バンドの今後はどうするの?
ケントママ 目指すアーティストとかは? あんたたちがMISTAKESとしてどうするのかっていうのもあるじゃない。売れたいのか好きな音楽をやりたいのか、その中間を目指してるのかとか。
宮内 好きな音楽は絶対やりたいよね。
佐藤 やりたい。
ケントママ 昔からバンドやってるわけ?
宮内 俺は昔軽音楽部だったから。
ケントママ 可愛いね。
宮内 軽音部時代はベースで、そっからキーボードとかピアノを練習したり、歌とかギターを練習したり、色々経ていまはボーカルをやってます。
ケントママ ちょっとバンドとしての未来像としてどう思ってるのかってあるじゃない。シングルが100万枚売れる時代じゃないしさ。YouTubeやインスタの動画とかさ、いくらでもあって、大げさだけど海外のアーティスト、ケンドリック・ラマーとかさ。
佐藤 最近のアーティストもご存知なんですね。
ケントママ 普通に私でもわかるかっこよさだよね。事務所入って、アルバム100万枚売れてることが「売れてる」ってことじゃない感じだから。どうすんのよ、こんな時代にバンドをやって。目指すものは?
佐藤 続けていきたいですよね。
ケントママ 続けるのは大切なことよね。
佐藤 極論3人が死んでたとしても、バンドは残るみたいな。
ケントママ でも、ある程度人に知ってもらいたいっていう気もあるんじゃない? 売れたいって気持ちを言い換えたら、良いなって思うものを人に見てもらいたいなとか知らせたいなっていう気持ちもあるはずだし……。
宮内 音楽活動ってギャンブルのようなものだと思うことがあって、それを伝えるためにどうするかって考えるのを、全部含めてそれが伝えられなかったら、失敗だし。それが伝わったら最高だし。世界で生きてるのって、すごいギャンブル性が高いじゃないですか。俺らは今、自分たちにベットしてる状態で。
ケントママ いろんな人に伝わったら嬉しいよね。
宮内 伝わることはめちゃくちゃ嬉しいんですけど、心の底には伝わらなくてもしょうがないっていう気持ちがあるんですよ。
ケントママ 伝えきれないとか、所詮わからないってそういう気持ち?
宮内 自分がやりたいことと、伝えたいって気持ちがあって、それと伝え方は別だと思うんですよ。
ケントママ うん。
宮内 伝え方の部分はこの人がやってるんですよ。
ケントママ なるほどね。マネージャーさんが。
宮内 伝え方の部分で、ベットしてるギャンブルの勝率を上げることができるんですよ。
ケントママ もちろん伝え方がすべてのところはあるわね。
宮内 その伝え方っていうところも、俺らが考える必要があるんですけど。すごい不透明で靄がかかった森の中を歩いて、そこにたどり着くのと一緒で。
ケントママ まじ? 私はっきり見えてるわよ。
宮内 え、本当ですか?
ケントママ 接客20年やってるとから伝え方がすべてだもん。服売ってたりしても、態度で変わるものは明らかにあるでしょ。
井上 目の前にいる人への伝え方はできるかもしれないんですけど……。お店に入ってきてない人に伝えないといけないんですよ。
ケントママ 確かに。それはちょっと違うわね。
宮内 例えば僕らが今やってる音楽を、演歌が好きなおじいちゃんおばあちゃんに伝えてみたら1万人に1人は良いって言ってくれるかもしれないけど、確率的には低い。だったら、もうちょっと俺たちの音楽を好きそうな人たちに、真っ先に伝えて、その人たちの解釈でなんとなく広がっていけばなと。
ケントママ まずはみんなというよりも、自分たちのことを良いって言ってくれる人たちの存在がメインよ。
宮内 音楽以外にも創作する上で、伝え方で悩んで、それが創作に影響を与えることが、正直一番ダサいことだと思うんですよ。最高だとしても伝え方が下手で悩んでるミュージシャンはいっぱいいるから、伝え方が上手い人が近くにいてくれると良いですよね。
ケントママ この人(マネージャー)は上手いの?
