Interview:ビリー・グールド(フェイス・ノー・モア)
––––最新アルバム『ソル・インヴィクタス』聴かせていただきました。
おっ、もう聴いたんだ?
––––まだ2回くらいですけどね(笑)。
そうか、場合によっては俺たちのアルバムは、10回くらい聴かないとピンとこなかったりするからな。
––––いや、聴いてすぐに素晴らしいと思いましたよ。2009年に再結成してからツアーを続けて、じっくり時間をかけて完成 させた作品という感じを受けますが、やはり新しいアルバムを作るということに関しては、メンバー間で慎重な議論があったのでしょうか?
イエス、だね。かつての俺たちは過半数の支配でバンドを運営していて、過半数の票を得られれば他の全員もそれに従わなければならなかった。そして今のやり方は、メンバー全員が納得しないのであれば何もやらないことになっている。だから、みんなが大いに納得した上でなければならない、というわけで時間はしばらくかかったんだよ。全員の準備が整うまで、ね。準備が整うまでは無理もしなかった。バンドの100%の気持ちがそこにあることを確認したかったから。
––––解散前の作品『アルバム・オブ・ザ・イヤー』と比べて、制作の状況にどのような違いがありましたか?
非常に違っていたよ。ひとつには、レコーディング・スタジオに入らなかった、というのがある。リハーサル・ルームでやったんだ。そこに俺のマイクとか録音機材が幾つかあったから、まずはドラムのアイデアの録りから入って、それがいい感じだったから作業を続けていった。かつての俺たちのレコーディングというと、プロデューサーがいて、エンジニアがいて、大半のバンドと同じようなやり方で作っていたわけだけど、今回は作っていることを誰にも言うことすらないまま自分たち自身でやってしまったんだよ(苦笑)。エンジニアも使わなかったし。そして音楽がほぼ完成したところで初めて、作っていたことを発表したんだ。だから、長く秘密にしていたわけだ。誰も知らなかったはずだよ。
––––ソングライティングの具体的なプロセスについては、以前と違いはありましたか?
プロセスというか、やり方はいつもの音楽の作り方と特に変わりはなかった。似たようなプロセスだった、と俺は思う。それぞれ色んなものを持ち寄ってね。
––––完全な共同作業で行なわれたんですね。
そう。曲によって口火を切る人が違っていてね。きっかけを作る人が必ず誰かしらいるんだけど、完成するまでにはメンバー全員それぞれ自分の持ち味を発揮している。
––––例えば、すでにライヴで演奏している“Superhero”という曲は、どんなふうに出来上がったのでしょう?
あの曲は、ドラマーのマイク・ボーディンの発想がきっかけだ。確か、あいつが夢を見たんだよ。で、夜中に目を覚まして、あのドラム・ビートを書き留めておいたらしい。それを翌日、リハーサル・スタジオに持って来たから、そのまま録音させてみた。単純に、リズムをね。そうして彼は家に戻り、俺は録ったものを聴き直しながらベース・パートを入れて、ギター・パートを入れて、っていう感じで、そのほとんどがあっと言う間に書けてしまった。あれは速かったな。
Faith No More -”Superhero”