ーーそうしたみなさんの個性が反映されたものとして、ヴァーヴのカタログからサマー・ソングを集めたコンピ盤『KIRINJI presents SIXTH×SIX –SUMMER EDITION-』がリリースされました。選曲の際、何か共有していたルールのようなものはあったのでしょうか?
千ヶ崎 一応ヴァーヴのカタログから、というテーマはありましたけど、それ以外には何もなかったです。何を選んでも自由だったし、ひとり3曲選ぶということだけ決めて、後の選び方はひとそれぞれという感じでした。
ーー3曲の中で最もお気に入りの曲を選んで、その曲との思い出を教えていただけますか?
堀込 まず、僕はマルコス・ヴァーリ。ボサノヴァの人ですよね。ビートルズのようなことがやりたいんだと思うんですけど、それを英語圏ではない場所でやっているわけで。僕らに近いとは言わないけれども、そういう意味で「どうやってるのかな」と参考にしたりもします。それにヴァーヴはブラジルの音源も色々出していて、そういう「ヴァーヴらしさ」のひとつの側面を表わしている曲でもあると思うし。
▼Marcos Valle – “She Told Me, She Told Me”
ーーこの曲と出会ったのはいつ頃のことだったんでしょうか。
堀込 随分前なんで覚えてないんですけど、渋谷でレコードを買いまくっていた……20年ぐらい前の話です。当時から好きでよく聴いていた曲のひとつだったんですよ。
コトリンゴ へええ。私の場合も、自分が好きで聴いていたものを選んだんですけど、印象的だったのはマーク・ジョンソンですね。実は昔、すごく聴いていた時期があったんです。しかもマーク・ジョンソンは千ヶ崎さんも選んでらっしゃって(2曲とも98年のソロ作『The Sound of Summer Running』から)。当時私は20歳ぐらいですかね。ちょっと恥ずかしいです(笑)。みなさんには甘酸っぱい思い出を色々と語っていただいて……(笑)。
▼Marc Johnson – “Summer Running”
堀込 (笑)。でも、マーク・ジョンソンは(ベーシストとあって)ちょっと意外だよね。もっとピアノの人を選ぶと思っていたから。ハービー・ハンコックはイメージ通りですよね。
田村 僕は今回、あえてジャズ寄りではないシンガーを中心に選びました。と言っても、思いっきりジャズな人もいますけど(笑)。自分が聴いていてゾッとくるような曲、というのがひとつの基準になっていて……。特に思い出とかかわるものは、ないんです(笑)。
全員 はははは。
楠 僕の場合はフレッド・アステア。もう30数年前にリバイバル上映があって、いいなぁと思ってサントラなんかも買うようになって。で、この作品を聴いていたんですよ。今回、夏の曲を選んだ時に、最初に選んだものが許可が取れないということで、どうしようかとうちにあるものから選んだんですけど、でもバッチリだと思いますよ。ただ、アステアだけだとスマート過ぎるので(笑)、他の曲でバランスを取ってみたんです。
▼Fred Astaire – “Nice Work If You Can Get It”
千ヶ崎 僕は割と最近の中から選んだんですけど、やっぱりチャーリー・ヘイデン。チャーリー・ヘイデンだけで4~5曲選びたいぐらいですよ。他にも色々入れたくて迷ったんですけど、楠さんは古めの音源を選ぶだろうなと思ったんで、僕は最近のものを選ぼう、と(笑)。
コンピレーション・アルバム『KIRINJI presents SIXTH×SIX –SUMMER EDITION-』ジャケット
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