――今回のアルバムでサウンドがヘヴィーになっているのも、ライヴでの経験を反映させようという気持ちの表われだと思いますか?
マット そもそも、去年ライヴをやっていく中で、ライヴでの僕らの演奏自体がどんどんヘヴィーになっていったんだ。
マイク そうそう。それは自分たちが演奏して楽しかったからなんだけど。
マット うん。そして演奏がヘヴィーになるにつれて、セットリストもそういう曲ばかりになっていたんだ。本当は違うタイプの曲を聴きたい人もいるかもしれないけど、今回は自分たちがやって楽しい曲ばかりを集めたら、その結果ヘヴィーな作品が出来たというか。で、それにつられるようにして、今のライヴでは昔の曲もどんどんヘヴィーになっているんだよ。
――レコーディング自体も、3人で録音したものだったと思いますか、まずはマットに訊かせてください。これまで自分だけで作っていた頃と比べて、どんな違いを感じますか。
マット これまでは……孤独だった(笑)。3人で録音するという経験は最高に楽しかったし、やりやすかったし、バンドとして作品を作っているという感覚がすごくよかったと思う。だからポジティヴな経験だったね。何かを決断する場合においても、自分ひとりではなくてバンドとしての決断が出来たし、それを仲のいい友達と出来たということが、何より最高だったよ。
――今のラインナップでの活動の中で、「このメンバーなら一緒にアルバムを作れる」と思えたということですか?
マット この3人になるまでは、ライヴ・バンドとしても、よさを感じられたことがなかったんだ。
マイク 俺はもう結構長い間いるんだけどな(笑)。
3人 (爆笑)。
マット 僕はずっといいバンドを待っていたんだ。バンドとして一緒に作品を作れるメンバーや、そのタイミングをずっと待っていた。そして、マイクとジムとなら、そういう風な作品を作りたいと思うことができたんだよ。作品で録音した演奏を聴いて「このパートは彼っぽいな」「一方このパートは彼っぽい」という風にね。ライヴをやっていく中で、この3人がひとつのユニットになったように感じられたんだよ。
マット・ビッグランド
――マイクとジムは今回正式に録音に参加してみて、どんな違いを感じていますか?
ジム やっぱり、過去の2作のアルバムについては、既に出来たものを覚えることしかしてなかったからね。でも今回は、曲を作る段階からそこに参加することができた。サウンドチェックから時間をかけて曲を発展させて、ラフなアイディアからどんどん探求していって。マットが書いた曲をただ演奏するだけじゃなくて、そこに参加している実感があったよ。もちろん、マットが書いた曲が悪いって言ってるわけじゃないんだけどね(笑)。
ジム・クラッチリー
マット ははは(笑)。
マイク 自分の場合は、以前も少しマットの録音を手伝ったことがあったし、プリプロダクションを念入りにやってそれを一気に演奏する形だったから、それもいつものライヴっぽい雰囲気があって。だから、そういう意味ではそんなに違いを感じなかったかもしれないな。
マイク・シールズ
マット ライヴをずっと一緒にやってきたからこそ、違和感なくスタジオに入ることができたんだと思う。僕も今回が初めてという感じは全然しなくて、まるでもう100回目ぐらいの感覚だったんだよ。
――とはいえ、今回のアルバム収録曲には、3人で録音したことが影響を与えているように感じる瞬間も沢山あるように感じました。たとえば“11:11”もそうですが、メロディーやコーラスよりもリフや演奏のグルーヴが前面に出ていて、とても強烈になっていますよね?
マット うん、その通りだと思うよ。一緒に曲を作っていくことで、より本能的にまとまるようになったというか、それでインパクトが大きくなった部分があるんじゃないかな。
ジム あと、もともとマットが書いてきた曲自体も、メンバーそれぞれの演奏を念頭に置いて作ってくれた部分があったんだと思うんだ。……はい、マットに戻すよ(笑)。
マット (笑)。実際、今回はマイクが演奏して、ジムが演奏して……それで最大の効果をどう引き出すか、どうするのがこの3人で演奏するうえでベストなのかということを考えていたんだ。
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