――BROKEN HAZEさんはインスト・メインのアブストラクトからはじまりティンバランドと、やはりトラックの革新性や面白さに注目されているのかなと思ったんですが、tofubeatさんはの場合はまた違うポイントでヒップホップを聴いていたんじゃないですか?

tofubeats 僕は中学生の頃にラップのユニットをやっていましたから(笑)。その頃はアブストラクト全盛期だったので、2コードのトラックを作って、それにラップを乗せたりしてましたよ。サグっぽいこと言ったりして(笑)。

BROKEN HAZE だははは。

tofubeats その当時、神戸で同じようなことをやっていたグループと合流して、ちょっとアブストラクトとか面倒くさいって話になって、それから昔のヒップホップとかを聴くようになったんです。オールドスクールからニュースクールまでちゃんと聴きましたね。ヒップホップはちゃんと歴史を辿って聴いたことがある唯一の音楽かもしれないです。リアルタイムだとカニエ・ウェストが大きかったですね。『ザ・カレッジ・ドロップアウト』(2004年)がちょうど中学3年の時で。いちばんヒップホップにハマっていた時期が、そのくらいのカニエとかスヌープ(・ドッグ)とかの全盛期だったので、むちゃくちゃ楽しかったですね。『ザ・カレッジ・ドロップアウト』はいまでも影響を受けている1枚ですね。

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BROKEN HAZE 『ザ・カレッジ・ドロップアウト』が中学3年生か、新世代だなー(笑)。

tofubeats で、高校の時に同時にTTCのファースト・アルバム『Ceci N’est Pas Un Disque』があった。あれも大好きでしたね。その当時はまだ神戸にJET SETがあったので、そういう変わり種のヒップホップから、王道のラップも聴いていたし、色々なものを聴いてました。でも基本はやっぱり打ち込みをいちばん聴いていたと思う。あと個人的にすごく影響を受けているのは、渋谷系。渋谷系のサウンドの多くは生のサンプリングを使った打ち込みのグルーヴが特徴的じゃないですか。だから僕は渋谷系をわりとヒップホップ的な文脈で聴いていたんです。小西(康陽)さんなんて生で作っている曲でも、同じドラムフィルを使ったりだとか、カットアップやコラージュの要素がとても強いんですよね。そういうスタイルから影響を受けたし、いまでも編集するのがいちばん好きですね。ざっくり言うと、ヒップホップ好きが高じて、フレンチ・ヒップホップを聴いていたら、大好きなTTCのパラ・ワンがクラブ・ミュージックを作りはじめたので、僕ものっかったという感じです。

――いまもヒップホップの延長線上で制作を続けているという感じもあるんですか?

tofubeats まさにそうですね。その頃からの延長線上です。だからヒップホップからハウスやテクノにシフトした人は、いまでもツボな人が多いです。パル・ジョイとか。

――本格的に4つ打ちのクラブ・トラックを作りはじめたのはいつ頃からですか?

tofubeats ハウス・ミュージックを作り始めたのは、高校2、3年生からですね。

BROKEN HAZE 中学の頃なんてなにもやってなかったよ(笑)。中学の頃は、まだスヌープがドクター・ドレーの後ろだったもん。

tofubeats 僕は“Drop It Like It’s Hot ft. Pharrell Williams”が中学生の頃です。

BROKEN HAZE 早熟(笑)。

Snoop Dogg “Drop It Like It’s Hot ft. Pharrell Williams”

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