――今回のプレイリストでは、”曲を作る時やタイトルを付ける時にイメージした10曲”をセレクトしていただきましたが、意外なリストなので、どこにそのイメージがあるのかと、すでにワクワクしています。

「曲ができる時にインスパイアされている曲とは?」というテーマは謎解きみたいで面白いかなと思いセレクトしました。インスパイアされている曲から、実際に出てくるものは全然違うものになっていたりするんですよ。それと、僕はちょっとした細かい仕掛けが好きなので、曲のタイトルにもオマージュが多いんです。『A journey to freedom』は、スクエアプッシャーの大好きな“A Journey To Reedham”のオマージュとして付けました。

――このセレクトからの謎解きは楽しみですね。まずはバグルスの名曲”ラジオスターの悲劇”から、続けてそれぞれセレクトした背景を教えてください。

Buggles – “Video Killed Radio Star(ラジオスターの悲劇)”試聴はコチラ(スマホ専用サイト)

オーディオマニアの父親がFMのエアチェックしたものを、カテゴリー分けしてプレイリストみたいなものを作っていたので、そこから勝手に拝借して色々と聴いていました。バグルスはそのカセットテープの中のひとつに入っていました。CDで聴きたくて購入したら、ライナーノーツに、「ラジオスターの悲劇は聴くとほっとする、楽しい感じのピアノのイントロから始まって……。」こんなことが書いてありましたが……当時の僕にはまったく楽しく聴こえなかったんです。それでも、カセットでカットされていたアウトロをCDでしっかりと聴いた時に、ずっと聴いていられるほど好きになりました。このアウトロのような曲を作りたいとインスパイアされて”baby’s star jam”が生まれました。

DE DE MOUSE – “baby’s star jam”試聴はコチラ(スマホ専用サイト)

Madonna – “Holiday”試聴はコチラ(スマホ専用サイト)

父親のカセットに入っていた”Border Line”をCDで聴きたくて、『バーニング・アップ』を購入したら、収録されていた”Holiday”も気に入ったんです。ベースラインがとても特徴的で、ポップ感や80’sらしさを感じることもできる。「こんな曲を作りたい」と、ヒントを得たのがライブで盛り上がる“dancing horse on my notes”です。“Holiday”はコード進行が解りやすいので、“dancing horse on my notes”もベースラインをシンプルにしています。

DE DE MOUSE – “dancing horse on my notes”試聴はコチラ(スマホ専用サイト)

ゴダイゴ – “銀河鉄道999”試聴はコチラ(スマホ専用サイト)

『銀河鉄道999』を好きになったきっかけはダフトパンクの『Discovery』からです。受験勉強中にアニメの再放送を見ていた時には特に興味をひかれなかったのですが、”One more time”などアニメーションクリップを松本零士さんが手がけていて、ミーハーなので(笑)、そこでアンテナにひっかかりました。それから『銀河鉄道999』を買って読み始めたら、宇宙ファンタジーが素敵だと思うようになり、宮沢賢治などと文学の方へのめりこんでいったんですよね。僕のファーストアルバム『tide of stars』を作り終えた時のイメージは、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』の世界で、「もし、カンパネルラをジョバンニが連れて帰ろうと思ったらどうなるんだろう?」という青春感や少年感がベースですが、その真後ろにあったのが『銀河鉄道999』。哲郎はメーテルが好きで旅についていき、少年から大人になっていく。「自分が欲しいものは絶対に手放さないぞ!」ここに青春の泣けるポイントがあります。“555 is in your heart”は、ふたりが作中で乗らない列車に乗車して旅をすることがテーマで、“the galactic nervous boy”は、哲郎やジョバンニを連想させるSFな部分を、僕自身のインナースペースへと変換させているんです。想い入れのある映画の主題歌がゴダイゴさんですし、これを聴いてなかったら『tide of stars』は違うタイトルになっていたかもしれませんね。

DE DE MOUSE – “555 is in your heart”試聴はコチラ(スマホ専用サイト)

DE DE MOUSE – “the galactic nervous boy”試聴はコチラ(スマホ専用サイト)

Pet Shop Boys – “West End Girls”試聴はコチラ(スマホ専用サイト)

彼らはアルバムやコンセプト、ライブの演出等、どれもポップアート的なセンスが抜群に良いですよね。曲もシンプルなのに気の利いた曲を作っていたので、僕もそういう曲が作ることができればいいなと思い、”east end girl”は、あきらかにペットショップボーイズを意識して、アンサーソング的なタイトルを付けました。

DE DE MOUSE – “east end girl”試聴はコチラ(スマホ専用サイト)

Limahl – “Never Ending Story”試聴はコチラ(スマホ専用サイト)

『east end girl EP』に収録している、自身もとても大好きな楽曲“boy around the world”を作る時にインスパイアされたのが、“Never Ending Story”です。“boy around the world”では、病弱な少年が一夜だけ空を飛ぶ夢を叶えてもらうということがテーマ。その裏側に、『Never Ending Story』のファルコンで空を飛ぶ少年のイメージもあります。

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