——逆にみんなは実際のクリスの印象はどうでしたか?
雄貴 まずクリスはけっこう背が高いので「大きいな」って(笑)。僕らは小さいから。あとは、今まで日本でいろんなバンドと対バンしてきて、いわゆるプロと言われる人たちに出会って話したりもしてきてるんだけど、これは海外の人だからとかじゃなくて、クリスはミュージシャンとして発してるオーラが違うのが伝わってくるんですよ。それが初対面のときにめちゃめちゃ緊張してしまった理由でもあるんですけど。
クリス それは面白い分析だな。
尾崎和樹(以下:和樹) 僕も緊張してました。レコーディングに入ってみると、すごい真面目な人だなというか、音楽に対する姿勢がすごい真摯だし、作業も早いし、「次やろう、次やろう」って。俺らは3人一緒にいるからけっこうユルい部分もあるんですけど、それを正してくれるじゃないけど、もっと上に高めてくれるって感じて刺激になりましたね。
クリス 僕は若干せっかちなところがあるからいいバランスだったんじゃないかな? でも何回も同じことをやってもらったりしたんだけど、それに付き合ってくれてホントに良かった。
佐孝仁司(以下:佐孝) 僕もみんなと同じで、まず思ったのは音楽に真摯に向き合ってるんだなっていうことで。勝手な偏見で、海外の方ってもっと適当な感じで録って良かったら使おうみたいな雰囲気なのかなと思ってたんですけど、全くそんなことはなくて。
クリス 僕も同じように考えていて、アメリカだと特になのかもしれないけど、プロフェッショナルじゃなくて作業も遅い人もいて。「音楽ってすごくパワフルなものなのに、その力を活かすような曲を作ろうと思ってないんじゃないかな?」と感じるようなことがあるんだ。でも日本のバンドはちょっと違うんじゃないかなと思ってたところに今回の話がきたんだ。実際、彼らは典型的なよく働くバンドで、特に記憶に残ってるのはレコーディングの最初のときにリズムを録ったんだ。それこそもう何回も何回もテイクを重ねてもらったんだけど(笑)、全然文句も言わないし。実際話を聞いたら彼らのスタジオでも8時間ぐらい休みもとらずに練習して、良くなろう、良くなろうとしてるっていうからすごいなと思った。それだけ音楽に自分を捧げてるってことがわかったから、僕もどんどん背中を押したし、いいものができることになったんだと思う。いろんなアイデアを試してみないとベストなものはどれか? っていうのはわからないんだけど、そのベストなものを引き出す前にやめちゃう人も多い中、彼らはちゃんと全部やってみて、だからこそいいものができる結果になったかなと思ってるよ。
——クリスがいたからこそできたアレンジとか、発見っていえばどんなところですか?
雄貴 曲で言うと、僕らが送ったバックトラックに対してクリスがメロディを作ってくれた曲とかもあって。で、それに対して僕はサビだけを変えたり、そういうやりとりがあったんですけど、それで言うと“Oh!, Oh!”とか“愛を”は仮の歌にはなかったものがクリスから提案されて、割とアッパーな曲というか、強くてシンプルな歌のメッセージがあって、それを「バン!」と歌うっていうか、サウンドもそうだし、っていうのはクリスがいなかったら作れてなかったんじゃないかな。Galileoを宅録の凝り固まったバンドじゃなくて、しっかりその・・・ジャンルとかじゃないんだけど、やっぱりロックバンドとして1回引き戻してくれたのが、僕らにとっていちばん大きかったので、それはこういう強い曲に現れているかな。
クリス 僕は「曲に対してどうするのが一番いいのか?」っていうのをいつも考えていて。それは今までの宅録スタイルがいいかもしれないし、もっとライブバンドっぽくやるのもいいかもしれないし。ただ、3人しかいないから3人しかいないところで音を作るんじゃなくて、その曲に対してベストな音作りをする、それはオープンに考えるべきなんじゃないかと思っていて、それが今回やらせてもらえたと思っているよ。