昨年の3月、スノーボードのカルチャーを第一線で築いてきたブランド・BurtonRun DMCとのコラボコレクション(「MINE77 x Run DMC コレクション」「Burton x Run DMC コレクション」)がニューヨークで発表されるにあたり、Qeticはそのパーティに潜入し、コレクションのクリエイティブディレクターであった、BurtonのAJことAdrian Josef Margelistに直撃取材を敢行した

その後、Chief Brand OfficerとなったAJが、この度東京に滞在していると聞いて、その後のBurtonブランドにおける進化や、これからの未来について新たに語ってもらうべく、インタビューを行った。

―昨年のRun DMCとのコラボは非常に大きく印象的なコレクションだったかと思いますが、今シーズンを振り返って、特に思い入れやこだわりが強かったプロダクトの、デザインやコンセプトについて教えてください。

実際、Run DMCのプロジェクトはニューヨークで大規模な発表イベントも開催したし、かなり印象的なコレクションだったけど、今シーズンも、これまでにないプロダクトをいくつか発表できたことが非常にうれしいよ。例えば、先日リリースしたばかりの 「Futuretrust」というコレクション。これは非常にミニマル且つ全く新しいシルエットで、特に若いスノーボーダーに向けたもの。非常に機能的でかつ高いパフォーマンスを発揮するスノーボードウェアでありながら、ジェンダーニュートラルなデザインが特徴で、自分でもとってもワクワクしているよ。

また、Burtonブランドとして推しているもう一つのテーマは、現代的なカラーパレット。他のアウトドアブランドに着目しても、ストリートの影響やファッションの要素を取り入れつつ、配色の工夫をより強く押し出しているけど、Burtonとしてもここは間違いなくこだわった部分だね。今のところお客さんの反応も順調だし、数字にも表れている。とても成功していると考えているよ。

【INTERVIEW:Burton】スノーボードのその先にあるものをクリエイティブに表現して、新たなコミュニティを創造し続ける──Burtonブランドの進化と未来 interview240316-burton2

―来シーズンのクリエイティブには、どのようなアイデアやチャレンジを盛り込まれていますか?

シルエットにおいてかなりプッシュしたね。特に、Burtonにとって最も重要な[ak]®︎ コレクションで、これまでにないチャレンジを試みようとしているよ。[ak]®︎ コレクションは、バックカントリーなどの過酷な環境においてハイパフォーマンスを求めるスノーボーダーのためにデザインされた、Burtonが誇る最高峰ライン。ここで今シーズン、カルーシーというアウターウェアを立ち上げたんだ。キネティックコンストラクションという革新的な構造技術で、2Dでパターンを作る前に、マネキンの周りに生地を垂らして、言わば3Dでウェアを構築してる。これにより、スノーボードにおける体の動きに合わせた生地と形をデザインすることができるんだ。生地が体に合わせて自然に伸びるので、今までのスノーボードウェアとは全く異なる着心地に仕上がっているよ。この[ak]® カルーシー アウターウェアを、来シーズン本格的に展開していく予定だよ。非常に革命的で、画期的なものになるだろうね。

また、チームとして注力し取り組んだ素晴らしいプロダクトは、STEP ON®バインディングのシステムだね。スノーボードコミュニティはもちろん、プロのライダーからも愛されていて、おかげさまで本当に急速に成長しているよ。他のブランドとのライセンス契約なんかも始まっているし、今後ブーツの方にも革命的な進化を起こしたいと思って開発に取り組んでいるよ。

あとは、まだ言えないんだけど(笑)象徴的なアーティストとのビックリするようなコラボレーションも控えているね。

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Adrian Josef Margelist

―スノーボードコミュニティの未来に対してBurtonが取り組み続けていること、チャレンジしていることがあれば教えてください。

我々は常に、製品やスノーボードそのものよりも、スノーボードの先にあるものを考えているんだ。例えば、アーティストとコラボレーションするにしても、そのマニフェストは何なのか?コミュニティに対してどういう意味を成すのか?どういう影響をもたらしたいのか?といった部分も含めてね。包括的な投げかけをして、その結果色々な人々が繋がって欲しいと思っている。コミュニティの構築と言ってもいいかな。その為には、物事の文化的関連性を理解しなければならないし、世代やカルチャーなどあらゆるものを超えて、お互いの理解と繋がりを持つ必要があると考えているよ。

