルTop Dawg Entertainmentが音楽を監修したマーベル『ブラックパンサー』。

映画音楽を手がけたのは、ルドウィグ・ゴランソン。ルドウィグがプロデュースし、同年にリリースされたチャイルディッシュ・ガンビーノの“This is Ameica”は一大ブームになりました。

続いてはアメリカの白人至上主義団体KKKに潜入捜査した実話に基づいた映画で、スパイク・リー監督『ブラック・クランズマン』。

手がけたのは米トランペット奏者/コンポーザーのテレンス・ブランチャードで、スパイク・リー監督作品のサントラを多数制作してきました。

「新たな恋愛映画の金字塔」と評価されているラブストーリー、『ムーンライト』のバリー・ジェンキンス監督最新作『ビール・ストリートの恋人たち』のサントラを手がけているのはニコラス・ブライテル(Nicholas Britell)。ニコラスは『ムーンライト』でもバリー・ジェンキンス監督と共演。

上記3作品ブラック・コミュニティが軸になっており、ヒップホップなどがメインストリームとなっているいる昨今その音楽性の強さを再確認させてくれる一方で、『ビール・ストリートの恋人たち』はとにかく美しく官能的なサウンドで、作品をより情緒深いものにしています。

豪華声優陣も話題の『犬ヶ島』

長編アニメ映画賞にもノミネートされているウェス・アンダーソン監督作品『犬ヶ島』。ビル・マーレイ、ジェフ・ゴールドブラム、エドワード・ノートン、ハーヴェイ・カイテル、野村訓市など、アンダーソン監督作品常連の豪華俳優陣に加え、新たにスカーレット・ヨハンソン、グレタ・ガーウィグ、ブライアン・クランストン、ヨーコ・オノら多彩な才能を持ったキャストが集結。さらには日本人ボイスキャストとしてRADWIMPS・野田洋次郎、村上虹郎、渡辺謙、夏木マリらといった日本を代表する多彩なキャストが参加したことでも話題となった本作。

様々な「声」が作品を彩る傍で、音楽を添えるのはアレクサンドル・デスプラ。アンダーソン監督『グランド・ブダペスト・ホテル』で作曲賞を獲得しているとのことで、こちらも過去に共演歴がある鉄板コンビ。映画のヴィジュアルをさらにユニークに、ヴィジュアルが音楽をさらにユニークに。相互補完的に、でも音楽だけでも楽しめちゃう、そんなサントラとなっています!

王道のディズニー

作曲賞のみならず、歌曲賞、美術賞、衣装デザイン賞の主要4部門にノミネートされているのは、PⅬトラヴァースの小説「メアリー・ポピンズ」を基に1964年に公開され、アカデミー賞13部門ノミネート&5部門受賞したディズニー映画の傑作『メリー・ポピンズ』がさらに進化した(というか帰ってきた)『メリー・ポピンズ リターンズ』。

ディズニーらしいエレガントで最高にハッピーな音楽を手がけるのはマーク・シャイマンとスコット・ウィットマン。『天使にラブソングを』のサントラも制作した彼らの音楽が彩る本作は 2月1日(金)全国ロードショーということで、待ちきれません!

また、作曲で話題となった他作品では、レディオヘッドのトム・ヨークが手がけた『Suspiria』や惜しくも昨年なくなってしまった巨匠ヨハン・ヨハンソンの『Mandy』など。

WOWOWが独占生中継

答え合わせとなる第91回アカデミー賞授賞式はWOWOWにて2019年2月25日(月)午前8:30から独占生中継! テレビに張り付きます!

EVENT INFORMATION

生中継!第91回アカデミー賞授賞式

第91回アカデミー賞ノミネート作品まとめ!最注目は? film190123-acedemy-oscar-2019-1200x800

放送日:2019年2月25日(月)午前8:30 [二] [同時通訳]/夜9:00[字幕版][WOWOWプライム]

【アカデミー賞関連番組】
「第91回アカデミー賞ノミネーション徹底紹介」:2月3日(日)午後0:30 他※随時放送
「第91回アカデミー賞 直前総予想」     :2月17日(日)午後5:00  他※随時放送

番組HP:https://www.wowow.co.jp/academy/

ノンフィクションW WHY MEXICO? ~アカデミー賞に輝く越境者たち~

2月17日(日)午後1:30 [WOWOWプライム]

メキシコの映画監督たちがハリウッド映画を席巻している。今回『ROMA/ローマ』で最多ノミネートとなったアルフォンソ・キュアロン監督を含め、映画界のトップランナーを輩出するメキシカン・パワーの原点を探る。

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