宮内 上手いです。
マネージャー いやいや。
佐藤 俺らが「どうだろうね」って言っても、「どうだろうね」って返さないですから。これが良いよってはっきりいうから。
ケントママ 伝え方が下手でも人の心を捉えて、本人が伝え方とかをそんなに意図してなくても、多くの人の心を捉えるものってあるじゃん。小室哲哉とかマイケル・ジャクソン、エルヴィス・プレスリーは共通してるものをなぜか知ってた人だと思うんだよね。もしそれが一致してない場合は、伝え方じゃなくて、やってることへの本気具合も関係してる気がするよね。興味なかったり好みがなかったら、ちょっと気になるって感じ?
宮内 死んでから評価される場合ってあるじゃないですか。でも、生きてるうちに実感したいですよね(笑)。
ケントママ 死んでから評価されることを考えながらやるのは辛いよね。
井上 そんな奴いないですよ(笑)。
ケントママ でも、死後にいきなり評価されるのあるじゃない? マイケルとか、整形とかあんだけ悪いこと言われてたのに、死んだ途端にみんなこぞって評価しだしたじゃない。小室哲哉とか、今回の騒動でもそうだし。安室ちゃんなんかもそうだじゃない? 引退するからライブ行きたいみたいなさ。
井上 「やっぱり天才だった」みたいな。でもやっぱりって何!? って思いますよね。
ケントママ 変な確認ね。あるある。
井上 死なないと評価されないことも多いという……。
ケントママ でもそれが世の中よね。飲食業界でいうと、「1回しか行ったことないけど、好きでした」みたいな。
佐藤 でもお店の方に求心力なかった場合もありません?
ケントママ それはあるわね(笑)。
不味い麺類が“時代”に必要だった?
井上 でもたまには不味いラーメンが食べたいときもありますよね!
ケントママ 不味いラーメン屋さんってレアかも。
井上 本当にまずいし、最悪なラーメン屋さんだったけど、こういうことがあったって話したい。
佐藤 俺の体験談じゃないけど、Twitterで見たやつで、お蕎麦屋さんに入ったら、おかみさんが「いらっしゃい〜! 寒かったわね」って接客100点。「〜〜に天ぷらそば一丁」って頼んだら、奥のキッチンの大将さんが「はいよ!」つってすごく手際よく作ってて、絶対100点みたいな。何もかもが揃ってる。TVもNHKが流れてて、競馬新聞もあると。
ケントママ 相撲とかだと良い感じだよね。
佐藤 そうそう。そして将棋をずっと見てるおじちゃんがいて、完璧だと。で、そんななのに味が100点満点中7点だったって話。
一同 (爆笑)。
佐藤 悪いことでも、みんなに話して、面白ければ最高ですよね。
ケントママ そういうことを歌詞にしたほうが良いんじゃない? “時代”の歌詞読んだけど、新宿の終電逃した歌舞伎町あたりの男女の話って感じで、あんたたちの頭の中の方がスケールがでかいんじゃないの? だって蕎麦屋のまずい話を、人に楽しくできれば帳消しだって話の方が普遍的だし、私はぐさっとくる。“時代”の歌詞はちょっと青すぎ。「雨に煙る街 街に消えた君 俺は声が搔き消えるまで叫んだ」とかそんな感じだったよね?
一同 (爆笑)。
ケントママ そういう風に見えたの(笑)。残ってる感想はそれってこと! 若いバンドマンとそれが好きな女のすったもんだの、半径2、3キロで終わる話だなっていうのが正直な意見なのよ。
佐藤 なるほどね!
