昨年、プライベートレーベルとして設立した〈not records〉が3周年を迎え、年末には約3年ぶりとなる、テーマパークや郊外、夢をキーワードとした、オールディーズサウンドで構成された待望のオリジナルアルバム『farewell holiday!』をリリースしたDE DE MOUSE。本作はエレクトロなメロディを基調としたアルバムですが、聴くという五感のひとつで幻想的な世界の旅へと連れだしてくれる、彼にしか作りあげることのできない作品です。

今回はそんなDE DE MOUSEに、最新のオリジナルアルバム『farewell holiday!』を含む、デビューからこれまでに発表してきた楽曲に対し、「曲を作る時やタイトルを付ける時にイメージした10曲」をセレクトしていただきました。意外な楽曲たちから「この楽曲が関係しているの!?」との想像できない結びつきを知れば、独自の活動を展開し続けるDE DE MOUSEの、さらなる魅力に気付くこと間違いなしです!そして、まだ開催されるか未定だという『farewell holiday!』リリースパーティの秘話までお伺いしました。

Interview:DE DE MOUSE

“バックミュージックとして聴いている音楽が、とても刺激的に聴こえ始めたんです”

DE DE MOUSEが“楽曲制作で影響を受けた”プレイリスト interview160511_dedemous_3

――『farewell holiday!』はこれまでのオリジナルアルバムと違い、“空想や想像の物語のような”作品だと感じましたが、リリースをするまでの3年間で心境の変化などはありましたか?

この3年間はやりたいことをやってきましたね。11年に独立してからは、自分のやりたいことをやりたくて、それまで僕に対して求められてきたものは、あえてやらないようにしていたんです。「DE DE MOUSEに求められている音楽とは」ということは考えずに、「自分の音楽はメロディが軸だ」と思って作ったのが前作『sky was dark』でしたが、作りあげた時に自分の可能性の扉、よりインナースペースな部分を開いてしまった節があったんです。その頃は、プラネタリウムでのライブなど、自分のやりたいことを広げていましたが、エレクトロやEDMブームも来ていて、僕はこの流行りのダンスミュージックに対して、アンチテーゼとして活動していた部分もありました。それに、元から好きだったクラシック、ディズニーやジブリのような、みんなが何気なくバックミュージックとして聴いている音楽が、とても刺激的に聴こえ始めたんです。これらは音楽的に紐解いていくと、しっかりと構成ができているんですよね。このEDMブームの流れの中で、現在のダンスミュージックに対して反旗を翻すDJや楽曲を作る人が絶対に出てくると思っていたので、「僕が極端に行き切ってしまったものを先にやらなくては」という気持ちがあり、結局3年かかりましたが「早く出さないと誰かがやってしまう」と、内心はすごく焦っていました(笑)。

――『farewell holiday!』には、様々なテーマやコンセプトが含まれ、幻想的なエレクトロのメロディが際立つアルバムですが、聴いていると小説や映画の世界に飛び込んでいくような感覚になりました。このように感じさせられるのは、音楽イベントの枠を飛び越えた活動を重ねることで生まれたのでしょうか? 

僕自身の芯はあって、使っている楽器をシンセサイザーからオーケストラにしただけで大きな変化は感じていないですよ。様々な場所でよく話をしていますが、僕は東京の郊外が好きなんです。3月には<SXSW(サウスバイサウスウエスト)>出演のために、アメリカのテキサス州オースティンへ行きましたが、どこの州に行っても変わらないチェーンストアが並んでいそうな、郊外を思い浮かばせる景色が広がっていて、とても気に入りました。そこで、「ここに住んだら僕の音楽はどうなるんだろう?」ということも考えましたね。僕は音楽を作る時に重要視している部分があって、子供の頃の思い出や何かしらの景色が思い浮かばないような音楽は途中で作るのをやめてボツにしてしまうんです。僕の音楽を聴いた時には見ている景色がいつもと違う風に見えたり、いままで気付かなかった小さな発見をしたり、心や生活への余裕を持てるような、元気を少しでも分けてあげられるものへと繋がっていれば嬉しいなと、いつも思っています。

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