トム・ヨークの出演が決まったときは、僕らみんなガッツポーズですよ(清水)

――<HOSTESS CLUB ALL-NIGHTER>のラインナップは、〈ホステス〉が主導になって決めていったと聞きました。通常の<HCW>では、アーティストのリリース・タイミングに左右されるとおっしゃっていましたが、今回はどういった視点で声をかけていったのでしょうか?

プラグ スピリチュアライズドは、もう少ししたら新作の情報が入ってくるはずなのでお待ちください(笑)。トム・ヨークについては、レディオヘッドやアトムス・フォー・ピースでクリエイティブマンと長年良い関係を築いてきたわけですし、『Tomorrow’s Modern Boxes』のセミ・ライヴでも良いから何かやってくれないか? とオファーをしたのが始まりです。FFSは今回コラボ・アルバム(2015年の『FFS』)をリリースして、世界で10本くらいしかライヴをやらないと聞いていたのですが、スパークスと一緒に朝食を食べたとき、ラッセル兄弟が思いのほか日本に思い入れがあることがわかったので声をかけました。ジョン・ホプキンスはライヴが素晴らしいので何としてでも日本に来てほしかったですし、マシュー・ハーバートは〈ホステス〉で何度かライヴを企画してきただけでなく、新作(2015年の『ザ・シェイクス』)が素晴らしかった。基本的には通常の<HCW>のコンセプトと変わらないのですが、こういった機会でしか呼べないアーティストだったり、ラインナップ全体のバランスを意識してブッキングしましたね。

Atoms for Peace [Thom + Nigel] at Le Poisson Rouge – Default

――<サマソニ>本編にもウルフ・アリスなどの〈ホステス〉所属バンドが出演しますけど、<HOSTESS CLUB ALL-NIGHTER>に出るバンドとのバランスやボリューム感はお互いで話し合って決めたのですか。

プラグ いつもの<HCW>は2日間にわたって開催されていて、じっくりライヴを見られますよね。今回は一晩で2つのステージが同時進行になるので、それぞれのテーマを明確にしようと考えました。ひとつは倉庫で行われているような、いわゆる「ウェアハウス・パーティー」ですね。コマーシャルなものではないエレクトロック・ミュージックを中心に呼ぼうと。で、もうひとつは「オールアウト・サイケデリック・ロック」。ただ、よく考えてみると〈ホステス〉はサイケ・バンドがそんなに多くなかったので、気づいたらこういうラインナップになりました(笑)。アイディアとしては面白いと思ったんですけどね。

――ちなみに、他にはどんな候補が?

プラグ 本当はメルヴィンズをブッキングしたかったんですが、清水さんに止められました(笑)。

清水 ハハハ(笑)。

プラグ こっそり<サマソニ>の昼間のステージに入れてもらえたら嬉しいんですが……(苦笑)。また来年ですかね。

清水 ただ、ブッキングに関してはほとんど〈ホステス〉に任せましたね。さすがにメルヴィンズはこのラインナップの中ではどうかな? と思って口出ししちゃいましたけど(笑)。今回はオールナイト公演ですが、15,000〜20,000人くらいのオーディエンスが来れるキャパシティなんですね。そこに<HCW>を持ってくるというのは、プラグにとってもチャレンジだったんじゃないかと思います。だからトム・ヨークのライヴを実現させるというのはを非常に大きなカギだったし、いざ彼の出演が決まったときは僕らみんなガッツポーズですよ。<HOSTESS CLUB ALL-NIGHTER>の成功を確信した瞬間でしたね。

――「10組・2日間・1ステージ」というのが<HCW>のテーマでしたが、<HOSTESS CLUB ALL-NIGHTER>にテーマがあるとしたら、それは何ですか?

プラグ うーん、ムズカシイ(笑)。通常の<HCW>では、ステージ転換の間に食事をとったり、CDや物販をチェックしたり、サイン会に参加したりできますよね。でも、ライヴがあまりにも立て続けになるとそういった余裕もない。だから1ステージ5組でなく、4組ずつに抑えたという理由はあります。後は、さっきも言ったように「ウェアハウス」と「サイケ」のテーマ分けですかね。

HOSTESS CLUB@サマソニ深夜開催秘話を2トップが語る music150727_hostess_4-780x520

次ページ:長い目でアーティストを日本のマーケットに根付かせたいという気持ちが強かった。そこは清水さんも同じ意見だった(プラグ)