ケントママ だから蕎麦が100点満点中7点だったけど、人に話せてハッピーだったからあの店良い感じっていう方が、18億人くらいには届くメッセージだよね。あんたたちの恋愛事情が気になる女子ファンもいると思うけど、まずい蕎麦を食べたことをプラスに受け止めたっていう話の方が、250円だろうが980円だろうがダウンロードしたいって思うかな。そうだな……、中野でちょうど良いよ。バンドマンで中野でナンパされて3ヶ月半同棲みたいな感じだったけどみたいな。
佐藤 それって、なんかすごくリアリストだよね。
宮内 俺、ロマンチストなんけど、リアリストとロマンチストって同居してるんですよ。その割合だと思うんですよ。
ケントママ そうなのね。
宮内 俺はロマンチスト成分が多いんですよ。
ケントママ ロマンチストとして生きるには厳しい時代じゃない。ロマンチストとして生きるうえで、どう折り合いをつけてるの? 何をしても金は取られるじゃない。女を口説くにも金がかかるしさ……。
宮内 周りの人間はロマンチスト成分が多いんですよ。
ケントママ シンちゃんはどのくらいなの?
宮内 俺は60%。
ケントママ 私はまぁね、2%とかだと思うよ。妄想とかすることは多いけど、なんか抱きしめられたいとか。8秒くらいは思うだけで、そのあとは納品のこととかお店のこととか考えるわよ。
宮内 ロマンチストだから、リアリストから怒られることが多い。
ケントママ え、怒って良いのそれ?
宮内 怒って欲しいんですよ。
ケントママ 西野カナとどっちがロマンチストなの?
井上 彼女は一周回って、女性のリアルだと思う。あれって日記だから。女性のリアルな心情なんですよ。表現の仕方がロマンチックではないじゃないですか。
ケントママ そうよね。「会いたくて会いたくて震える」ってロマンチックではないよね。「抱きしめて、キスした」の方がロマンチックだよ。え、じゃあ、西野カナに抱いてくださいって言われたらどうする? とはいえ、正面から抱いてくださいって言われたらどうするかって話よ。
井上 なんの話ですか(笑)。
各メンバーの印象は?
井上 マネージャーの印象は?
ケントママ マネージャーさん? マネージャーさんは可愛いなって感じよ。まず顔の大きさと体つきがタイプだと思うし、この中で2人でご飯とか飲みに行ったりしたら、同じテンションでいれそうだなっていうのは彼。
佐藤 女の子とちょっとでも仲良くなったら、すぐオラつくんですよ。
ケントママ 嫌いじゃないわよ。見た目のタイプは井上ちゃんが可愛くて好きだなって思うんだけど、シンちゃんを見てイケメンって良いものだなって思い出したわ。すきっ歯が可愛いよね。あとロマンチストの部分をもともと持ち合わせてない人とか、たくさんいるから、そういうのは音楽をせっかくやってるんだから、人々に届けて欲しいなって感じ。あと、女にモテそうだなっていうのと、なんとなく良い感じだなって。
佐藤 ライブハウスとかクラブで可愛いなと思って話しかけても、「あ、どうも」みたいな感じで、2回目会って「覚えてる?」って言っても「覚えてないです。」「また改めて!」みたいなに4、5回繰り返した女の子がたまたま、僕が呼んだわけでもなくMISTAKESライブに来ていて。僕のことはやっぱり覚えてなかったんですけど、こいつに「めっちゃかっこよかった! 連絡先教えて!」って。
宮内 そこで連絡先は教えないですけど。
佐藤 うわーー! 余計俺が傷つく!
井上 シンジが教えなかった連絡先は栄太郎が欲しくてしょうがなかった連絡先だったのに!
佐藤 “お前が死にたいと言った1日は、今日誰かが死んでも生きたかった1日だった。”
一同 (笑)。
井上 それだけフェロモンが出てるってことですよね。
ケントママ 良いなって思った。シンプルですごい可愛い人。周りが持ってないものを持ってるよね。
佐藤 僕は高校生くらいの時から、今の歳ぐらいには達観してるんだろうなって思ってたんですけど……。
ケントママ ならないよね。
佐藤 暇だと人の悪口ばっかり考えてるんですけど、忙しいと自分の拙さを実感することの繰り返しで。
ケントママ あなたはすごく良いなと思う。頭が良さそうだけど、それに縛られていそうなのと、そういう性格とかが音楽をやる原動力になってるんじゃないかなって。深みがある人というか。
佐藤 ドラムに深みが出れば良いなって思いながらやってるところもありますけど、本心はそんなに嫌な思いをしたくないじゃないですか。でも音楽をやってることで、それを免罪符みたいに使ってる自分がいて。
ケントママ でもそれってすごく良くない? カート・コバーンじゃあるまいしさ。そのセリフに聞こえるくらいよ。
佐藤 もう彼は年下なんですよ!
