ーーみなさんが各自の選曲を予想して補い合っていったわけですね(笑)。ちなみに、ヴァーヴを離れると、みなさんがサマー・ソングとしてイメージするのはどんなものでしょう?

全員 サザン(オールスターズ)、TUBE……。

ーーそうなりますよね(笑)。みなさんならではの夏感がどんなものか、教えていただければと思ったのですが。

堀込 季節に限らずですけど、ビーチ・ボーイズはもちろん好きですよ。マイナー調のサマー・ソングもありますよね。(ヘンリー・)マンシーニの“ひまわり”とか、“八月の濡れた砂”とか。

Henry Mancini – “Sunflower”

ーーそもそも夏のイメージというと、どんなものを思い浮かべるでしょう?

田村 暑い。不快指数が高い(笑)。

堀込 (笑)。20歳を過ぎて、大人になってから、夏は暑くて嫌だなって思うようになりますよね。冷房の効いた部屋で、音楽を聴いたりしている方がいいと思ったりして。でも不思議なんですけど、結婚して子供が出来たりすると外に出かける機会も多くなって、夏のよさがまた分かるようになってくる。実は夏を嫌いだった時期って20歳頃からの10年ぐらいで、僕は基本的に夏が好きだし、子供の頃はとにかく外で遊んだりしていて。子供が出来て、それがまた蘇ってきて。どのタイミングで夏が嫌いになったのかは分からないですけど、もしかしたら、レコードを買うようになってからかもしれないですね(笑)。

 僕の場合、夏っていうのは、日向と日陰のコントラストだと思うんです。僕は最初、(許可が取れずに収録できなかったもののひとつとして)カエターノ・ヴェローゾとガル・コスタの『ドミンゴ』を選んでいたんですよ。それはまさにそういうイメージで。クール&ザ・ギャングの“サマー・マッドネス”もそうですけど、ああいうギラギラとした夏の夜もある。

ーー2面性ということですね。

 そうです。特に、僕は出身が北海道なんで、夏と言っても夜はとても涼しくなるんですよ。だから、その後東京に来て初めて「夏ってこんなに暑いのか」と思いました。

ーー“真夏のサーガ”も、夏をテーマにしたサマー・ソングになっています。まずは堀込さんにうかがいたいのですが、そもそもこの曲はどんな風に出来たものだったのでしょう?

堀込 最初、リリースが決まった時はまだ寒くて、夏のことが見えていなかったんですね。真冬にセーターを着て、夏の曲を作れって言われても、なかなか出来なくて(笑)。ところが、春になって徐々に暖かくなってきた途端に、スーッと出来てきたんです。最初はシンプル過ぎるかなと思ったんですけど、みんなに聴かせたら「いいね」となって、「じゃあこれで行こう」と。

ーー完成したものは、かなり壮大な雰囲気になっています。みなさんのお気に入りのポイントなどはありますか?

田村 バンド編成になってから初めてホーンと一緒に録音したので、その部分にはどうしても耳が行きますね。

千ヶ崎 僕は音が後半に向けてどんどん飽和していくところが気にいってます。これ以上は無理なんじゃないかというぐらい……。

堀込 後半にかけて盛り上がっていく。で、録ったものを聴いてみると、コトリさんが突っ走ってるのが分かったりして。

コトリンゴ でも私、我慢しましたよこの曲(笑)。あまり音を重ね過ぎてしまってもよくないので、高い方で頑張ろうとした曲なんです。

 我慢してあれなんだから、実はコトリさんが一番熱いんじゃないかっていうね(笑)。

ーー(笑)。歌詞についてはいかがでしょう? 夏の清涼感も感じましたし、同時に語りかけているような雰囲気が印象的でした。

堀込 面倒臭いことを歌う気はなくて、生命力とか、眩しさとか、そういうものを表現したかったんです。子供と外に出た時に、ミツを出しまくる木があって、そこにチョウもカナブンもカブトムシもとまってる、みたいな(笑)。そのピュアでイノセントな生命力を表現しようと思っていましたね。

ーー 一方、カップリングの“水郷”はインストゥルメンタルです。

堀込 歌詞書くのは大変だからインストで行こう、というのもありつつ……(笑)。もともと曲にクラシカルな雰囲気があったんで、それをより推し進めて、アイリッシュ・フォークのような曲が出来たんです。これはちょうど集まった日にみんなでジャムして録ったんですよ。その時にも、やっぱりサポートでお願いしていた頃や、バンド編成移行後すぐとは違う部分を感じましたね。ボーナストラックとして収録されているライヴ音源についてもそうなんですけど、みんなの理解力が深まっているから、“進水式”なんかのアレンジも自然に決まっていって。

田村 ボーナストラックのライヴ音源は、内容を厳選したんですよ。聴いてみると実は当日のイメージと違っていて、あれ、これリハじゃないの!? ってなったりだとか。

ーー(笑)。これからのKIRINJIについては、どんな可能性を感じていますか?

田村 あんまり考えずにやった方がいいと思うんですよね。その曲が生まれた時の状況などが反映されていくんだと思うし。

堀込 そうですね。今は楠さんがヴォーカルを取る曲もありますけど、ドラムを飛び出して、マイクを持って歌うことがあってもいいかもしれないですし。

コトリンゴ なるほど、楠さんがマイクを……。(と言って、ヘッドセット式のマイクのジェスチャーをする)。

ーーコトリンゴさんのジェスチャーが、歌って踊れる方のマイクです……(笑)!

全員 はははは。

堀込 結局、自分ひとりじゃできないことをやっていければいいと思うんです。そうやってそれぞれが持ち寄った個性が、バンドにとっての新しい魅力に繋がっていけばいいと思うし。そうやって、これからも新しい音楽を作り続けていければいいと思いますね。

夏から紐解くKIRINJI。現在と未来とバンドを語り合う interview150730_KIRINJI04

ニューシングル“真夏のサーガ”ジャケット

EVENT INFORMATION

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015 in EZO

2015.08.14(金)
北海道・石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ(出演ステージ:RAINBOW SHANGRI-LA)

詳細はこちら

EVENT INFORMATION

NATURAL FOUNDATION Presents Return of“SUMMER CAMP”~Gen Tamura 60th Anniversary Party~

2015.08.22(土)
OPEN 16:30/START 17:30
日比谷野外大音楽堂
ADV ¥7,500(tax incl.)
出演:田村玄一(KIRINJI/the BM’s/LITTLE TEMPO/LONESOME STRINGS)、KIRINJI、青山陽一the BM’s、LITTLE TEMPO、堀込泰行、LONESOME STRINGS
Special Guest:片平里菜、SANDII、中村まり、ビューティフルハミングバード、真城めぐみ、and more……
Welcome DJ & MC:ミズモトアキラ

※雨天決行/荒天中止
※3歳以上要チケット
企画/制作:NATURAL FOUNDATION LLC./Siren Enterprise Inc.

詳細はこちら

EVENT INFORMATION

Slow LIVE ’15 in 池上本門寺

2015.09.06(日)
池上本門寺 野外特設ステージ
出演:ORIGINAL LOVE(アコースティックセット)、KIRINJI、原田知世、野宮真貴、が~まるちょば、paris match、笹川美和

詳細はこちら

RELEASE INFORMATION

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