これは、いわば僕が幼い時に感じた「あの代名詞」が覆される瞬間が訪れたのかもしれない。それはある意味、「本当の」カート・コバーンという人間と出会った記念的すべき瞬間でもある。映画の冒頭で、「I am Kurt Cobain」という幼なくて、かわいい声が聞こえた時、今まで感じたことのなかったカート・コバーンという人柄に触れ、またたくまにその世界へと誘われた。家族と無邪気に遊び、肯定できない環境に苛立ちながらドラッグに染まっていく。そして、音楽への道を見つけ、のめり込んで行く。こんな、どこにでもいる青年を映し出すことが、どうしてこんなにも美しく、切なく見えてしまうのだろうか。

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『COBAIN モンタージュ・オブ・ヘック』は、ニルヴァーナのファンにとって、1人の音楽ファンにとって、さらに残されたカート・コバーンの家族・妻・友人達にとって、「1つの伝説的な時代」の穏やかな終止符であり、次なるステップを踏み出す記念すべき作品である。

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COBAIN モンタージュ・オブ・ヘック

2015年6月27日(土)から1週間限定 全国ロードショー

監督・脚本・製作:ブレット・モーゲン 
音楽:カート・コバーン&NIRVANA
製作総指揮:フランシス・ビーン・コバーン
配給:ライブ・ビューイング・ジャパン
2015年/イギリス/HD/5.1ch/カラー/デジタル/125分(内12分は映画館限定映像)
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