一同 (爆笑)。
ケントママ 27歳はバンドやってると意識しちゃう年齢だもんね。あんたたちのライバルって誰? どうしても考えちゃうじゃない?
佐藤 自分が大好きな人が意外と年下だったりするとね……。あとお笑い好きなんですけど、トレンディエンジェルがM-1で優勝した時に、俺の年齢よりも低かったのを考えるちょっと……。
ケントママ それすっごいわかる。その感覚あるよね。私は安室ちゃんが大好きなんだけど、彼女が今の私の歳の時にあのアルバムって! えっ! 可愛すぎるし、綺麗すぎるし、キャリアに紆余曲折あってまた輝いた時期だし、びっくりしたり。GLAYの『WINETR AGAIN』の時が26歳って嘘でしょ、みたいな。
佐藤 凹むしかない。
ケントママ でもそういうことを意識しないよりは良いと思うわよ。「俺の音楽は誰にも理解できなくても良い」って100%思うんだったら家でやってれば良いだけだもんね。人に観てもらうのは必要なことだよね。
宮内 観てもらえる人がいて、初めて完成するような。
佐藤 あと演奏がぴったり合った時は、比べ物にならないですよね。さらにそれが、観てもらってる人と同じ気持ちなんだろうなっていう演奏をしてると、ずっと長生きできるんじゃないかっていうバイタリティを得られちゃうんですよね。それを知っちゃうと、あんまり理詰めにしたくなくなっちゃうんですよね。でも、それが逆に残酷なことでもあって……。
ケントママ 想像してみたら、ドリカムとかミスチル、B’zみたいなタイプのミュージシャンっているでしょ。ああいう人たちのライブDVDってあるじゃん。あれってどんな気持ちなんだろうって思うよね。何かをもって自分の意識でそこに来た人が大半いる場所で演奏してって、すごいなって。同じことかなって思うんだよね。
佐藤 続けていきたいとは本当に思いますね。
ケントママ MISTAKESって誰が名前をつけたの?
佐藤 僕です。こんなに明るい人たちなのに、縁起悪い名前ってカッコいいかなっと思って。
ケントママ いや、いいなと思ったのよ。
井上 間違えても許される。
一同 (笑)。
ケントママ 全員ネガティブでも全員ポジティブでもちょっと困るからバランスいいんじゃない?
井上 ママはどっちなんですか?
ケントママ 私はポジティブだと思う。でもいろんなものを見ること知ることが好きだから、最終的にはポジティブにはなるけど、いろんな部分を知った上で、って感じ。
井上 僕は大学まで結構ネガだったんですよ。高校の時とかは……。
ケントママ 可愛い! 10代の頃はそうだったの?
ケントママ そういう経験が。
井上 10代の子とかには、そういうのを知って欲しいですね。
佐藤 10代の子が失礼な感じで話しかけに来た時とかはめっちゃムカつくんですよ。
ケントママ 「写メ撮っていいですか?」とか?
佐藤 そう。でもよくよく考えると、僕も10代の頃から変わってないんですよ。その時に洗礼されたルールブックを一生背負うんですよ。だから途中まではずっと10代なのかもしれないですよ。そのルールブックと自我と社会の関わり方の折り合いをつけるのが20代なのかもしれない。30代になるとやっと許すっていうことがわかって、それよりも自分自身の話だろって。そうなりたいですけどね。
宮内 おれは10代の子にムカつくことはないけどな。
一同 (笑)。
ケントママ え、カメラマンさんすっごいイケメンだよね!
宮内 おれはだいぶ酔っ払ってきた。
佐藤 なに?!
一同 (笑)。
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text by Qetic・ Koichiro Funatsu
photo by NAOTO HIRAYAMA