――逆にBROKEN HAZEさんはtofubeatsさんにどのような印象をお持ちでしたか?

tofubeats それ聞きたかったんですよ(笑)。

BROKEN HAZE Bandcampとかで発表している作品を聴かせてもらっていて、まず感じたのはヒップホップが好きなんだろうなって。それは僕たちの共通項になるだろうなって思った。あとアルバムやDJを聴かせてもらって、やっぱり刺さるメロディを作るのが本当にうまいので、先鋭的な音楽だけじゃなくて、歌謡曲やJ-POPも分け隔てなく、いろいろ聴いてきたんだろうなって。もうひとつはネットをすごくうまく利用しているなっていうのも特徴だよね。僕も日本ではそうじゃないけど、海外に自分の曲を広めたり、アーティストとのコミュニケーションにネットを大いに利用してきた。そのあたりも共通点になるのかなって。あと音楽ができる人なんだなって(笑)。

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tofubeats 最後の「音楽ができる人なんだなって」ってなんですか(笑)!?

BROKEN HAZE いや、僕は楽器とか全然できないから。

tofubeats いやいや、僕も全然できないですよ。

BROKEN HAZE あ、そうなの(笑)。コードとかしっかり理解していて、鍵盤もかなりできるイメージだったけど。

tofubeats それができないんです。今日も昼間漫画喫茶でアレンジをしていたんですけど、コードを全然当てられなくて、「うおー!」ってなっていたくらいで(笑)。

BROKEN HAZE それはすごく意外だなあ。

tofubeats クオンタイズもかけますし。MPCでやっている時は、フットスイッチを使って「ドッツカカン」で止めて、また「ドッツカカン」ってやってを繰り返すみたいな(笑)。

BROKEN HAZE 僕はけっこうマウスで打ったりもするからなあ。

tofubeats 僕はそれはやらないですけど、ヴェロシティ()だけは入れたいので、適当でもいいので弾いて、強さはそのままで、後から修正するってやり方です。「(触れるところに常に)鍵盤を置いておけば上手くなる」っていう持論があるんです。ギターとかベースが上手くならない理由は、わざわざ持たなくてはいけないからだと思うんですよ。鍵盤はそこに置いてさえあれば、押せば音がするわけです。そういう意味においてはギターやベースに比べて面倒くさくない。だから年に5%くらいづつ上手くなっていくっていう。鍵盤を置いてもう8年くらいになりますから、やっと「猫ふんじゃった」とか両手で弾けるようになりました。

※MIDIの用語において、鍵盤を叩く強さをあらわす。

BROKEN HAZE すごい、地道な努力の成果だね。僕は全然できないんだよな。いまだに一音一音探しているから。

――先ほど、BROKEN HAZEさんからふたりの共通項として「ヒップホップ」があるのではないかという話がありましたけど、実際のところどうですか? お2人は世代も違うので、ヒップホップといってもそれぞれ影響を受けたポイントやアーティストって違ってくるのではないかと思います。

BROKEN HAZE 僕にとって最初の衝撃はDJ KRUSHさん。だからその当時の〈MO’WAX〉だったり〈Ninja Tune〉とかに代表されるアブストラクト系のサウンドを聴いて拡がっていくんだけど、その後、いろいろヒップホップを聞いていく中で、衝撃だったのはティンバランド(Timbaland)が出てきた時かな。

tofubeats おお、興味深い。

BROKEN HAZE その当時はエレクトロニカなどを中心にたくさん聴いていたけど、ティンバランドのほうがよりエレクトロニカなんじゃないかってくらい、圧倒的に斬新で革新的に聴こえた。

tofubeats チキチキ……っていう固くて短いあのビートですね。

BROKEN HAZE そうそう。音の使い方もかっこいいし、音質も最高に良かったし。それまでのサンプリング主体のヒップホップとは明らかに違う革新性がありましたね。ミッシー(・エリオット)のプロデュースとかマジでヤバかったですね、。「このねちっこいハットの音はなんなんだ!」っていちいち感動してました。

次ページ:トラックを作って、それにラップを乗せたりしてましたよ。サグっぽいこと言ったりして(笑)(BROKEN HAZE)