HOSTESS CLUB＠サマソニ深夜開催秘話を2トップが語る

長い目でアーティストを日本のマーケットに根付かせたいという気持ちが強かった。そこは清水さんも同じ意見だった（プラグ）

――アーティストと常に密接な関係にある「レーベル」だからこそできることは、何だと考えていますか。

清水　今回のトム・ヨークのアイディアは、まさにプラグがレーベルであり、マネージメントとも近いからこそ生まれたことは間違いないですよね。プロモーターというのは基本的にエージェントと話をする。それは、リリース・ツアーなど出来上がったものについて交渉することがほとんどなんですよ。もしくは、アーティスト／バンドが日本へ来たいとわかったときに、僕らが呼ぶ。だからそこまで攻撃的ではないというか、受け身な部分も多いです。ただ、〈ホステス〉のようなレーベルであると、アルバムのリリースなどを含めて自分たちが「仕掛ける」となったときに、より自分たちで入念なプランを組み立てたり、新しいアイディアが実現したり、そういったシナジーが生まれやすいんじゃないかと感じます。

――今の意見を聞いて、プラグさんはどう思われますか？

プラグ　逆に自分たちが面白いと思ったのは、クリエイティブマンという「パートナー」がいたことでアーティストとの交渉がスムーズに進む場合が多かったことです。＜HCW＞を始める前は来日公演やフェス出演が決まっても、「ちょっとタイミングが違うだろう」とエージェントやイベンターに横槍を入れたくなることがあったんですね。やっぱりレーベルとしては、アルバムのリリースと合わせてライヴを行うことですべての人たちがハッピーになれると思っているので……。あとは、今話題になっているからとにかく呼んで、ブームが去ったら終わりというんじゃなくて、長い目でアーティストを日本のマーケットに根付かせたいという気持ちが強かった。そこは清水さんも同じ意見だったし、クリエイティブマンがアーティストから信頼されているからこそ、我々もコラボの相談をするようになったのでしょうね。

清水　たしかに、来日させるタイミングというのはすごく難しいです。アーティストがいちばん良い時期に日本を選んでくれるかどうかが僕らプロモーターにとっても大きな問題で、日本を後回しにしてしまうようなアーティストも少なくありません。そういう状況でプロモーターとレーベルがタッグを組むことは、今後のマーケットを育てる上でも重要でしょうね。過去にもレーベルがアルバムを売るために動く、プロモーターもライヴのチケットを売るために動く…というタイミングが合致することはありましたが、今回みたいにフェス自体も一緒にやるというのは、今までの流れにおいても「進化系」だと思います。

――＜HOSTESS CLUB ALL-NIGHTER＞のようなコラボは、来年以降も続くものと考えて良いのでしょうか？

清水　そうですね。どこの会社もすべてを持っているわけではないから、お互いに補っていくことでよりプラスになる。＜サマソニ＞がオーディエンスのためであることを考えれば、今後もぜひ続けていければと思っていますよ。今回の＜HOSTESS CLUB ALL-NIGHTER＞が成功したら、来年以降もお客さんから期待されるでしょうしね。

――では最後に、お2人が＜HOSTESS CLUB ALL-NIGHTER＞においてもっとも期待していることは何ですか？　個人的に楽しみなアクトでも構いません。

プラグ　もちろん全部です（笑）。普段の＜HCW＞でも、ヘッドライナーよりオープニングを務める新人バンドの方が楽しみなことって多いですよね？　その点、今回の8組はどれも素晴らしいライヴを見せてくれるはずですよ。

清水　個人的にもすごく感謝しているのは、今年の＜サマソニ＞に足りなかったものが＜HOSTESS CLUB ALL-NIGHTER＞のおかげで埋まったこと。さっきも言った通り、年々ポップ色が強くなっていく中で、今までの＜サマソニ＞の強みでもあった「インディ・ロック」をしっかりとカヴァーできたことは非常に大きなポイントでしたね。とにかく初めての試みなんで、期待と不安が入り混じりながらもワクワクしています。

Summer Sonic オフィシャルサイト Hostess Club オフィシャルサイト

質問作成・文：Kohei UENO
photo by Chika Takami
インタビュー協力：Hostess Entertainment Unlimited
CREATIVEMAN PRODUCTIONS CO.,LTD.