――tofubeatsさんの音楽では歌詞もすごく大事な要素になっていると思いますが、好きなラッパーとかいますか?

tofubeats 昔からECDさんが好きです。黎明期の頃の日本語ラップが好きですね。いとうせいこうさんだったり、近田春夫&ビブラトーンズだったり。彼らのあの言葉を放り込んでくる感じが好きなんです。韻とかよりも、意味の整合性というか。スキル重視のいまのラップとかはそんなに興味がないです。むしろJ-POPに使いほうが自分にとっては面白いものがあるかもしれない。ゲイシャ・ガールズとか。

ゲイシャ・ガールズ “Kick & Loud”

――tofubeatsさんにとってのゲイシャ・ガールズの魅力って?

tofubeats スキルじゃなくて、とにかく気持ちが全面に出ているじゃないですか。あのパッションをサポートするために、坂本龍一さんやテイ・トウワさんがいるっていう。ああいうラップがいまでも好きなんです。

BROKEN HAZE tofuくんはJ-POPにも詳しいというか、すごく愛情を持って聴いているよね。

tofubeats 好きですからね。あとJ-POPや歌謡曲のDJをやっていたんですよ。だからほとんどは後追いですね。自分的にルーツだと思っているのは『ポンキッキーズ』の原体験。あれに出演した人ってすごいじゃないですか。森高千里、大江千里、鈴木蘭々、スチャダラパー、斉藤和義、ピエール瀧……もう、全員好きな人みたいな(笑)。あとタケカワユキヒデさんが出演していた『ミュージックてれびくん』(『天才てれびくんシリーズ』の音楽コーナー)の影響も大きいですね。あの番組を通して、AORやディスコの焼き直しみたいなものに触れることができた。あれらの番組があったから、いまの自分が形成されていると思いますね。

【インタビュー】tofubeats × BROKEN HAZE。世代を越えた対談が実現。森高千里、浜崎あゆみとビックネームを相手にした2人の意外な共通点とは? IMG_1843

――お話をそれぞれの新作に戻したいんですが。先程も少し話に出ましたが、改めてBROKEN HAZEさんのニュー・アルバム『VITAL ERROR』を聴いての感想は?

tofubeats とにかくエモくなっているなと。とてもダンサブルだし。で、全編にわたってその傾向だなって感じました。BPMは130~140くらいで、すごく今っぽいなと思います。ジュークみたいな160くらいの曲もありましたけど。最近の世界のクラブ・ミュージックのトレンドをしっかり押させているなと思いました。

BROKEN HAZE 1年寝かせて良かったかも(笑)。

tofubeats 1年前なら早かったって言われていたかもしれないですね(笑)。すでにジュークやフットワーク的なこととかもやっていたわけですからね。でも物真似ではなくて、微妙にハズしてあったり、ちゃんとBROKEN HAZEさんのオリジナリティが入っているのがすごいなって思いますね。

BROKEN HAZE ジュークもダブステップも好きだけど、同じことをやろうと思ってもしょうがないし、どこか自分なりのハズしかたみたいなものを入れたくなっちゃうんだよね。

tofubeats あと本作ではよりポップス的なアプローチをされているんじゃないかと感じました。

BROKEN HAZE うん、本作に関してはそこがいちばん重要な部分だったと思う。展開とメロディだね。今回はメロディから作った曲が多いんです。

tofubeats それはすごく感じました。ダブステップだったり、ジュークだったり、いろいろなトレンドのエッセンスが盛り込まれているんだけど、展開とメロディという核になる部分がしっかりあって、だからなんかすごく筋が通ってるんですよ。

BROKEN HAZE 嬉しいなあ。まさにそれがコンセプトだったんだよね。いろいろ刺激を受ける音はあるけど、それはエッセンスとして盛り込む程度で、いちばん表現したかったのは、展開やメロディを使ってどうリスナーの感情に刺すか、みたいな部分だった。

BROKEN HAZE『VITAL ERROR』Album Taster

次ページ:音楽を本格的に作り始めたのがすごく遅くて。本気になったのは、大学を卒業してからなんですよ(BROKEN HAZE)