Burtonでは、「Culture Shifters」という世界的なプロジェクトを、アメリカを中心に行なっているんだ。これは、人種や肌の色に関係なく、誰もがスノーボードを楽しめることを象徴するイベントで、スノーボード界のレジェンド的存在であるコメンテーターのセレマ・マセケラと、唯一無二の存在感で今最も影響力のあるライダーの1人であるゼブ・パウエルが主導している。スノーボードという“横乗り”カルチャーから、新たな視点と気付き、そして問題提起を社会全体にもたらすイベントとして、大きな反響を呼んでいるよ。

また、サステナビリティの観点でも、Burtonは世界をリードしていると言っても過言ではないね。昨年「Bコーポレーション認証」を再取得したことに象徴されるように、あらゆる面において努力しているよ。bluesign®のプロダクトはもちろん、労働環境の整備や、慈善事業への投資なども含めて、持続可能なレベルでイノベーションとスタイルを両立するという面において、一切の妥協はしないよ。

そして、2022年から開催しているグラスルーツスノーボードイベント「Burton Mystery Series」は、まさに私の子供のようなもの。本当に大切にしているプロジェクトだね。3年前に始めたときは、誰もが懐疑的で(笑)「なぜBurtonは、今こんな小さなイベントをするんだ?」と揶揄されたけど、毎年参加者は倍増しているんだ。世界中のリゾートが「素晴らしい!ぜひ我々も参加したい!」と言ってくれるようになり、スノーボードのコミュニティに恩返しができたと思えるまでになったんだ。昨シーズン、我々はこの 「Burton Mystery Series」に世界レベルで5,000人以上のスノーボーダーを呼び込むことに成功したんだ。各地域で大体平均250人くらいかな。日本でも2回開催しているよ。「Burton Mystery Series」は年々成長していくグローバルなプロジェクトであり、プロライダーから幼いキッズ、初心者まで誰もが参加できる、リアルなオープンイベントなんだ。

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―Burton=スノーボードブランドというイメージを持っている人も多いと思いますが、普段着としてBurtonを選ぶという選択肢もありますよね?

我々は、とってもオシャレに着こなせる素晴らしいコレクションを既に持っているけど、おっしゃる通り、まだまだBurtonはスノーボードブランドって思っている人は多いよね。なので、まずは我々がスノーボード以上の存在であることをコミュニティに伝えたいと思っているよ。他ブランドでもうまくやっているところは多いけど、やはりコミュニケーションとポジショニングって大事だと思うし、これは我々にとっても長い挑戦にはなるだろうね。

2年前にAnalogコレクションのリブランディングを始めて、今では世界でも日本でもクールなライダーが再びAnalogコレクションを着てライディングしてくれている。変化は起こっていると言えるけど、トータルで言うと5〜7年くらいの道のりになってるかな。一朝一夕とはならないけれど、着実に良い道を歩んでいると思う。

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あとはやっぱり、“隣”のコミュニティにブランドを表現し続けることが大事だよね。そうすれば少しずつ気付いてくれる。例えば、日本人チームライダーの平野海祝や岩渕麗楽のように若くスタイリッシュなライダーが再びAnalogコレクションを着こなしているのはとてもクールだし、周囲への影響も大きい。X gamesのハーフパイプで、「あのクールなジャケット何?」ってなって、よく見るとAnalogじゃないかって気付いてもらえる、あの感覚はクールだよね。

―日本のファッションについてどう思いますか?

とてもいいイメージを持っているよ。日本が地球上で一番好きな国だからね(笑)。今、日本語の勉強を毎日しているんだ。いずれここ日本で引退したいと本気で思うほどね。北海道の北岸、ニセコの近くとかじゃなく、本当に海の近くの北の方で、3匹の犬とサーフボードと一緒に、スローライフを送ることが私の生き甲斐であり、夢かな。

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−あなたにとってブランドのクリエイティブとは何ですか?

我々はスノーボードカンパニーとして、スノーボードはもちろんアウトドアに関しても深い理解をしているし、文化的な関連性やファッションへの影響も十分理解しているという点ではとても強みがあると思っている。そう言ったところも踏まえて、他のブランドにはできないようなファッションやスタイルのタッチで、さらに高機能なプロダクトを作ろうとしているのは本当にワクワクするし、クリエイティブの醍醐味だと思っているよ。

また、コラボレーションにおいても、本当にクールでインパクトのあるもののみに厳選しているんだ。つい先日も、日本限定のコラボレーションについて素晴らしいミーティングをしたばかりなので、ぜひ楽しみにしておいてもらいたいね。

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