――ライヴ感以外にも、今回のアルバムで意識したことはありましたか?

サム とにかく沢山曲を書いて、そこからいいものを選んでいくということかな。僕は“ロスト・イット”がお気に入りなんだけど、それぞれ好きなものが違ってて、メンバー間で「この曲がいいよね」「こっちだろ」って色々話し合ったりした。

キエラン でもそれ以外はあまり決めずに、偶然が起こるスペースを空けてアルバムを使っていった感じだったな。

――完成までのターニング・ポイントになった曲は?

ジョー 僕は“ソー・ロング”だと思う。まだアルバムの全体像が見える前にこの曲を録音した時、「よし、これはアルバムに入れよう」って思うことが出来た。作品の方向性を指し示してくれた曲のひとつだね。他にもアルバムを作るには色々な選択をする必要があったけど、そのすべてにおいて正しい選択が出来たんじゃないかな、と思う。「この曲を入れよう」とか、「プロデューサーはこの人にお願いしよう」とか、色々なことについてね。

キエラン 僕も“ソー・ロング”がターニング・ポイントだった気がするな。この曲をレコーディングした時に、「アルバムがいいものになる」って実感することが出来たんだ。

Circa Waves – “So Long”

――アルバム全体は、何かひとつのテーマを表現するような感じではなく、いい曲を集めたコレクションのような雰囲気になっています。

キエラン 実際、曲自体をよりよいものにしよう、ということをずっと考えていたよ。

――サムやジョーから見て、キエランが書く曲の魅力とはどういうものだと?

サム バンドを始めた頃から比べても、どんどんよくなっていると思う。自分たちが何を求めているかというのも分かってきているし、彼自身どんどん自信も出てきてる。だから、今回のアルバムに収録されている曲を出来た順番に並べていくと、みんなもその進化に気づくんじゃないかな。

ジョー だから、次のレコードもどうなるのかってことが本当に楽しみなんだ。

――ちなみに、どの辺りの曲が最初に出来て、どの辺りの曲が最後の方に出来たのでしょう?

キエラン もちろん、“ゲット・アウェイ”や“ヤング・チェイサーズ”“スタック・イン・マイ・ティース”のようなEPにも入っていた曲が最初だね。それで“T-Shirt Weather”が一番最後。

――“T-Shirt Weather”は、本当にギリギリになってアルバムに収録されることになったそうですね。

キエラン 12曲で既に満足してたんだけど、最後にこの曲が出来て、みんなで興奮したんだ。

ジョー それで「この曲はめちゃくちゃいいぞ!!」ってね。マネージャーにも、「次のアルバムに入る曲になると思うんだけど……キエランが書いた新曲だよ」って聴かせて……。

キエラン そうしたらマネージャーが、「この曲は絶対に今回のアルバムに入れるべきだ!」って(笑)。それで早速レコーディングしたんだよ。

Circa Waves – “T-Shirt Weather”

――今回デビュー・アルバムを作ってみて、バンドとしてどんなところが成長したと思いますか?

サム 本当に疲れる作業だったけど……(笑)。

キエラン でも、自分たちで誇りに思える作品を作ることが出来たのがよかったよ。バンドを組んで、アルバムを作るっていうのは、僕らがずっとやりたかったことだしね。だから、実際に完成した瞬間は最高の気分だった。

ジョー レコーディングのために5週間ロンドンに行ったんだけど、何かをするためにまとまった期間環境を変えて、集中して取り組むということ自体が人生でも初めての経験だったから、自分の人生の中のあるチャプターを経験した感じがするな。

サム あとは、みんなファッションがよくなった。

ジョー たぶんね(笑)。人間的にもいいやつになった。それに、最初は情熱を持った4人がそれぞれいるようなイメージだったものが、この期間の間に、本当の意味で「バンドになった」って感じてるんだ。

サム だから、まだ完全にかたまってはいないと思うけど、「サーカ・ウェーヴスの音」がどういうものかということも見えてきてると思う。

――これからについては、どんなことを考えていますか。

キエラン うーん、わからないけど、ファンカデリックみたいなバンドになるとか……(笑)。

サム (笑)2~3年で誰にも注目をされないようなバンドになるのではなくて、ずっとみんなの記憶に残るような曲を作り続けていけたらいいと思う。そうやって、ずっと今のように活動していくことが出来たら最高だね。

(interview&text by Jin Sugiyama)

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