貧しいって幸せ!!

“「映画」を面白く”神木隆之介主演『太陽』 film160421_taiyo_12

清野 キュリオの話から始めるけど、貧しいって幸せ?

有坂 まず、お金の貧しさでいうと選択肢が少ないね。一日ですることの選択肢が少ないから、これっていうものしかフォーカスが当たらない。それを掘り下げていく思考になるのが、貧しさゆえの幸せだと思う。これがもしお金があって、時間もあったら、旅もしたいなとか、自分の好奇心がいろんなものに選択肢が広がるよね。ビデオ屋で働いていた時、映画を観るということに時間とお金を使っていた。それがエスカレートしすぎて、バイトが週5だったけど、観たい映画が多すぎて週4にして、週3になって……観たい映画は観れるようになったけど、翌月の収入に影響がでてきて……でもまだ観たいからキャッシングして映画見てた。

ポール それ、すごいっすね(笑)。

清野 それって、お金がないから映画しかなかったっていうこと?

有坂 どうなのかなあ……。でも、貧しいと思ってないのよ。

清野・ポール あー、なるほどね。

有坂 だけど、キャッシングして映画を観ることが危険だっていう認識はあった。でも、今は映画を観たいっていう気持ちの方を大事にしていた。この時に観たらなんとなく仕事に繋げていけるって。

ポール 何歳くらいの時ですか?

有坂 20代半ばくらい。その時はプライベートでも、家族でおばあちゃんの家に行くとか、先輩の飲み会とか全部断って。洋服も買わないし。映画の本読んでいるか、映画を観ているか。貧しさと繋がらないかな?

映画を観れば観るほど、金銭的には貧しくなっていくけど、心は豊かになっていく

ポール 僕、形としてはキャッシングではなく、大学生の時の奨学金なんですけど、バイトすると自分の時間が取れなくて。その時は映画館で特集上映があって、この日しか観れない映画がたくさんあった。それをバイトで行けないっていうのがすごくつらくて、「いやだー、いやだー」って思っていました。バイトしたくなーいって思っていた(笑)。それで、奨学金を多めに借りて、その分映画を観たりとか、当然将来やりたいことに対する勉強だっていう若さみたいなものがあった。でも、学生終わってみると、奨学金の返済があってちょっときついなっていう(笑)。でも、やっぱり当時は観たかったですね。観れば観るほど、金銭的に貧しくなっていったという。

有坂 観れば観るほど金銭的に貧しくなっていくんだけど、心は豊かになっていく。

ポール・清野 そうそう!!

清野 僕も2人と一緒で。お金がないときの方が映画観ていた。映画知らないと、映画の仕事につけないと思っていた。数多くたくさん観たほうがいいなと漠然と思っていて、この日しかやってないものとか絶対観ないといけないと思った。さっき話したけど、映画観たことによって、人生は少し豊かになったかなって思う。体が軽くなったような感じ。今思うと、その時、観てよかったなと思う。

その他にある? 例えば脚本は無料で書けるし、お金がないから良い脚本書いてやる! とか。ハングリーさから来るもの。

次ページ:ハングリーさから生まれる幸せ