ダンスミュージック界ブライテストホープGonnoが語る最新作

——言葉の壁に関しては他の多くのアーティストからもとてもよく聞く意見ですね。Gonnoさんの言うように、音楽に対して閉鎖的で開放的でない。周りが良いと思ったもの、メディアに多く露出されているもの＝良いものと捉えてしまう、とても残念な傾向にあると思っています。流通に関しても狭まってきてしまっているというのは残念ですね。日本のアーティストを海外輸出しても売れないということなのでしょうか？

Gonno　いや、むしろヨーロッパの人達はかつてないくらい日本のダンスミュージックに注目してますよ。寺田創一さんの過去音源がフォーカスされたり、前述の〈Cabaret Recordings〉は海外でとっても売れてるようですし、双方とも日本在住なので海外輸出と言えます。KuniyukiさんやCos／Mesにしてもそう。それに例えば海外のDJと一緒に東京のレコード屋に行くと「ヨーロッパのレコードより和物レコードや日本でしか売ってないレコードって無いの？教えてくれない？」って言われますし。僕の音楽にしても日本人だというところで面白いと思われてる部分もあると思います。でもそれを日本から海外へ紹介できる機関のようなものがない。だからみんな海外のレーベルからリリースすることを目指したり、活動するために海外へ移住するけど、それぞれが点在しているような状況でひとつの大きなムーブメントになれてない、というような状況です。みんな日本や日本人がというより、いち個人として活動しているっていうのもあるけど。

——なるほど。良い物を作っているのにそれを海外へアプトプットするツールがないということですね。海外を拠点とするアーティストはとても増えていると思いますが、そこにも格差は出てしまっているなと正直思いますね。ローカルとしての活動、リリースがなければ単なる趣味になってしまいますからね。Gonnoさん的にどうしたら海外とリンク出来るようになるとお考えですか？

Gonno　僕の場合は海外へ導いてくれた方が周りに沢山居て本当にラッキーだったと思うので、あんまり参考にならないかもしれないですが、とにかく良い音楽をつくって、DJなら自分の思う良いDJをして、それを誠実にアピールする。間違っていると思ったらそれを修正する。“トライ＆エラー”それに尽きます。そうすればいずれ共感してくれる誰かが現れる。それは日本から海外へというだけでなく、どこでも誰にしても同じことですよね。世界という大きな枠になると、共感する人が単純に多くなるというだけです。なので近道は無いと思いますよ。

——“トライ＆エラー”今悩んでる全てのアーティストに伝えたいとても大事な言葉ですね。今年の下半期の活動予定、目標があったら教えて下さい。

Gonno 　『endless flight』からのアルバムリリース後に、全国ツアーも始まって、大阪では7月31日（金）にCircus、東京では8月1日（土）に代官山AIRでリリースパーティーを行います。代官山AIRではあまりやらないライヴセットを披露する予定なのでご期待ください。秋にはまたヨーロッパツアーに出て、今回Panorama Barでも初めてプレイする予定で、他にもグラスゴーやパリ、リスボンと初めて行く都市が多くなりそうなので、今から楽しみです。有り難い事にアルバムや4月に出た『International Feel』のEPが好評で、『International Feel』からの曲はBBC Radioでプレイされたり、Vice UKのTHUMPって音楽チャンネルの年間上半期チャートの4位に選ばれたりと、海外での反応が驚くほど良いので、この流れのままツアーで海外更にアピールできたら良いなぁって思ってます。もちろん日本でもリリースツアーで色々な場所へ行く予定なので、各地の皆さん是非楽しみにして頂けたら嬉しいです。

——アルバムツアーは野外パーティーなども含めて、国内14ヶ所ということで1人でも多くの方に聴いてもらいたいですね。そして、秋にはPanorama Bar！　それは楽しみですね！　Berghainもそうですが、世界最高峰と呼ばれるクラブでの日本人アーティストのプレイはとても貴重ですし、耳の肥えたオーディエンスからの反応もとても興味深いです。必ず行かせてもらいます！

Gonno　ぜひ！　宮沢さん（聞き手）は去年の＜Homopatik＞にも来てくれましたよね。実はあの日6時間のプレイ後でとても疲れてたんであんまり話出来なかったです。ごめんなさい（笑）。

——あはは、そうだったんですか！？　瀧見憲司さん、〈PIGEON RECORDS〉の服部さんと日本人ゲストアーティストのプレイが見れてとても楽しかったです。Homopatikはベルリナーだけでなく、ツーリストからも”行きたいパーティー”として名前を聞くほど人気のパーティーですよね。異国でのハードスケジュールは大変だと思いますので、体調には気をつけて下さい。今年は増々飛躍の年になりそうなGonnoさんですが、最後の質問として、ズバリ“夢”を教えて下さい。

Gonno　夢？　難しいな……もう夢見る青年って歳でもないから（笑）。でも今回の話で言えば、海外でもっと自分の音楽が知られることと、それが巡り巡って、日本のクラブシーンが、海外やクラブミュージックに興味の無い人達からも更に注目されるきっかけをつくれたら僕としても最高に幸せですね。

——本日はお忙しい中、本当にありがとうございました！

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