ジェフ・ミルズ、伝説の映像作品の続編について語る

——DJをやっている時に限界を感じることはありますか？　もっとこういうことができたらもっと面白いのにとか。

常に限界は感じている。でもそれは人間の能力に関するすべてに言えることだ。だが、音楽をかけるのに正しいも間違ったやり方もないと理解していれば、偏見なしでいろいろな方向性を試すことができる。

——本作は音楽に興味のある人間にとって、さまざなヒントやアイディアを得ることができる作品になっていると思います。同時にその背景にはあなたが後進のアーティストやたちに何かを伝えていきたい、残していかないといけないといったメッセージのようなもの感じました。そうした使命感のようなものはりますか？　またあなたがいま若い世代にいちばん伝えたいことはなんでしょうか？

まさにその通りだ。DJやミュージシャンがなすべきことに関して、話し合いや意見の交換があるのはとても重要なことだと感じている。でも、たまには実例を見せる方がいいこともある。行動は言葉よりも即効性があるし意義深い。僕が若いころはそうやって学んだ。インターネットもソーシャルメディアもなかったし、サーチエンジンもなかった。郵便で送られてくる手紙や雑誌に載っている写真を見るのがせいぜいだ。今は誰かが見つけてくれる何かを残す方法がたくさんある。

——ここ数年のEDMの盛り上がりについてはどのような感想をお持ちですか？

別にいいと思っている。もっと意味があってプログレッシブな音楽が注目されれば嬉しいが、EDMがないよりはましだろう。人々を踊らせるという目的は達成されている。結局行き着くところはそこなんだから。

——いまやあなたの活動は音楽だけでくくることができないほどに多彩です。もはやDJやプロデューサーという言葉だけではあなたを語ることはできません。あなた自身はいまのあなたをどのような肩書きで呼んだらよいと思いますか？

うーん、何とも言えないな。新しいカテゴリーが必要かもしれない。何も肩書きなしとか？　名前で覚えてもらえればいいかな。

——次にあなたがどのような作品を発表するのか（それはもはや音楽ではない可能性もある）、それがどのようなジャンルのものなのか、まったく予想がつかないのが、いまのジェフ・ミルズの面白さでもあると思います。これからジェフ・ミルズはいったいどこに向かっていくのでしょうか？

「未来をベースにした」ことにたくさん興味がありすぎて難しい。ダンスとアート、音楽と映画、文学とシアターというように様々な媒体を通してこのコンセプトにアプローチできるし、それらすべてが面白いし、とてもエキサイティングだ。こういったアプローチは今後もっとポピュラーになっていくのかもしれない。

——相対性理論とのコラボレートを拝見しました。とても面白いセッションだったと思います。ああいう日本のバンドとのコラボはあなた自身にとってどんな体験になりましたか？　ぜひ感想を教えてください。

彼らとの共演をとてもエンジョイしたよ。自分が普段あまり接触しない分野の音楽だったからとても楽しめた。他のミュージシャンとプレイするのは好きだし、相対性理論とはまた会いたいと思っているよ。

——9月にジェラルド・ミッチェル、大野由美子（Buffalo Daughter）、日野賢二とのセッションが予定されているそうですね。あなたはTR-909を演奏するとか。どんなことになるのかまったく予想がつかないこの激レアな組み合わせもとても興味深いのですが、どのようなことをするのでしょうか？　予告編的にこのセッションについて教えていただけないでしょうか？

このプロジェクトは『エキシビショニスト 2 』の延長線上にあるもので、パフォーマンスは即興性をベースにしている。短いリハーサルはする予定だが、準備なしてその場で作り上げていく。みんな違う分野の出身だから、共通項はエモーションやフィーリングを高揚していくことで生まれてくると思っている。見てのお楽しみさ。

Exhibitionist2TrailerJP from AxisRecords on Vimeo.