2013年、<Vancouver Fashion Week(以下、バンクーバー・ファッション・ウィーク)>へのランウェイ出演。

海外アパレル展示会。国内との違いをALDIESに聞いてみた vancouver_1

——ALDIES、<バンクーバー・ファッション・ウィーク>ランウェイ出演の経緯。

当時、媒体への露出も増え、卸先や従業員も増えてきて、会社としての規模も大きくなり、安定をしはじめました。その安定は同時に、「これからどうしていきたいのか? このままでよいのか?」などと悩みも生みました。しかし、安定を求めるのはALDIESらしくない。しっかりと目標を持ち、新しい挑戦をしないといけないと試行錯誤しはじめました。それから<東京コレクション>や、他の大きなファッションショーに挑戦しようと考えていた時に、<バンクーバー・ファッション・ウィーク>の実行委員から「今年のランウェイに出演してみませんか?」と直接連絡をいただきました。その偶然の連絡は、以前より北米や欧米でチャレンジしたいけど、言葉の壁を考え、二の足を踏んでいた自身の気持ちをおしてくれることとなり、ふたつ返事でランウェイへの出演を決めました。

——ランウェイ出演までの道のり、そして舞台の裏側。

ALDIESは最終週の<インターナショナル・ファッションショー>の8ヵ国からジャパン部門として出演しました。開催までの2ヶ月の間に現地に行くことはなく、実際にモデルと会えるのも前日だったので、ランウェイに出演する15人のモデルの写真とプロフィールを送ってもらい、写真に切り貼りをしながらコーディネートを組み、そして構想を組んでいきました。

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しかし前日のリハーサルの時、15人のモデルうち6人が来ませんでした。急遽運営の方が、まったく情報の無い6人のモデルを呼んでくれ、急いで全体の構成やバランスを考えるためにスタイリングをし直しましたが……さらに、その中から当日にモデルが3人来ませんでした。また、スマートなスタイルのモデルを依頼していましたが写真から想定していたものとは違い、フィッティングしてみると胴回りなどが全体的に大きく、急遽新しく来たモデルも「俺はこの服よりこっちの服を着たい!」など、とにかく日本では絶対にあり得ないことが重なりましたが、こうなったら、もうこのライヴ感を楽しむしかないと腹をくくりましたね。

——<インターナショナル・ファッションショー>。ジャパン部門で日本ブランドを代表するという心境。

準備から現地についても初めてのこと尽くしで他のことはまったく考えることができず、インターナショナル部門で日本を代表してきているという実感はまったくありませんでした。前日にフィッティングルームで、各ランウェイに出場する国のブランドへの取材がありましたが、色々と考えることがあり……フィッティングルームから外に出てしまいした。その時、一緒に同行してもらったクルーに、「モデルたちは阿久沢さんをリーダーとして、<インターナショナル・ファッション>のジャパン部門に出演するALDIESのランウェイのために動いている。リーダーが今の雰囲気を出していたら、言葉が全部通じようと通じまいとそれはモデルに伝わりますよ。」その言葉にハッとしました。

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初の北米、ランウェイという舞台。国内との違いに言葉の壁、準備段階でのトラブル。今思えば緊張もありましたが……そのひとことで、追われていたものが吹き飛んで、「ALDIESは国内を代表して選んでもらって、この場所にいるんだ」と、目が覚めた感覚になり、空気感や立ち振る舞いを正し、モデルたちと接しました。そうしてみると、やはり言葉じゃなくても伝わるんですね。みんなALDIESチームとしての意識ができ上がり、ランウェイが終わるまで全員がビシッとした空気感になって、一緒に行ったクルー、そしてモデルたちも全員が本当のチームになることができました。最後は胴上げまでしてもらって……。

ALDIES on Vancouver Fashion Week

そしてしっかりとランウェイをやり遂げることができ、観客たちからの拍手、そして国内外のメディア、多くのバイヤーから声をかけていただき、そこで評価をしてもらえたことを実感しました。そしてこの経験が、今年のN.Yでの展示会にも繋がっていると思います。

常にやる気を出すためには飛びださないといけない。

——ALDIESが海外で勝負をする理由。

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何かをクリエイトし続けると、嫌いになることはありませんが、飽きや行き詰まりといった感覚が出てくる時があります。常にやる気を出すためには飛びさないといけません。それに海外のファッション事情に目を向け、現場に行くと、ジャンルなど細かくカテゴライズされることなく、フラットに「格好いいか、格好良くないか」その場で評価、判断してもらえます。そしてALDIESを好きでいてくれる人たちの中には、同じところにとどまらず、挑戦を続けているブランドであるということを実戦することで、喜んでくれる人がいます。結果自分のためでもあるかもしれませんが、一番は喜んでくれるひとたちのためにALDIESは止まれないんです。

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